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全量売電?余剰売電?太陽光発電における売電のポイントをご紹介 全量売電?余剰売電?太陽光発電における売電のポイントをご紹介

地球温暖化防止対策として、再生可能エネルギーの利用が促進されています。なかでも、住宅でも導入できる太陽光発電は、発電した電気を電力会社に買い取ってもらえるので関心が高まっています。
本記事では、太陽光発電の売電制度とはどういうものか、売電はいつまでいくらでできるのか、2022年4月から始まる新しい制度はどのようなものか、などについて解説します。

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売電制度の基礎知識

太陽光発電には、発電した電気を売ることができる売電制度があります。以下では、売電制度について説明します。

売電制度とは

売電制度とは、太陽光発電設備で発電された電力を電力会社に政府が定めた価格で売ることのできる仕組みのことです。

この制度は、固定価格買取制度(FIT)で定められています。価格は、毎年度、経済産業省が決定し、一定期間、その価格で買い取ってもらえます。例えば、住宅用太陽光発電を2022年度に導入した場合、その後、毎年売電価格が変わっても、2031年度までの10年間は17/kWh円で余剰電力を買い取ってもらえます。

経済産業省では、売電価格を毎年見直して価格を決定していますが、制度がスタートして以来、売電価格は年々低下しています。
2022年度の売電価格は、10kWh未満の一般住宅の屋根に設置する余剰売電タイプの場合17円/kWh(税込み、売電期間10年)、工場の屋根などに設置する10~50kW未満の余剰売電タイプは11円/kWh(税抜き、同20年)、50~250kW未満の全量売電タイプは10円/kWh(税抜き、同20年)となっています。

※出典:経済産業省ウェブサイト

FIT制度とは

FIT制度は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気調達に関する特別措置法(FIT法)」という法律で定められています。一般家庭や事業者が太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が政府の決定した買取価格で買い取ることを決めている制度です。ここで言う買取価格と前述の売電価格も同じ価格のことで、発電した電力を電力会社に売る立場から見ると売電価格となり、電力を買い取る電力会社の立場から見ると買取価格になります。

再生可能エネルギーの利用は、発電設備の建設費や維持費が高く、既存の発電方法に比べると発電効率も良くないことから、なかなか普及しませんでした。そこで、政府は再生可能エネルギーの普及を図るため、売電収入が一定期間確約されるFIT制度を2012年度に開始しました。

FIT制度を維持するために、再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)という制度も設けられました。電気を使用する各家庭の電気料金に再エネ賦課金を上乗せして、電力会社が再エネによる電気を買い取る費用に充てることを目的としています。
買取制度がスタートした2012年度の賦課金は0.22円/kWhでしたが、その後毎年引き上げられていて、2021年度は3.36円/kWhとなっています。各家庭の再エネ賦課金の金額は、電力会社から届けられる検針票(電気ご使用量のお知らせ)で確認できます。

一方、買取価格や調達期間は、調達価格等査定委員会の意見に基づいて、事業に必要な費用や適正な利潤などを勘案して経済産業大臣が決定しています。制度スタート時の2012年度の住宅用買取価格(10kWh未満)は42円と高いものでしたが、その後、年々低下し、2022年は17円となっています。

※出典:経済産業省資源エネルギー庁 なっとく!再生可能エネルギー固定価格買取制度
※出典:東京電力エナジーパートナー 再生可能エネルギー発電促進賦課金単価のお知らせ

全量売電と余剰売電

全量売電と余剰売電 全量売電と余剰売電

先にFITでの売電には全量売電と余剰売電があることをご紹介しましたが、ここではその基礎知識などを詳細に説明します。

全量売電とは

全量売電とは、太陽光発電によって発電したすべての電気を電力会社に売電する仕組みのことです。発電事業者の収益に配慮していることから安定した売電が見込め、収益性の高い事業を確立しやすいので、産業用太陽光発電とも呼ばれています。

この制度は、発電設備の設置容量が50kW以上(250kW以上は入札)の設備が対象で、2022年度の全量買取価格は、容量が50~250kw未満の場合、10円/kWh(税抜き)で買取期間は20年です。

