近年、光熱費削減や環境意識の高まりを背景に、太陽光発電の設置が注目されています。しかし、具体的な設置費用や補助金制度、元を取るまでの年数など、不明な点が多いのも事実です。本記事では、設置費用の内訳や設置後のランニングコストなどについて詳しく解説します。また、補助金や売電収入を活用することで、どのように経済的メリットを得られるかも紹介します。
太陽光発電の設置にかかる費用
太陽光発電については、政府が積極的に補助制度を打ち出していたこともあり、「実際にお得になるなら」と、導入を考えていた方も多いのではないでしょうか。
しかし、設置にかかる費用や、元を取るまでにどのぐらいの年数が必要なのかなど、疑問点も多いためなかなか決断に踏み切れなかった人も多いのではないでしょうか。そこで、太陽光発電の設置と設置後にかかる費用を分けて紹介します。
まずは初期費用について、設置費用の内訳とポイントについて詳しく解説します。
太陽光パネル
太陽光発電の要である太陽光パネルは、設置費用の大半を占める重要な要素です。太陽光パネルは、太陽電池セルを複数枚直列に繋げてパッケージ化したもので、太陽光パネルの大きさ(枚数)によって、発電量も異なります。
太陽光パネルの価格相場は1kWにつき約14~30万円程度で、住宅用で多い3~5kWを選ぶ場合、42~150万円程度の費用が必要になります。この金額は、パネルの販売業者や種類、機能によって異なります。
たとえば、積雪の多い環境では、耐荷重や素材についても十分に検討しなければなりません。
適切な選択のためには、性能や保証期間などを比較検討することが大切です。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナー(パワコン)は、太陽光パネルで発電された直流電流を家庭で使用可能な交流電流に変換する装置です。このため、太陽光発電システムには欠かせない存在です。
一般的な相場は1kWあたり4万円程度のため、1台あたりの金額は12万~20万円程度となります。こちらも設置するシステムの規模やメーカーによって異なります。
また、耐用年数は10~15年程度であるため、長期運用を考える場合には交換費用も見積もりに入れる必要があります。定期的なメンテナンスと交換計画を立てることで、トラブルを防ぎ、効率的な運用が可能です。
架台
架台は、太陽光パネルを設置するための土台となる部分です。設置場所が屋根上か地上かにより、選ぶ材料や形状が異なり、それに伴って費用も変化します。
例えば、屋根用の架台は屋根材に合わせた設計が必要ですし、積雪の多い地域であれば耐荷重についても考慮する必要があります。相場は10万円から15万円程度です。
設置場所に適した架台を選ぶことで、システム全体の効率を向上させることができます。
工事にかかる費用
太陽光発電システムの設置には、専門業者による施工が必要です。
設置工事にかかる費用は内容や規模によって異なりますが、相場は20万円から40万円程度です。
屋根補強や配線工事以外にも、電力会社との接続工事などが含まれます。
また、依頼する業者によっても費用は変わってきますので、業者選びの際には施工実績やアフターサポート体制を確認しつつ、適切な金額の業者を探すことが大切です。
蓄電池を併せて設置する費用
蓄電池を設置することで、太陽光発電で発電した電力を貯めておくことができます。太陽の出ていない夜間であっても、昼間に貯めた電力を使えるようになるので、さらなる電気代の節約につながります。
蓄電池の平均価格は、およそ100~200万円程度です。こちらもメーカーによって異なります。
補助金を利用することで、1kWhあたり14万円程度まで下げられるという試算もあります。
また、設置費用については、20万円〜が相場となっています。一般的に、屋外に設置する方が高くなる傾向にあります。
その他の費用
太陽光発電の設置には、設備や工事費以外にもさまざまな付帯費用が発生します。代表的なものとして、初期調査費用や保険料があります。初期調査費用は、設置場所の状況を確認し、最適な設計を行うためのもので、相場は数万円ほどです。
また、自然災害や盗難に備えた保険加入も重要で、年間1万~2万円程度の費用がかかります。
太陽光発電の設置後にかかる費用
設置後のランニングコストを把握することは、長期的なコスト管理において重要です。太陽光発電では、メンテナンス費用や部品交換費用が発生するほか、撤去が必要となるケースもあります。設置後の具体的な費用について解説します。
メンテナンス費用
太陽光発電システムを長期的に効率良く運用するためには、定期的なメンテナンスが必要です。主なメンテナンス内容としては、パネルの清掃、電気系統の点検、パワーコンディショナーの確認などがあります。
特に、パネルに付着した汚れやホコリは発電効率を低下させるため、定期的な清掃が推奨されています。
資源エネルギー庁の公表した資料によれば、3~5年に1回のメンテナンスが必要であり、1回あたりの金額は約3.5万円とのことです。
メンテナンス契約を結ぶことで定期的な点検が保証される場合もあります。メンテナンスを怠ると発電効率が低下し、結果的に収益が減少する可能性があるため、計画的な管理が重要です。
出典: 太陽光発電について|資源エネルギー庁
修理や交換にかかる費用
太陽光発電システムの運用中には、部品の劣化や故障が発生する可能性があります。
特に、パワーコンディショナーは10~15年程度の寿命とされており、交換が必要になることが一般的です。
また、太陽光パネルの一部が故障した場合には、修理費用として1カ所あたりで3万円前後、高い部分になると7〜8万円程度が必要になることがあります。
これらの費用は、発電システム全体の性能や寿命に直結するため、故障の早期発見と修理が重要です。
