近年の電気代の高騰を受け、冬の暖房代が気になっている方もいるのではないでしょうか。エアコン暖房の電気代は、工夫次第で安く抑えることが可能です。エアコン暖房の電気代の計算方法や、節約するためのポイントについて解説します。
エアコン暖房の電気代はどのくらい?
電気代の計算方法を理解すれば、エアコン暖房の電気代を把握することが可能です。自宅の暖房代はいくらかかるのか、まずはエアコン暖房の電気代を計算してみましょう。
エアコンの電気代の計算方法
エアコンの1時間あたりの電気代を求める式は次の通りです。
消費電力(kW)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)
※2023年7月時点での電気料金の目安単価は31円/kWhとなっています。
上記の計算式で導き出した数字にエアコンの使用時間を掛ければ、エアコンの電気代を算出することが可能です。
暖房の消費電力が630Wのエアコンを1日8時間使用した場合、1日のエアコン暖房の電気代は以下のように計算できます。
0.63KW×31円/kWh×8時間=156.24円
このエアコンを1日8時間、毎日使用し続けた場合、1カ月(30日)の電気代の計算式は次の通りです。
156.24円×30日=4687.2円
年間の電気代の目安は期間消費電力量で計算
使用する時期と使用しない時期がはっきりと分かれるエアコンには、年間の電気代の目安を計算できる「期間消費電力量」という指標が定められています。期間消費電力量を用いた年間の電気代の計算方法は次の通りです。
期間消費電力量(kWh)×1kWhあたりの電気料金単価(円/kWh)
例えば、期間消費電力量が960kWhのエアコンは、年間の電気代の目安を以下のように計算できます。
960kWh×31円/kWh=29,760円
期間消費電力量を用いて年間の電気代を計算すれば、実際にエアコンを稼働した場合に近い数字となり、より正確なランニングコストの目安を算出することが可能です。
エアコン以外の暖房器具の電気代
多くのご家庭では、エアコン以外にもさまざまな暖房器具を使っているでしょう。エアコン以外の暖房器具の電気代について解説します。
セラミックファンヒーター
セラミックファンヒーターは、内部のセラミックが発熱し、暖まった空気をファンで外に送り出す暖房器具です。電源を入れるとすぐに熱が放射されるため、速暖性に優れています。
セラミックファンヒーターの一般的な消費電力は500~1200Wです。1時間あたりの電気代は以下のように計算できます。
- 0.5kW×31円/kWh=15.5円
- 1.2kWh×31円/kWh=37.2円
セラミックファンヒーターを弱運転で稼働させる場合は、エアコンより電気代が安くなるでしょう。一方、部屋全体を暖めようとして強運転にすると、エアコンより高くつく可能性があります。
電気ストーブ
灯油などの燃料が不要な電気ストーブは、電源があれば利用できる手軽な暖房器具です。電源を入れるとすぐに熱くなるため、体の一部を素早く暖めたいときに重宝します。
電気ストーブの一般的な消費電力は450~900Wです。1時間あたりの電気代は次のようになります。
- 0.45kWh×31円/kWh=13.95円
- 0.9kWh×31円/kWh=27.9円
強運転にするとエアコンより高くなるケースがあるため、体を暖めるときに一時的に使用するなど、状況に応じてこまめに使うのがおすすめです。
ホットカーペット
ホットカーペットは、電熱線をカーペットに織り込み、電熱線を発熱させることで表面を暖める暖房器具です。エアコンの温風が届きにくい足元を暖めたいときに活用できます。
ホットカーペットの一般的な消費電力は1畳用で220~300Wです。1時間あたりの電気代の計算式を紹介します。
- 0.22kWh×31円/kWh=6.82円
- 0.3kWh×31円/kWh=9.3円
ホットカーペットの電気代はエアコンより大幅に安くなります。ただし、部屋全体を暖めるのには向かないため、状況に応じて使い分けるのがおすすめです。
こたつ
