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再エネ賦課金の写真 再エネ賦課金の写真

近年は電気料金の値上がりが続いていますが、一般家庭の1カ月の電気代が30,000円は異常なのでしょうか?電気代が急に上がった原因を「内的要因」と「外的要因」に分けて解説します。効果が期待できる節電術もチェックしましょう。

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電気代が1カ月で30,000円は高いのか?

燃料価格の高騰や電気料金の値上げにより、ここ数年は電気代が高くなっています。一般家庭の電気代が1カ月で30,000円になることはあり得るのでしょうか?

4人家族でも30,000円以内が普通

電気代は、世帯人数に比例します。総務省統計局の調査によると、2023年における世帯別の平均月額電気代は以下の通りです。

  • 単身世帯:6,726円
  • 2人世帯:10,940円
  • 3人世帯:12,811円
  • 4人世帯:13,532円
  • 5人世帯:14,373円
  • 6人以上世帯:18,941円

暖房器具を使う冬は、ほかの季節よりも電気代が高くなります。以下は、3人世帯と4人世帯における月別の電気代です。データを見る限り、4人世帯でも冬(1~3月期)の電気代は、30,000円以内に収まります。

3人世帯 4人世帯
2023年1月 17,992円 19,061円
2月 18,845円 21,793円
3月 18,233円 18,969円
4月 14,320円 14,811円
5月 12,152円 12,429円
6月 9,703円 10,444円
7月 9,091円 9,267円
8月 10,472円 10,859円
9月 11,290円 11,940円
10月 11,336円 11,377円
11月 10,124円 10,294円
12月 10,168円 11,137円

※出典: 家計調査 <用途分類>1世帯当たり1か月間の収入と支出 4 世帯人員・世帯主の年齢階級別 総世帯・勤労者世帯 年次 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
※出典: 家計調査 家計収支編 二人以上の世帯用途分類 004 用途分類(世帯人員別) | 統計表・グラフ表示 | 政府統計の総合窓口

オール電化なら電気代は高くなる

オール電化とは、ご家庭で使うエネルギーのすべてを電気で賄うことです。ガス・灯油を併用するご家庭に比べ、冬は電気代が高額になる傾向があります。使用する電化製品の種類によっては、電気代が30,000円を超える月もあるでしょう。
近年のオール電化住宅では、省エネ性能に優れた「ヒートポンプ給湯器」や「エアコン」を使用しているケースが多く、それなりに電気代を抑えられます。
一方、「ヒーター式の電気温水器」や「蓄熱暖房機」といった旧式の器機は消費電力が大きいため、冬の電力使用量が1カ月で3,000~5,000kWhになることもあるようです。
※出典: ひと月の電気代が10万円超え!?オール電化住宅の電気代を考える|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁
オール電化についてもっと詳しく知りたい方はこちら

電気代が増える内的要因

季節的な理由のほかに、電気代が高くなる要因はあるのでしょうか?まずは、ご家庭の事情である「内的要因」から解説をします。

ライフスタイルの変化

電気代が高くなったご家庭の多くは、電力使用量が増えています。単に電気の無駄遣いをしているケースもありますが、ライフスタイルの変化がなかったかを振り返ってみましょう。

  • 在宅勤務になり、自宅にいる時間が増えた
  • 家族やペットが増えた
  • 子どもに1人部屋を与えた
  • 在宅介護を開始した

子どもが中学生に上がれば、夜遅くまで勉強をすることが多くなり、エアコンや照明の稼働率が上がります。
在宅介護では、部屋の温度や湿度に気を使わなければなりません。医療機器を使う場合もあり、電気代がかさみやすくなります。

消費電力の大きい電化製品の多用

消費電力の大きい電化製品を頻繁に使用すると、電気代が高くなります。1回あたりの消費電力が大きい電化製品には、以下のようなものが挙げられます。

  • IHクッキングヒーター
  • 子レンジ
  • アイロン
  • 電気炊飯器
  • 浴室乾燥機
  • 温水洗浄便座
  • ハロゲンヒーター
  • ゲーミングパソコン

ゲーミングパソコンの中には、消費電力が1,200W以上になる機種があります。パソコンの電気代だけで月5,000円を超えることも珍しくありません。
また、10年以上前の古い電化製品は、新しい電化製品に比べて省エネ性能が劣ります。特に、冷蔵庫は24時間・365日稼働しているため、省エネ性能が高い製品に買い替えた方がよいでしょう。

料金プランと生活が合っていない

電気の料金プランとライフスタイルが合っていない場合、無駄な電気代が生じやすくなります。
大手電力の一般的な料金プランは「従量電灯」と呼ばれ、いつ電気を使っても料金単価が変わりません。一方で、オール電化住宅向けや深夜電力、夜間電力は、深夜から明け方にかけての料金が安く、それ以外の時間は割高になるのが通常です。
例えば、東京電力エナジーパートナーの「スマートライフS」では、1kWhあたりの電力量料金が以下のように設定されています。

  • 午前6時〜翌午前1時:35.76円
  • 午前1時~午前6時:27.86円

「深夜から明け方の電気料金が安いプラン」を選んだのにもかかわらず、日中の電力使用量が多い場合、電気代が無駄に高くなってしまうでしょう。
※出典: スマートライフ(オール電化)|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社

電気代が増える外的要因

「電力使用量は増えていないのに、なぜか電気代が高くなった」というご家庭は、外的要因が影響している可能性が高いでしょう。
ご家庭の努力や工夫によって改善ができる内的要因に対し、外的要因は自分たちの力だけではコントロールが難しいのが特徴です。