ただ、2022年度は低圧容量の10~50kw未満は余剰売電となりましたが、例外としてソーラーシェアリングに限り、「災害時に電源として使用できること」「10年間の一時転用が認められ得る」という条件付きで全量売電が認められました。単価は11円/kWh(税抜き)です。

ソーラーシェアリングは営農型太陽光発電設備で、農業をしながら畑に太陽光設備を設置して1つの土地から2種類の収入を得ることです。ソーラーシェアリングによる農地転用は3年間限定ですが、認定農業者などが荒廃農地の活用や、第2種・第3種農地を活用することによって、10年間の農地転用が可能になっています。

※出典:農林水産省大臣官房 営農型太陽光発電について

余剰売電とは

余剰売電とは、太陽光発電で発電した電気設備を設置している家庭で自家消費して、その余った電気を電力会社に売電することです。対象になっているのは、10kW未満の住宅用太陽光発電と、10~50kW未満の産業用太陽光発電です。ただし、10~50kW未満でも、前述のとおり、ソーラーシェアリングは条件付きで全量売電となっています。

2022年度の買取価格は、容量が一般家庭の屋根に設置するタイプの10kW未満の場合が17円/kWh(税込み)、工場などの屋根などに設置するタイプの10~50kW未満の場合は11円kWh (税抜き)となっています。ただし、10~50kW の場合、少なくとも30%の自家消費を行う必要があります。買取期間は、10kWh 未満は10年間、10~50kWは20年間です。

この自家消費率の認定を受けるには、どの程度の電気を自分で消費するかを示す「自家消費支出計画」と自家消費が可能な設備になっていることを表す「配線図」の提出が必要です。また、運転開始後に売電量を増やすのを防ぐために、自家消費率が30%以上となっていることが確認されます。もし、自家消費計画書の自家消費率が実現できないと考えられた場合は、FIT認定取消しの可能性もあります。

また、FIT認定要件には、災害などによる停電時に、太陽光発電の電気を活用できる自立運転機能を持った設備であることとされ、自立運転機能を備えたパワーコンディショナーのコンセントを設置することが必要です。

全量売電と余剰売電の比較
容量 価格(税抜き) 買取期間
全量売電 50kW以上 10円/kWh 20年
余剰売電 10~50kW 11円/kWh 20年
10kW未満 17円/kWh 10年

※出典:経済産業省資源エネルギー庁 再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2021年度版

全量売電と余剰売電は選ぶことができるの?

従来のFIT制度では、10kW以上の太陽光発電であれば、全量売電と余剰売電を選ぶことができましたが、2020年度から制度が変わり、10kW以上の場合も10kW未満と同様に余剰売電のみとなりました。この結果、10~50kW未満の太陽光発電システムでは、ソーラーシェアリングの場合は、条件を満たせば全量買い取りになります。

つまり、50kW未満では原則余剰売電になりますが、ソーラーシェアリングの場合だけは余剰売電と全量売電を選べるものの、全量売電には決められた条件を満たすことが必要です。

なお、50~250kW未満は全量売電になります。

※出典:一般社団法人 日本住宅工事管理協会 「太陽光発電のFIT変更点・売電価格は?2020年度版」

全量売電と余剰売電はどちらがお得?

全量売電と余剰売電ではどちらの方がお得か、気になるところです。この点について、以下で説明します。

売電価格は年々値下がりしている

FIT制度における売電価格は、年々値下がりしています。前述のとおり、FIT制度は電気事業者をサポートするために高めに設定されていました。10kW未満の住宅用設備の場合、スタート時には42円/kWhでしたが、その後、毎年1~3円値下がりし、2022年度は17円/kWhとなっています。

※出典:経済産業省資源エネルギー庁 再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック2021年度版
※出典:TEPCO 従量電灯B・C
※出典:経済産業省資源エネルギー庁 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」

