太陽光発電の導入を検討しているなら、設置後の効果を理解しておくのがおすすめです。メリット・デメリットを把握すれば、導入する価値があるのか判断しやすくなるでしょう。太陽光発電の導入効果や活用のポイントを解説します。
太陽光発電の基礎知識
太陽光発電という言葉を聞いたことがあっても、どのように電気を生み出すのか分からないという方も多いでしょう。まずは太陽光発電の仕組みや利用イメージを解説します。
電気を生み出す仕組み
太陽光発電では、光エネルギーを電力に変換する太陽電池が用いられています。太陽電池を数多く並べたものがソーラーパネルです。
太陽電池には2種類の半導体の層があり、光を浴び続けている間は層をつなぐ導線に電流が流れ続けます。
光エネルギーの影響で物質内から電子が飛び出す現象を、光電効果と呼びます。ただ、太陽光が当たっても光電効果で十分な電子を確保できないため、2種類の半導体に乾電池のような役割を持たせて電気を生み出しているのです。
太陽電池で発電された電気は直流電流(DC)であるため、そのままでは家庭で使えません。パワーコンディショナー(パワコン)を経由し、家庭でも使用できる交流電流(AC)へと変換されます。
電気の利用イメージ
太陽光発電のみを設置しても、太陽光発電により生み出された電気を使えるのは、発電中のみです。太陽光発電の稼働中に発電した電気を使い、余剰分は電力会社に売ることになります。
夜間は太陽光による発電ができないため、電力会社から購入した電気を使わなければなりません。一方、昼間は電力会社から売電する必要がない上、余剰電気は買い取ってもらえます。
蓄電池があれば太陽光発電により生まれた電気を貯められるため、余剰分を貯めておけば、夜間でも電力会社から買電せずに電気を使うことが可能です。蓄電池があると、太陽光発電の活用の幅がさらに広がります。
太陽光発電の導入メリット
太陽光発電の導入を検討していて、具体的にどのような効果を感じられるのか気になる方も多いのではないでしょうか。太陽光発電を取り入れるにあたって知っておきたい、代表的なメリットを4つ紹介します。
電気代の節約につながる
太陽光発電における最大のメリットは、電気代の節約を期待できる点です。本来なら電力会社から購入する分の一部を自家発電できるため、電気代の大幅な削減につながる可能性があります。
蓄電池があれば電気を貯めておけるので、電力会社から電気を買わない時間をより長く延ばせます。
太陽光発電では、電気料金の値上がりを気にせずに済むのもポイントです。発電した電気の自家消費に電気料金の値上がりはまったく影響しないため、電気代が値上がりするほど相対的な節約効果が高くなります。
余った電力を売れる
太陽光発電により発電された電気のうち、自宅で消費しきれず余った分は、電力会社に買い取ってもらえます。この仕組みを定めている制度が「FIT」です。
FITとは、再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る制度を指します。一般家庭の太陽光発電による余剰電気は、FITの適用開始から10年間、市場価格より高い固定価格で買い取りの依頼が可能です。
ただし、FIT適用期間を過ぎると、固定価格では買い取ってもらえません。いわゆる「卒FIT」を迎えた後にどうするのか、それぞれのご家庭に合った最適な対策を考えておく必要があります。
⇒卒FITについてもっと詳しく知りたい方はこちら
※出典:制度の概要|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー
環境への負荷が小さい
太陽光発電の導入メリットの1つに、環境への負荷を減らせる点も挙げられます。太陽光発電はCO2を排出しないため、日本が目指すカーボンニュートラルの達成に家庭レベルで貢献できるのです。
カーボンニュートラルとは、地球上の温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを指します。日本においては、2050年までにカーボンニュートラルを達成するのが目標です。
世界が目指す脱炭素社会と聞くとスケールの大きさに圧倒されがちですが、クリーンなエネルギーである太陽光発電を導入することで、ご家庭でもCO2の削減に取り組めます。
※出典:2050年カーボンニュートラルの実現に向けて | 地球環境・国際環境協力 | 環境省
非常時の備えになる
大規模な自然災害が発生した場合、家庭への電力供給がストップしてしまうケースがあります。電気が使えなくなると、日常生活のさまざまなシーンで困った事態になるでしょう。
しかし、太陽光発電があれば非常時に備えられます。停電が発生しても太陽光発電の機器に破損がない場合、パワコンを自立運転モードに切り替えれば発電が可能です。
加えて、蓄電池を導入することで夜間も電気を使えるようになるため、停電が長期間にわたるケースでも電気に困る心配が減るでしょう。非常時の備えを意識して太陽光発電を設置するなら、電力を貯めておける蓄電池もセットで導入するのがおすすめです。
太陽光発電の問題点
太陽光発電はメリットばかりがフォーカスされがちですが、デメリットやリスクはないのか気になる方もいるはずです。実際に導入してから後悔しないよう、太陽光発電の問題点もしっかり把握して対策を考えておきましょう。
