ガス代の節約を目指したとき、有力な選択肢となるのが「ガス会社の乗り換え」です。しかし、ガス会社の乗り換えは何度も経験するものではないため、その手順や注意点を知らない方は多いでしょう。ガス会社の乗り換えの基礎知識を解説します。
ガスは自由に乗り換えられる
ガス会社の乗り換えに着手するのであれば、ガスの種類や自由化の基本など、ガスに関する基礎知識を身に付けておくことが大切です。ガスに関する基本情報を解説します。
ガスには「都市ガス」と「プロパンガス」がある
一般家庭に供給されているガスは、「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類があります。
都市ガスとは、地中に埋められたガス導管を通してガスを各ご家庭に供給するガスサービスです。都市部を中心に普及しているものの、その普及エリアは国土面積の約6%にとどまっています。
一方プロパンガスとは、ガスを充填したボンベを契約家庭に配送してガスを供給するガスサービスです。ボンベの配送にかかる配送料や人件費がガス代に上乗せされるため、都市ガスよりも料金が高い傾向があります。
⇒都市ガスとプロパンガスの違いについてもっと詳しく知りたい方はこちら
※出典:都市ガス事業について|日本ガス協会
都市ガスもプロパンガスも現在は自由市場
都市ガスもプロパンガスも、現在では契約者が自由にガス会社を選択できるようになっています。
都市ガスが自由化されたのは2017年のことです。対してプロパンガスは元々自由料金制であり、1997年の液化石油ガス法改正で規制緩和が行われ、新規参入による競争が活発化しました。
ガス自由化といえば「都市ガス」をイメージする方が多いでしょう。しかし、プロパンガスは都市ガスが自由化されるはるか昔から、ガス会社を自由に選べる仕組みを採用していたのです。
ただし、都市ガスの場合、ガス自由化が実施された現在でも、そもそもガス会社の選択肢がなく、ガス自由化の恩恵を受けられずにいる消費者もいるといわれています。
対してプロパンガスは事業者の数が多いため、都市ガスよりも多くの消費者がガス自由化の恩恵を受けやすいとされています。
※出典:ガス小売全面自由化の経緯などについて | 日本ガス協会
※出典:液化石油ガス法改正(1997年) | プロパンガス料金消費者協会
乗り換え最大のメリットは「ガス代が安くなる」
ガス会社を乗り換えるメリットは、ガス代が安くなる可能性が広がることです。
消費者がガス会社を自由に選べるようになった現在では、ガス会社同士による価格競争が活発化しています。大手のガス会社との契約に固執せず、ガス自由化によりガスの小売事業に参入したガス会社を選択肢に含めれば、今よりも安いガス代を実現できる見込みがあります。
ただし、ガス会社を乗り換えたからといって、必ずしもガス代が安くなるわけではない点に注意しましょう。ガス会社の料金体系を確認し、シミュレーションを実施して安くなる会社を選ばないと、乗り換えてもガス代が安くならない場合もあります。
ガス会社乗り換えに関する注意点
ガスの乗り換えにはいくつか注意点があります。注意点を無視して乗り換えを進めると、ある時点で「こんなはずじゃなかった」と後悔するかもしれません。ガス会社を切り替えるときに注意したいポイントを4つ紹介します。
プロパンガスから都市ガスに乗り換える場合は条件がある
プロパンガスから都市ガスに乗り換えたいと考えている場合には、乗り換えの条件を満たしているかの確認が必要です。
プロパンガスから都市ガスに乗り換えるには、まず近所に都市ガスの本管が通っている必要があります。プロパンガスから都市ガスに乗り換える場合、本管から自宅に導管を引かなくてはならないからです。導管を引けるかどうか確認するときは、一般社団法人日本ガス協会の「ガス事業者検索」を活用しましょう。