こたつは局所的空間を暖かくする日本ならではの暖房器具です。燃料の補給が不要な上、テーブルとしても使えるメリットがあります。
こたつの一般的な消費電力はサイズや人数にもよりますが、80~150Wです。1時間あたりの電気代は以下のように計算できます。
- 0.08kWh×31円/kWh=2.48円
- 0.15kWh×31円/kWh=4.65円
暖房器具を電気代で比較した場合、電気代が最もお得になるのはこたつです。しかし、こたつでは室内が暖まらないため、部屋全体を暖めたい場合はエアコンが適しています。
エアコン暖房の電気代を安く抑えるコツ
エアコン暖房の使い方を工夫すれば、電気代を下げることが可能です。エアコン暖房の電気代を安く抑えるコツを紹介します。
設定温度を20℃にする
エアコン暖房で部屋を暖める際は、設定温度を高めにしがちです。しかし、設定温度を上げると電力をより多く消費することになるため、電気代も高くなってしまいます。
暖房時の適切な設定温度は20℃です。環境省が推奨する「WARM BIZ(ウォームビズ)」でも、暖房時の室温を20℃に設定するよう呼び掛けています。
WARM BIZは冬期の地球温暖化対策の一環として実施されている取り組みです。暖房運転に必要なエネルギー使用量を減らすことで、発電時に排出されるCO₂の削減を目指しています。電気代を節約すれば、地球温暖化防止に貢献できることも覚えておきましょう。
※出典:ウォームビズとは|ウォームビズ(WARMBIZ)
自動運転機能を使う
エアコン暖房の電気代を安く抑えるポイントとしては、自動運転機能を使うことも挙げられます。自動運転機能とは、運転の強弱をエアコン自体が自動で選んでくれる機能です。
自動運転機能を使うと、設定温度になるまでは「強」、設定温度に達した後は「弱」で運転します。余計な電力を消費せずに済むため、電気代を安く抑えることが可能です。
電気代の節約を意識しすぎるあまり、最初から弱運転で稼働させると、設定温度に達するまで時間がかかるため余計な電力を消費してしまいます。逆効果になるため、電気代を節約するなら自動運転機能を使いましょう。
窓に断熱対策を施す
エアコン暖房で部屋を暖めても、窓の付近に立つとひんやりする経験がある方も多いでしょう。屋外の冷気は窓を通って室内に入り込みやすいため、窓に断熱対策を施せば室内の温度をキープしやすくなり、電気代の節約につながります。
窓の断熱対策として代表的な方法は、断熱シート・カーテン・雨戸で冷気が入り込むのを防ぐことです。できるだけ窓を広めに覆うために、カーテンは丈が長いものを使いましょう。
窓に気泡緩衝材を両面テープで貼り付ける方法もおすすめです。空気が入っている側を窓側にして貼り付ければ、窓と部屋の間に空気の隙間ができ、室内で暖まった空気が外へ逃げにくくなります。
室外機の周囲を片付ける
エアコンの一般的な室外機は、外気を取り込みながら運転しています。室外機の周辺に物があると、外気をうまく取り込めなくなり、無駄に電力を消費してしまうのです。
室外機の周辺に物を置いている場合は、きれいに片づけておきましょう。エアコンの運転効率が改善され、無駄なくエアコンを動かせるようになります。
室外機の周辺だけでなく、室外機自体の汚れやゴミも取り除いておくのがおすすめです。フィンや吹き出しグリル、水抜き穴を掃除することで、エアコンのパフォーマンス向上を期待できます。
フィルターをこまめに掃除する
エアコンのフィルターが目詰まりを起こしていると、効率的に稼働できなくなってしまいます。エアコン暖房の電気代を安く抑えたいのなら、フィルターをこまめに掃除しましょう。
フィルター掃除の間隔の目安は2週間に1回です。掃除機をかけた後に水洗いできれいにするのが理想ですが、エアコンのカバーを外してそのままフィルターに掃除機をかけるだけでも、効果が違ってきます。
資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ 2022年度版」によると、エアコンのフィルターを月1~2回掃除すれば、年間で約31.95kWhの省エネにつながります。節約できる年間の電気代は約860円です。