発電量が安定しない
太陽光発電の発電量は、基本的に日照量と日照時間に比例します。曇りや雨の日でも発電はできるものの、発電量は極端に低下してしまうのが現実です。
蓄電池を導入している場合も、貯めておいた電気でいつまでもカバーできるわけではありません。例えば、梅雨の時期は発電量が少なくなるため、雨の日が続くと蓄電池でも電力をカバーできなくなってしまいます。
自宅がある地域により発電量が変わる点もポイントです。日本海側の地域は年間日照時間が他の地域より短いため、トータルの発電量も少なくなるでしょう。
このように、太陽光発電のパフォーマンスはさまざまな要素に左右されることを覚えておきましょう。
売電価格が下がっている
FITにおける太陽光の売電価格は、年々低下しています。電気を売れること自体はメリットではあるものの、今から始めても売電のお得感を得にくい点はデメリットです。
FIT制度が誕生した2012年度の売電価格は、10kW未満で42円でした。しかし、年を追うごとに売電価格は低下しており、2023年度の売電価格は10kW未満で16円となっています。
電力会社から購入する電力の価格と比較した場合、売電のメリットはほとんどなくなっているため、太陽光発電による電気は自家消費または蓄電にシフトした方がメリットは大きくなるでしょう。
※出典:買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー
※出典:過去の買取価格・期間等|FIT・FIP制度|なっとく!再生可能エネルギー
設置に向かないケースがある
太陽光発電は、パネルを住宅の屋根に設置して使用します。屋根の面積が小さい場合は導入単価が高くなるため、思うような効果を得られない恐れがあるでしょう。
北向き一面の屋根を持つ住宅や、周囲を高層建築物に囲まれた住宅も、太陽光パネルの出力が弱くなるため設置には向きません。導入費やメンテナンス費を考慮すると、費用対効果が小さくなるリスクがあります。
そもそもパネルを置けない形状の屋根や、築年数が古くてパネルの重さに耐えられない住宅など、構造上の理由からパネルの設置に向かないケースも少なくありません。導入にあたっては、自宅が設置に向く環境なのかを事前に確かめる必要があります。
太陽光発電を効果的に活用するポイント
太陽光発電の設備を導入しようと思っているなら、より効果的に発電した電気を使う方法も知っておきましょう。特にオール電化の住宅と電気自動車は、太陽光発電と好相性です。それぞれの特徴やメリットを見てみましょう。
オール電化にする
太陽光発電とオール電化を組み合わせれば、今までガスを使っていた部分が電気に置き換わるため、太陽光発電で生み出した電力をより有効に使えます。
トータルの光熱費が安くなる可能性があるのもポイントです。ガス器具を電化製品に置き換えて光熱費が安くなる場合は、オール電化の導入によって光熱費全体を節約できます。
ただし、ガス代がそれほど高くならないご家庭では、オール電化にしても光熱費全体の節約は見込めないでしょう。逆にトータルの光熱費が高くなってしまう恐れもあります。
電気自動車に乗り換える
太陽光発電の導入に合わせて電気自動車に乗り換えることで、燃料のコストを削減できます。太陽光発電による電気で電気自動車を充電すれば、今までかかっていたガソリン代や軽油代が不要になるためです。
電気自動車とV2Hシステムを組み合わせれば、電気自動車を蓄電池として活用してご家庭に給電できます。V2Hシステムとは、電気自動車の大容量バッテリーを電源としてご家庭に給電できるようにするシステムです。
家庭に設置するタイプの蓄電池と比べて、電気自動車のバッテリーは数倍の容量があります。太陽光発電・電気自動車・V2Hシステムを同時に導入すれば、別に蓄電池を導入する必要がなくなります。
太陽光発電は蓄電池との同時購入がおすすめ
これまで解説してきた内容から、太陽光発電は蓄電池(またはその代わりとなるもの)とのセットがおすすめだと分かったでしょう。太陽光発電と蓄電池を同時に購入するときに、知っておきたいポイントを解説します。
セットならコストを削減できる
太陽光発電システムと蓄電池を同時に設置すれば、導入コストを削減できます。それぞれを個別に設置するより、同時に設置した方が人件費を抑えられるためです。
セット購入ならパワコンにかかる費用も抑えられます。別々に導入する場合、パワコンが2台必要になったり交換費用がかかったりするため、費用が高くなってしまいます。
しかし、セットでの導入ならハイブリッド型のパワコン1台で済むため、別々の導入よりも費用を抑えることが可能です。蓄電池の購入も予定しているのであれば、太陽光発電システムと一緒に購入しましょう。
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太陽光発電と蓄電池の費用相場
資源エネルギー庁の資料によると、住宅用太陽光パネルの設置費用の平均は約280,000円/kWです。システム容量が5kWなら、設置費用の目安は280,000円/kW×5kW=1,400,000円となります。
また、蓄電池の一般的な費用相場は4~7kWで900,000~1,600,000円です。太陽光発電システムと蓄電池の費用相場を合計すると、2,300,000~3,000,000円が目安になります。