燃料費調整額の値上がり

「燃料費調整額」とは、電気料金の項目の1つです。火力発電で電気をつくるには、原油や石炭などの燃料を調達しなければなりません。
日本はエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っており、燃料価格は輸入国の情勢や為替変動に大きな影響を受けます。電力会社の経営を維持するため、燃料価格の変動を電気料金に反映する仕組みが取り入れられているのです。
燃料費調整額は年間を通して一定ではなく、燃料価格が高い時期にはプラス調整、安い時期にはマイナス調整が行われます。
電力小売自由化以降にできた「自由料金プラン」は、燃料費調整額の上限に法的な制限がありません。上限がないプランであれば、燃料価格の高騰によって、電気代が一気に高くなる可能性もあるでしょう。
Looopでんきの「スマートタイムONE」は、電気の料金単価が市場価格と連動する「市場連動型」です。燃料費調整額が市場価格に内包されているため、電気料金に燃料費調整額の項目がありません。
燃料費調整額についてもっと詳しく知りたい方はこちら

漏電や盗電の可能性も

高額請求があった場合は、盗電(電気の窃盗)の可能性を疑いましょう。延長コードを使えば、マンションのベランダにあるコンセントや給湯設備用の屋外コンセントから電気を盗むことはそれほど難しくありません。
窃盗の疑いがあるときは、周囲に防犯カメラを設置すると同時に、鍵付きのコンセントカバーを取り付けましょう。
漏電を疑う方もいますが、漏電時はブレーカーが自動的に落ちるのが通常なので、漏電したまま電気を使い続けるケースはほとんどありません。心配な方は電気工事業者に確認を依頼しましょう。

2024年6月以降の電気代が高い理由

「2024年6月以降の電気代が高い」と感じるご家庭は多いのではないでしょうか?「政府の補助金の終了」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金の引き上げ」により、ご家庭の負担は増加しています。

政府の補助金は5月分で終了

2023年1月の使用分からスタートした政府の補助金「電気・ガス価格激変緩和対策事業」は、2024年5月使用分で終了しました。これまでの値引き期間と値引き単価は、以下の通りです。

  • 2024年4月使用分まで:1kWhあたり3.5円
  • 2024年5月使用分のみ:1kWhあたり1.8円

6月分からは補助金の適用がなくなり、各家庭の負担が増えています。月の電力使用量が400kWhのご家庭の場合、2024年5月使用分は約680円の負担増、 補助金が完全に終了する6月以降は、1カ月あたり約1,400円の負担増です。
2024年6月、岸田文雄首相は「酷暑乗り切り緊急支援」として、8、9、10月の電気代とガス代の補助を再開する方針を示しました。
※出典: 電気・ガス料金支援|経済産業省 資源エネルギー庁

再エネ賦課金も3.49円に引き上げ

「再生可能エネルギー発電促進賦課金(以下、再エネ賦課金)の引き上げ」も電気代が高くなっている要因の1つです。
各電力会社では「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」に基づき、太陽光発電や風力発電などの「再生可能エネルギー」を買い取っています。
電力会社が買い取りに要した費用の一部は、電気の利用者が電力使用量に応じて負担するルールです。再エネ賦課金は、経済産業大臣によって毎年度決定され、毎年5月使用分~翌年の4月使用分の電気料金に適用されます。
2023年度(2023年5月分~2024年4月分)の再エネ賦課金は1kWhあたり1.40円でしたが、2024年度(2024年5月分~2025年4月分)は、3.49円に引き上げられました。去年と比較すると2.09円も値上がりしている計算です。
※出典: 再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価を設定します (METI/経済産業省)

電気代が高いときにやること

電気代が高いと感じたときは、これまでの電気の使い方を見直す必要があります。電力会社を一度も変えたことがない方は、新電力への乗り換えも検討しましょう。

できる限りの節電対策

まずは、できる限りの節電対策で月々の負担を減らす必要があります。しかし、1カ月の電気代が30,000円を超えるご家庭にとって、電源コードの抜き差しで節電をしてもあまり効果は実感できないでしょう。
ポイントは、電力消費割合が大きい「エアコン」「冷蔵庫」「照明」の節電から着手することです。電化製品は10年間で省エネ機能が大きく進化するため、古いものは買い替えを検討しましょう。以下は、節電方法の一例です。

  • 厚手のカーテンをつるし、窓の断熱性を高める
  • 冬はエアコンや暖房器具の使用を控え、こたつや電気カーペットを使う
  • 冷蔵庫の設定温度を下げすぎない
  • 日中はカーテンを開け、照明器具をできるだけ使わない
  • 白熱電球や蛍光灯をLEDに変える

電力会社やプランの変更

以前は、地域ごとに利用できる電力会社が決まっていましたが、2016年4月1日以降は、電気の利用者が電力会社を自由に選べます。
新たに参入した「新電力」のほとんどは、大手電力よりも料金が安く設定されているケースが多く、電気以外のサービスとの「セット割」も充実しています。
ライフスタイルに合ったプランが見つかれば、無理な節電をしなくても、電気代を下げられる可能性があるでしょう。

電気代が高いと感じたら早めに手を打とう

全国平均を見ても、1カ月の電気代が30,000円を超えることはほとんどありません。ただし、旧式の電化製品を使っているオール電化住宅では、冬の電気代が30,000円以上になるケースがあります。
2024年6月以降、「酷暑乗り切り緊急支援」として8月から10月は値引き支援があるものの、補助金の終了によって基本的にはご家庭の負担が増えています。再エネ賦課金も大きく値上がりしたため、何らかの対策を講じなければ、家計はどんどん苦しくなるでしょう。電気代が高いと感じたら、早めに手を打つことが肝要です。

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