自家消費で電気代が節約できる

自家消費とは、太陽光発電設備を設置した住宅や工場が、発電した電気を自分のところで消費することを言います。FITでは、2022年度から50kWh未満の発電設備は、特例を除いて自家消費を優先し、余った電気を電力会社に買い取ってもらう余剰売電に転換しました。その買取価格は、2022年度では10kWh未満の場合17円/kWh、10~50kWh未満の場合が11円/kWhとなっていて、年々低下しています。

一方、ご家庭が電力会社から購入する電気料金の平均単価は29円(2021年11月現在)で、現在は購入価格が売電価格を上回っていることが分かります。このように発電単価が売電価格と同じか、それよりも安くなる状況をグリッドパリティ(グリッドは送電網、パリティは同等という意味)と言います。

この場合、発電した電気を売るよりも、蓄電池を設置して夜間の電気を購入しないで蓄電池の電気を自家消費する方がお得になります。

※出典:新電力ネット 電気料金単価の推移
※出典:新電力ネット グリッドパリティ

売電収入を増やす方法

売電収入を増やす方法 売電収入を増やす方法

余剰電力を売電するにしても、売電収入を増やす方法はあるのでしょうか。以下で、説明します。

余剰電力を増やす

まず、考えられるのは、余剰電力を増やすことです。余剰電力を増やすには、使用する電力を減らすこと、つまり、節電が1つの手段になります。テレビや照明などのつけっ放しを止めてこまめに切ること、省エネタイプの家電製品に買い替えること、白熱電球を消費電力の少ないLED電球に切り替えることなど節電を心がけましょう。

コンセントにつないでいるだけで発生する待機電力を減らすことも大切です。経済産業省資源エネルギー庁によると、待機電力は家庭の消費電力量の5.1%もあります。

また、蓄電池を利用して、夜間の安い電気を購入して蓄電池に溜め、利用する方法もあります。この場合は、蓄電池の購入費用が発生します。

買電先の切り替えも1つの方法です。現在、電力の自由化により多くの新電力事業者が参入しています。その中には、FITの買取価格よりも高い単価で太陽光発電による電気を買い取ってくれるところがありますので、検討してみてはいかがでしょうか。

※出典:経済産業省資源エネルギー庁 平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要

発電量を増やす

発電量を増やせば、売電収入を増やすことができます。そのため、これから太陽光発電設備を導入するのであれば、発電効率の高い設備を選ぶことです。ソーラーパネルでは、面積あたりの発電量や電力変動率の高い設備もありますので、コスト計算をしてコストパフォーマンスの良い設備を購入することが大切です。

また、適切なメンテナンスも重要です。機器の故障や汚れは発電量の低下を招きます。パワーコンディショナーは故障や電圧抑制で発電量が落ちるので、表示板や電力モニターのチェックは欠かせません。機器のトラブルを早期に発見するように心がけましょう。

2022年から新たに始まるFIP制度

2022年4月1日から、現在のFIT法は改正されて、「再生可能エネルギー電気の利用促進に関する特別措置法」となります。現在のFIT制度では価格は電力市場と切り離されて決められていますが、新しい制度では、電力市場と連動した仕組みとなります。

FIP制度の仕組み

FIP制度は「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、再エネ発電事業者が売電する際に、売電価格に一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることによって、再エネの導入を促進しようというもので、収入は市場価格に連動しています。欧州などではすでに取り入れられている制度です。

仕組みは、まず再エネ電気が供給されるのに必要な費用などを考慮して基準価格(FIP価格)が定められます。当初は、FIT制度の調達価格と同じ水準にされます。同時に、市場取引によって発電事業者が期待できる収入分を参照価格として決めます。再エネ発電事業者が卸電力取引市場で売電した際に、その売電収入に、基準価格から参照価格を差し引いた差額(プレミアム)を売電量分上乗せして交付することになります。

この参照価格は、卸電力市場や非化石価値取引市場と連動して、毎月見直されます。非化石価値とは、石油や石炭などの化石燃料を使っていない非化石電源で発電された電気の環境価値となります。