また、都市ガスに乗り換えるには、導管を引く工事が物理的に可能であることも条件の1つです。自宅と公道との間に近隣住民の住居が建っている場合、工事の際、近隣住民の許可を得て私道を掘削する必要があるため、乗り換えのハードルがぐっと高くなります。
※出典:ガス事業者検索 | 日本ガス協会
都市ガスからプロパンガスへの乗り換えは料金面に注意
都市ガスからプロパンガスへの乗り換えも可能ですが、乗り換える場合には費用をしっかり検討する必要があります。プロパンガスは都市ガスよりも料金が割高になる傾向があるうえ、ガス機器の交換やプロパンガス設備の設置などの初期費用もかかるため、節約目的で乗り換えを考えている場合には注意が必要です。
都市ガスからプロパンガスへの乗り換えを強いられるシーンとしては、下記のようなパターンが挙げられます。
・都市ガスの供給エリア外に引っ越す場合
・建物の事情で都市ガスが利用できなくなった場合
・災害発生後の復旧の早さを重視する場合
プロパンガスは各ご家庭にガスボンベを個別供給するため、災害時、都市ガスよりも早く復旧する傾向があるといわれています。
賃貸物件に住んでいる場合には乗り換えられないことがある
ガス会社の乗り換えができるかどうかは、住まいの状況によって異なり、賃貸物件に住んでいる場合には、乗り換え可否の確認が必須です。
プロパンガスは賃貸物件に住んでいる場合、乗り換え自体が難しいと言わざるを得ません。建物単位で取り付けられているガス設備を撤去したり、新しい設備を設置したりするためにまとまった費用が必要で、契約者個人でガス会社を選ぶことはほぼ不可能です。
都市ガスの場合には、賃貸物件に住んでいたとしても、多くのケースでガス会社の変更が可能です。ただし、物件の契約時に共有される「重要事項説明書」の中で「ガス会社の変更不可」と記載されていたり、そもそも乗り換え先の都市ガスの選択肢がなかったりする場合、都市ガスでも乗り換え不可となるケースがあります。
場合によっては乗り換えの際に解約金が発生する
現在契約しているガス会社の種類によっては、ガス会社の乗り換え時に解約金の支払いを求められる場合があるため、注意しましょう。
都市ガスからの乗り換えの場合、ガス会社を切り替えても解約金はかからないケースが多いとされています。ただし、高額なキャッシュバックキャンペーンを利用して契約していたり、インターネットやホームセキュリティなどとセットで契約していたりした場合、解約金が発生するケースもあるため、頭に入れておきましょう。
プロパンガスからの乗り換えの場合、多くのガス会社が契約期間を設けており、契約期間中に解約すると「違約金」が発生するケースが一般的です。
ガス会社を選ぶときのポイント
ガス会社を選ぶときに注目すべきポイントを3つ紹介します。ポイントを把握したうえでガス会社選びを進めれば、あれやこれやと迷わずに理想のガス会社を見つけられる可能性が広がります。
ガスの供給地域を確認する
ガス会社を選ぶときは、まずガスの供給地域を確認しましょう。多くのガス会社は、特定のエリアに絞ってガスサービスを提供しています。
供給地域を調べずに乗り換え作業を進めてしまうと、契約直前になって自宅にはサービスを提供していない事実が判明し、ガス会社の選び直しになってしまう恐れがあります。
特に都市ガスへの乗り換えを検討している場合、都市ガスは供給地域を都市部に限定していることが多いため、より入念に供給地域を確認する必要があるといえるでしょう。
供給地域を確認するときは、「〇〇(ガス会社の名前) 供給地域」で検索するのがおすすめです。
基本料金や従量料金に注目して選ぶ
供給地域を確認した後は、そのガス会社が提供しているサービスの内容、具体的には基本料金や従量料金をチェックしましょう。
基本料金とは、毎月一定額負担する必要がある費用のことです。従量料金とは、ガスの使用量に応じて負担する費用を指します。1立方メートルあたりで計算するケースが一般的です。
基本料金や従量料金に注目してガス会社を選ぶときには、自分のガス使用量に応じた料金表を確認しましょう。基本料金や従量料金は、ガスの使用量に応じて決まるパターンが多いからです。