ただし、これらの金額はそれぞれを個別に導入した場合の費用です。セットで購入すれば、より安い費用で導入できるでしょう。
※出典:太陽光発電について P.52 | 資源エネルギー庁
補助金の利用でよりお得に
家庭用蓄電池の購入費用は、「DER補助金」の利用でよりお得になります。2023年度の実施については、2023年1月時点でまだ決定していませんが、2023年度も実施される可能性が高くなっています。
なお、2022年度のDER補助金では、家庭用蓄電システムや家庭用V2H充放電設備などが補助の対象になっていました。2021年度からは、東京都も独自に太陽光住宅の普及拡大を促進する補助事業を実施しています。
太陽光発電や蓄電池に関する補助金は、各自体が独自に制度を設けているケースもあるため、住んでいる自治体の情報を確認してみましょう。
※出典:SII:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|事業トップ(令和4年度 分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)
※出典:(令和4年度)災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|東京都環境局
蓄電池と好相性の「市場連動型」とは
太陽光発電システムと一緒に蓄電池の購入も検討するなら、蓄電池と好相性な電気プラン「市場連動型」についても理解を深めておきましょう。工夫によって電気代を今より安くできる可能性があります。
市場価格に応じて単価が変動するプラン
市場連動型とは、市場価格に応じて電気の単価が変動するプランのことです。連動する市場は「日本卸電力取引所(JEPX)」を指します。
日本卸電力取引所は、卸電力を取り扱う日本で唯一の取引所です。電気の取引価格は需要に応じて細かく変動しており、需要が高くなると取引価格も上昇し、需要が下がれば価格も安くなります。
市場連動型の電気料金は、日本卸電力取引所の取引価格に連動しています。従来の従量電灯型とはまったく異なる、電気料金が高い時間帯と安い時間帯があるプランなのです。
⇒電気の市場連動型とは?メリット・デメリットから電気の上手な使い方まで
蓄電池と併用する効果
市場連動型は蓄電池との相性がよいプランです。電気料金が安い時間帯に電気を購入して蓄電池に貯めておき、電気が高い時間帯に貯めた電気を使えば、電気代を削減できます。
太陽光発電と組み合わせれば、電気料金が安い時間帯に購入する電気も減らせるため、よりお得に電気を使うことが可能です。
蓄電池のタイマーを活用すれば、充電・給電を切り替える手間も省けます。日本卸電力取引所のホームページでは、翌日の取引価格の動きを確認できるため、前もって充電・給電のタイマーをセットしやすいでしょう。
ピークシフトの意味と具体例
市場連動型の導入で、電気代が安い時間帯に電気の使用をピークシフトできれば、トータルの電力使用量が同じでも電気代の削減につながります。
ピークシフトとは、電気を使う活動を電力使用量の多い時間帯から少ない時間帯に移し、電力使用量を平準化させることです。生活の中で少し工夫をするだけで、ピークシフトによる節約を実現しやすくなります。
例えば、洗濯機を使う時間を電気の取引価格が安い時間帯にずらせば、電気の節約を実現できます。ピークシフトは、ご家庭の状況に合わせて無理なく取り組みましょう。
太陽光発電を活用して電気代を節約
太陽光発電を導入すれば、電気代の節約を実現できます。蓄電池や市場連動型と組み合わせるとメリットが大きくなるため、同時導入も検討しましょう。
Looopでんきは、再生可能エネルギー実質100%やCO₂排出量実質ゼロの電気をオプションとして提供しており、再生可能エネルギーの更なる普及を通じた「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンとしています。
Looopでんきの新たな試みの1つが市場価格に合わせて30分ごとに電気料金が変わる「スマートタイムONE」の提供です。
市場価格は電力の需要と供給のバランスを体現しており、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギー由来の電気が多く発電される時間帯においては、市場価格が安くなる傾向にあります。
市場価格の確認を習慣化すれば、環境への意識も自ずと高まるでしょう。太陽光パネルや蓄電池と併用することで、電気料金を抑えながら地球にやさしい生活を目指せます。
環境への意識や太陽光パネルとの組み合わせを重視して、Looopでんきをご利用いただいているお客様の声を紹介します。
(50代 / 女性 / 4人暮らし)
環境を重んじたキャンペーンなど、独自の取り組みがあり、社会課題についてささやかながらも参加できるから。
(30代 / 女性 / 4人暮らし)
基本料金がないことと、太陽光などと組み合わせてうまく使えばかなり電気代を抑えることができる為。
再生可能エネルギーに興味がある方は、Looopでんきが提供する「スマートタイムONE」の仕組みや料金をぜひご覧ください。