FIT制度との違い

FIT制度とFIP制度の違いは、目的にあります。FIT制度は、既存のエネルギーに比べて発電コストがかかり普及が難しい再エネを普及するために、固定価格による買い取りを保証するなど発電事業者を保護していました。市場取引は免除されていたため、個人でも参入しやすいというメリットがありました。

これに対して、FIP制度の目的は、再エネの自立を後押しして完全自由競争にすることです。再エネ発電事業者は卸電力取引市場で取引をして、再エネで発電された電力にプレミアム額をプラスするので、再エネ発電事業者の投資インセンティブが確保されます。プレミアム分は電気使用者から徴収した賦課金で賄われますが、FIT制度に比べ金額を抑えられ、電気使用者の負担を軽減できます。

※出典:経済産業省資源エネルギー庁 再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート

FIP制度には3つの種類がある

海外で導入されているFIP制度には、以下の3種類があります。日本で検討されているFIPはプレミアム固定型とプレミアム変動型の中間の制度で、プレミアム単価は市場価格の変動に応じて一定期間ごとに変更される方針です。

1.プレミアム固定型FIP
電力卸市場価格に固定されたプレミアムを付与するタイプです。電力需要の大きい時間帯における再エネ供給のインセンティブが高まりますが、再エネ事業者の利益が卸電力価格の変動に大きく左右されます。

2.プレミアム固定型FIP(上限・下限付)
市場価格とプレミアムを合わせた金額に上限と下限を設定するタイプです。これによって、卸電力価格の変動による事業収益性への影響をある程度減らすことができます。しかし、適正な上限値、下限値を設定することが難しいというデメリットがあります。

3.プレミアム変動型FIP
電力卸市場価格の上下に応じて、付与するプレミアムが変動する方式です。この方式では、卸価格の変動による収益性への影響を抑えることができるのが特徴です。反面、市場価格が低下した場合、賦課金が増大するというデメリットがあります。

※出典:一般財団法人新エネルギー財団 FIP制度への移行について(その1)―FIP制度の狙いとは―
※出典:一般財団法人新エネルギー財団 FIP制度への移行について(その2)―日本版FIPのポイント―

FIP制度のメリット・デメリット

FIP制度のメリット、デメリットについてみてみましょう。

メリットは、再エネ発電事業者はプレミアムを付与されるので、再エネへ投資するインセンティブが確保されることです。また、電力需給に応じて変動する市場価格に対して、蓄電池を活用するなどして市場価格が高いときに売電をすることで、より収益を拡大できるメリットがあります。

さらに、再エネ発電事業者は計画値と実績値を一致させるバランシングが求められますが、その方法として小規模な再エネ電源を束ねて制御し、市場取引を代行するアグリゲーション・ビジネスの発展が期待されます。

一方、デメリットは、再エネ発電事業者が市場競争に参入しなければならないので、設備開発費など事業者の負担が増すことです。また、卸売市場価格が大きく変動することによって、発電事業者は収益を予想することが困難になるため、事業者の新規参入のハードルが高くなることもデメリットです。

さらに、発電事業者はバランシングができない場合、計画値と実績値の差を埋めるための費用を払う必要があります。

※出典:経済産業省資源エネルギー庁 再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート

売電と自家消費をうまく組み合わせよう

住宅などで太陽光発電設備を設置する場合、自家消費をしたうえで売電することになるので、売電と自家消費をうまく組み合わせることがポイントになります。現在は、電力会社から購入する電気料金の単価が、電力会社に買い取ってもらう売電単価を上回っているため、売電よりも自家消費によって購入する電気を減らす方がお得になります。

太陽光発電は日中に発電するので、発電設備だけの場合、夜間は電力会社から高い電気を購入するしかありません。その場合は、夜間に使用する電気を減らすか、安い夜間の電気を購入するなどの方法しかありません。初期費用は少し高くなりますが、蓄電池も一緒に設置すれば、昼間に発電した電気を蓄電池に蓄え、夜間に蓄えた電気を使用すれば、購入する電気料金を減らすことができます。

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