ガス使用量をチェックするときに重宝するのが、契約中のガス会社が毎月発行している「検針票(ご使用量のお知らせ)」です。検針票にはガス使用量や請求額などがまとまって記載されているため、ガス代をシミュレーションしたりガス代を比べたりする場面で役に立ちます。
電気とのセット割の有無もチェック
現在契約している電力会社がガスサービスも展開しているようであれば、電気とガスのセット契約も視野に入れて検討しましょう。電気とガスのセット契約を提供しているエネルギー会社の多くが「セット割」を展開しているため、セット契約によって電気代もしくはガス代が安くなることがあります。
ただし、セット契約を選択したからといって、必ずしも電気代もしくはガス代が安くなるとは限りません。それぞれ別々に契約した方が、トータルでの光熱費が安くなることもあります。
Looopでんきでは、東京ガスの供給区域における「東京地区等」にお住まいで、都市ガスをご利用の方を対象にガスサービスも提供しています。電気とセットで契約すると、電気料金単価がいつでも1円(1kWhあたり)割引になるサービスを展開中です。
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ガス会社の乗り換え手順【都市ガスから都市ガス】
都市ガスから都市ガスに乗り換える際の手順を解説します。都市ガスから都市ガスへの乗り換え手順は比較的シンプルなので、あらかじめ手順を確認しておけば、迷わず乗り換えを進められるでしょう。
契約するガス会社を選ぶ
都市ガスから都市ガスに乗り換えるときは、まず乗り換え先になる都市ガス会社を選びます。
契約する都市ガス会社を選択するときは、自分のライフスタイルに合った会社を選ぶことが大切です。検針票に記載されている情報を基に、乗り換えた場合に想定されるガス代を計算し、メリットが大きいガス会社を選ぶのがおすすめです。
計算が面倒な場合には、各ガス会社が展開している「料金シミュレーション」を活用しましょう。契約中のガス会社や住居の形態などを入力するだけで、乗り換えた場合の料金を試算してくれます。
⇒東京エリアでおすすめのガス会社についてもっと詳しく知りたい方はこちら
インターネットや電話で申し込み
乗り換え先の都市ガス会社を見つけた後は、インターネットや電話で申し込みを行いましょう。
ガス会社への申し込みはインターネット経由がおすすめです。インターネット経由であれば、24時間365日好きなときに申し込みができるため、対応時間を気にせず手続きができます。
同じ住所で都市ガスから都市ガスに乗り換える場合、元々契約していたガス会社への解約手続きは不要です。解約手続きは、新規契約するガス会社が代行してくれます。
なお、契約先を変更した場合も、現在使用しているガスメーターをそのまま使用するため、ガスメーターの交換工事は必要ありません。
ガス会社の乗り換え手順【プロパンガスから都市ガス】
プロパンガスから都市ガスに乗り換える場合の手順を解説します。プロパンガスから都市ガスへの切り替えはやや手順が煩雑になるので、あらかじめ手順をしっかり確認しておくことが重要です。
ガス会社を選んで見積もりを依頼する
プロパンガスから都市ガスに乗り換えるときも、乗り換え手順は新規契約先となるガス会社の検討から始まります。プロパンガスから都市ガスに切り替える場合には、手続きを進める前にしっかりガス会社の供給地域を確認しておくことが重要です。
乗り換え先のガス会社を決めた後は、契約予定のガス会社に連絡し、見積もりを依頼しましょう。プロパンガスから都市ガスへ乗り換える場合、自宅にまでガス導管を引き込む工事が必要なため、現地調査のうえで工事費用を見積もってもらう必要があります。
なお、ガス導管の引き込み工事には10~15万円程度の費用が必要です。引き込むガス導管の距離が長くなるほど、費用が高くなる仕組みになっています。