定期点検を通じて部品の状態を把握し、適切なタイミングで交換することで、システムの安定した運用を確保することが重要です。
撤去費用
太陽光発電システムを撤去する必要があるケースもあります。たとえば、建物の解体や大規模なリフォームを行う場合などです。
設置から数十年が経過し、システムが寿命を迎えた場合にも撤去が必要です。撤去費用の相場は、システムの規模や設置条件によって異なるため、事前に概算を把握しておきましょう。
特に、地上設置型の場合、基礎部分の撤去に追加の費用がかかる場合があります。撤去費用を抑えるためには、設置時に将来的な撤去コストを見積もり、適切なプランを選ぶことが重要です。
太陽光発電設置に関する補助金
太陽光発電の設置を促進するため、地方自治体による補助金制度が存在する場合があります。国からの補助金は廃止されていますが、一部の地域では補助金を活用して費用を抑えることが可能です。この章では、補助金の現状や申請方法について詳しくご紹介します。
国からの補助金はなし
2021年度以降、日本において太陽光発電の設置を支援する国の補助金制度は廃止されています。
かつては再生可能エネルギーの普及を目的として、国が積極的に補助金を提供していましたが、制度が十分に普及し、設置費用が以前よりも低下したことから廃止に至りました。
ただし、一次エネルギー消費量の年間収支0を目指す住宅(ZEH住宅)の場合は、補助金を受け取れる可能性はあります。また、次の章で説明しますが、独自の補助金制度を設けている自治体もあります。
地方自治体は補助金があるところも
地方自治体の中には、独自に太陽光発電の設置を支援する補助金制度を設けている場合があります。金額や条件などは、自治体によって異なり、設置費用の一部を補助するものや、蓄電池の導入と組み合わせた制度が見られます。
例えば東京都千代田区であれば、住宅の場合は対象経費の20%(最大125万円)の補助金を受け取ることができます。
また、東京都もパワーコンディショナー(パワコン)の交換に対して補助金を出しています。他にも、神奈川県鎌倉市、大阪府堺市などに補助金制度があります。
太陽光発電の設置を行う際、現在住んでいる自治体が補助金制度を導入しているかはチェックしてみましょう。
太陽光発電は何年で元が取れるのか
太陽光発電の導入における大きな関心事は、投資回収にかかる期間です。たとえ電気代が安くなったとしても、設置やランニングコストの方が高くては、節約のために導入する意味はありません。何年ほどで投資費用が回収できるのかを、以下に解説します。
年間約6万円ほど得になる見込み
太陽光発電を導入することで、年間の光熱費を約6万円削減できると見込まれています。
家庭の電力消費量や設置する太陽光パネルの規模によって異なりますが、一般的な家庭用システム(5kW程度)の場合、約2,000kWhほどの消費電力量を賄えるため、年間約6万円という計算になります。(電気料金単価31円で計算)
特に、昼間の電力使用量が多い家庭ほど節電効果が大きくなります。これは、太陽光発電で発生した電力を自家消費することで、市場価格の高い昼間の電気代を削減できるためです。さらに、電気代が値上がりしている現状を考えると、将来的にはさらに高い削減効果が期待できます。
売電収入は約7万円ほど
太陽光発電で生じた余剰電力は電力会社に売却することができます。この制度をFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)といいます。
売電価格は太陽光発電を設置した年度によって異なりますが、2024年度の場合、年間約7万円の売電収入が得られるとされています。
この収益は、設置したシステムの規模や発電量、地域の日照条件によって変動します。
売電収入を活用すれば、投資回収期間を短縮することが可能です。
回収年数は平均10年ほど
太陽光発電の設置にかかる費用は、一般的に約150万円から200万円程度とされています。これに対し、節電効果と売電収入を合計すると、年間約13万円の経済的メリットが見込まれるため、平均して10年ほどで設置費用を回収できる計算になります。
ただし、補助金の利用やシステムの規模によっては、回収年数が短縮される場合もあります。具体的な回収年数を計算する際には、設置費用だけでなく、メンテナンス費用や部品交換費用も考慮することが重要です。
太陽光発電の設置で元はとれるのか
太陽光発電は、長期的な視点で見ると設置費用を回収するだけでなく、経済的メリットを享受できる可能性が高い投資です。
しかし、設置場所の日照条件や電力の使用状況によっては、回収期間が長引く場合もあります。
設置費用は下がっているものの、補助金制度の終了や買取価格が低くなっていることなどを踏まえると、この先必ず元が取れるとは断言できない現状です。
また、システムのメンテナンスコストも考慮する必要があるため、事前に十分な情報収集と費用対効果の分析を行うことが重要です。適切に試算を行なってから導入することで、経済的メリットだけでなく、環境貢献にもつながります。
電力会社のプランも見直してみよう
太陽光発電を導入することで光熱費を大幅に削減できますが、さらに節約効果を高めるには、電力会社のプランを見直すことが効果的です。家庭での電力使用状況や太陽光発電の余剰電力の活用方法に応じて、最適なプランを選ぶことで、さらなるコスト削減が期待できます。
たとえば、使用量に応じた単価が安いプランや、太陽光発電との相性が良いプランを提供している電力会社も増えています。また、現在の電力会社の契約内容に不満がある場合には、他社への乗り換えを検討するのもおすすめです。乗り換え手続きは簡単で、料金やサービス内容の比較を行うことで、自分に最適な選択が見つかります。
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