※出典:省エネ性能カタログ 2022年度版 P16
古いエアコンは買い替えを検討する
古いエアコンを使い続けている場合、それだけで無駄な電力を消費しているケースがあります。電化製品の省エネ性能は年々向上しており、新しい電化製品の方が電気代を節約できるためです。
エアコン交換の目安は10年といわれています。暖房が弱くなっていると感じたり、以前に比べ運転音が大きくなっていたりする場合は、エアコンの買い替えを検討しましょう。
新しいエアコンを選ぶ際は、省エネ性能をチェックするのがおすすめです。省エネ性能ラベルの評価が高いほど、電気代をより削減できる可能性が高くなります。
電気料金プランや電力会社を見直す
一般的な電力会社の電気料金は、電力量料金で差が出やすくなります。電力量料金とは、「1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh)」で計算される料金のことです。
電力量料金単価は電力会社やプランごとに異なり、電力量料金単価が安くなれば電気代も下がります。つまり、電気料金プランや電力会社を見直すことで、電気代の節約につながる可能性があるのです。
電力小売自由化により、電力会社も自由に選べるようになっています。これまで電力会社の比較を意識したことがない場合は、電力会社の変更を検討してみましょう。
エアコンと組み合わせて使いたい電化製品
エアコンと電化製品を組み合わせて使うことで、エアコンの効果をより高められるケースがあります。エアコンと一緒に使いたい主な電化製品を見ていきましょう。
エアコン+サーキュレーター
暖かい空気は室内の上の方に、冷たい空気は下の方に溜まりやすい性質があります。エアコン暖房の効率を高めるためには、上に溜まりやすい空気をできるだけ下の方に移動させる工夫が必要です。
室内の空気を循環させる方法としては、サーキュレーターの活用が挙げられます。サーキュレーターを上向きにして使えば、天井付近に溜まりやすい空気が室内を循環するため、部屋が暖まりやすくなるのです。
サーキュレーターがない場合は、扇風機でも代用できます。なお、エアコン冷房とサーキュレーターを併用する際は、サーキュレーターを上向きにして使いましょう。
エアコン+セラミックファンヒーター
セラミックファンヒーターには、スイッチを入れるとすぐに暖かくなるという特性があります。エアコンが設定温度に達するまでセラミックファンヒーターを使えば、室温がより速く上昇するため、設定温度に達するまでの時間を短縮することが可能です。
セラミックファンヒーターは、エアコン暖房が効くまでの間に暖を取るアイテムとしても適しています。
ただし、セラミックファンヒーターのみで部屋を暖めようとすると、電気代が高くなってしまうでしょう。あくまでもエアコンの補助として使うのがおすすめです。
エアコン+こたつ
暖かい空気は上に行く性質があるため、エアコンのみでは足元が暖かくなりにくいでしょう。このようなケースで活用できるのがこたつです。
足元をピンポイントで暖めてくれるこたつは、エアコンの弱点を補えます。こたつは消費電力量が少ないため、付けっぱなしで電気代が大幅に高くならない点もメリットです。
こたつで暖を取れば体感温度が上がり、エアコンの設定温度も下げられます。足元が冷えてしまうのが嫌な方は、エアコン暖房とこたつの併用で冬を乗り切りましょう。
エアコン+加湿器
湿度は体感温度と密接な関係にあります。湿度が下がると皮膚から汗が蒸発しやすくなるため、体温が低下し体感温度も下がるのです。
また、暖房使用時には室内の湿度が下がりやすくなります。エアコン暖房と加湿器を併用すれば、室内の湿度を一定にキープできるため、体温の低下を防ぐことが可能です。
エアコンと併用する加湿器は、エアコンの下に置きましょう。エアコンから出る風にたっぷりと湿気が含まれるため、部屋全体の湿度を高めやすくなります。
エアコン暖房の電気代のよくある疑問
エアコン暖房の電気代について気になりがちな疑問をまとめました。すべての疑問と回答に目を通し、エアコン暖房への理解を深めましょう。
冷房と暖房はどちらの電気代が高い?