申し込みを済ませて工事の日程を調整する
見積もり結果の料金や契約内容に不明点や懸念事項がなければ、そのまま申し込みに進みましょう。契約後は契約内容の変更が難しくなるため、不安や疑問がある場合には、契約前に担当者に確認しておくと安心です。
契約を結んだ後は、ガス導管の引き込み工事をする日程を調整します。ガス導管の引き込み工事には、道路管理者である行政や土地所有者などに許可を申請する必要があるため、申し込みから工事開始までに1~2カ月ほどかかるケースが多いとされています。
契約中のプロパンガス会社の解約手続きを行う
工事の日程が決まったら、現在契約中のプロパンガス会社に連絡し、解約の旨を伝えましょう。プロパンガスから都市ガスに乗り換える際には、自分で解約手続きを行う必要があります。
プロパンガス会社に解約日を伝える際には、新規契約した都市ガスが開通する日の前日を申告しましょう。これよりも早い解約日を伝えてしまうと、ガスが使えなくなる期間が発生してしまいます。
プロパンガスを解約する際には、プロパンガスの設備を撤去する作業が欠かせません。撤去作業が都市ガスの開栓作業と重ならないよう、余裕を持った日程調整を行いましょう。
ガス導管の引き込み工事を行ってもらう
工事予定日になったら、ガス導管の引き込み工事を実施してもらいます。
自宅の敷地が公道に面していて、ガスの本管が敷地の前面にまで通っている場合、引き込み工事は1日で終了するケースが多いとされています。しかし、ガスの本管を延長する必要がある場合、工事期間が1カ月以上に及ぶ可能性があるため、事前に工事期間をしっかり確認しておきましょう。
工事が終了したら、ガスの開栓と点火テストを行います。問題がなければ、ガスの使用をスタートできます。
ガス会社の乗り換えに関する疑問
ガス会社の乗り換えには「こんなときどうなるの?」という疑問がつきものです。安心してガス会社の乗り換えを進められるよう、疑問をすっきり解消しておきましょう。
乗り換えるとガスの品質は変わる?
ガス会社を乗り換えても、供給されるガスの品質が変わることはありません。
例えば都市ガスから都市ガスへ乗り換える場合、ガスを供給するために用いるガス導管は、元々地中に埋まっていた既存のものを使用します。
既存のガス導管は大手のガス会社が敷設し、使用していた導管であり、ガス会社を乗り換えたからといって、ガスの供給方法が変わるわけではありません。したがって、ガス会社の乗り換えによってガスの品質が落ち、ガスコンロの火力が弱くなったり、ガス漏れのリスクが上昇したりすることはないといえます。
乗り換え先のガス会社が倒産したらどうなる?
たとえ新規契約したガス会社がガスの小売事業から撤退したとしても、いきなりガスの供給がストップすることはありません。
ガス会社がガスの供給事業から撤退する場合、契約者に対する契約解除日の事前通知が義務付けられています。契約が解除されるまでに新たな契約先を探せる仕組みになっているので、「ガス会社が倒産した途端にガスが止まる」という事態が起きることはまずありません。
なお、なかなか切り替え先のガス会社が見つからない場合でも、新たなガス会社と契約を結ぶまで、地域のガス会社が撤退したガス会社の代わりにガスを供給してくれます。
ガスの乗り換えを機に電気とまとめる選択肢も検討してみよう
ガス代を節約したいのであれば、積極的にガス会社の乗り換えを検討しましょう。基本料金や従量料金が安いガス会社を選べば、ガスの使用量を強く意識しなくても、ガス代を圧縮できる可能性があります。電気とともにガスを供給しているエネルギー会社と契約しているのであれば、電気とガスの契約をまとめる方法も選択肢の1つです。実際のガス使用量からガス代をシミュレーションし、自分にとってのベストな方法を選んでいきましょう。
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