冷房と暖房の電気代の差は、設定温度と外気温の差に影響を受けます。設定温度と外気温の差が大きいほど、設定温度に達するまでにより多くの電力を消費するため、電気代も高くなるのです。
設定温度と外気温の差は、冷房より暖房の方が大きくなります。以下の例で比べてみるとわかりやすいでしょう。
- 冷房:外気温35℃・設定温度28℃(温度差7℃)
- 暖房:外気温7℃・設定温度20℃(温度差13℃)
したがって、冷房より暖房の方が電気代も高くなる傾向があります。
200Vのエアコンは電気代も2倍?
200Vのエアコンは100Vのエアコンよりパワーがあるため、設定温度になるまでの時間を短縮できます。広い部屋や天井が高い部屋で使うと、200Vのエアコンの効果をより実感しやすいでしょう。
200Vのエアコンの電気代は、100Vのエアコンと変わりません。消費電力量の計算式は「消費電力(W)×使用時間(h)」であり、電圧は消費電力量に影響を与えないためです。
なお、200Vのエアコンは200V用のコンセントがなければ使えません。100V用コンセントしかない場合は、コンセントの設置や交換作業が必要です。
⇒200Vのエアコンについてもっと詳しく知りたい方はこちら
外出時はエアコン暖房をこまめに消すべき?
エアコン暖房が最も電力を消費するのは、設定温度に達するまでの間です。エアコンを消して外出した後に室内が寒くなると、エアコンを付けた際に再び設定温度まで上げなければなりません。
ただし、エアコンを付けっぱなしにしていても電力は消費します。長時間外出する場合はエアコンを消し、短時間で自宅に戻ってくるなら付けっぱなしで外出するのがおすすめです。
エアコン暖房を付けっぱなしで出る場合の外出時間の目安は、1時間を基準にするとよいでしょう。1時間以上外出する場合は、エアコンを消しておくことで電気代の節約につながりやすくなります。
設定温度を1℃下げるといくら安くなる?
エアコンの温度設定を1℃低くすると、約10%の消費電力の削減になるとされています。温度差自体はわずかであっても、電気代への影響は小さくないといえるのです。
「省エネ性能カタログ 2022年度版」によると、外気温度6℃の時にエアコン(2.2kW)の暖房設定温度を21℃から20℃にした場合、年間で約1,430円の電気代を節約できます。
電気代の節約を図るなら、推奨設定温度の20℃を基準とし、1℃でも暖房の設定温度を下げるように意識しましょう。
※出典:省エネ性能カタログ 2022年度版 P16
エアコン暖房の電気代は工夫次第で安くなる
エアコン暖房の電気代を安くする方法としては、設定温度を20℃にすることや自動運転機能を使うこと、窓に断熱対策を施すことなどが挙げられます。
現在は電力会社を自由に選べるため、電力会社の変更を検討するのもおすすめです。できる範囲でさまざまな工夫を凝らし、エアコン暖房の電気代の節約を図りましょう。
電化製品の電気料金が気になる方は、家電の買い替えや使い方を工夫するだけでなく、電力会社の変更や電気料金プランの見直しも検討してみませんか。
Looopでんきでは、基本料金・燃料費調整額・解約手数料0円の「スマートタイムONE」を提供しています。
このプランは基本料金が0円のため、ご自宅で使用する電気の量が多い方や、現在のプランで基本料金が高い方に最適です。
また、解約手数料が0円で契約期間の縛りもないため、お試しで数か月間、Looopでんきをご利用いただき、現在の電力会社と比較することも可能です。
Looopでんきをご利用いただいているお客さまの声を紹介します。
(30代 / 女性 / 3人暮らし)
基本料金がかからないので、大きいアンペアで契約していてもお得感がある。
でんき予報などアプリが充実していて、自分の使い方で料金を安くすることも出来る。
(40代 / 男性 / 1人暮らし)
明らかに他社より安くなるし、色々なイベントもあり楽しい。基本料金が無いのも魅力です。
まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。