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アクアリウムの写真アクアリウムの写真

ステイホームや在宅勤務の推奨などの影響で家にいる時間が増え、熱帯魚や金魚などの観賞や水草・サンゴなどの水生生物の飼育を目的とした「アクアリウム」を趣味にしたいと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。アクアリウムの中でも、特に熱帯魚を飼育する方がおさえるべきアイテムは、水槽の温度を一定に維持するための「水槽ヒーター」です。

この記事では、水槽ヒーターの選び方や選ぶ際の注意点、また水槽ヒーターにかかる電気代などについて解説します。また、アクアリウムの維持にかかる電気代の節約方法についてもご紹介します。これから飼育道具を購入する人は是非読んでみてください。

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水槽ヒーターの役割は?

水槽ヒーターとはどのような役割を果たす装置なのか、どのような種類があるのかなどについて詳しく解説します。

水槽ヒーターとは?

水槽ヒーターとは、水槽の中に入れて水槽内の水を加熱し、水の温度を上げる装置のこと。熱帯魚が生息する熱帯地域は1年を通して温暖な気候で、常に水温が22℃~30℃程度に保たれています。しかし、日本は冬になると水温が下がってしまうため、熱帯魚の飼育に適しません。そのため、水槽ヒーターを使用して熱帯魚が住みやすい環境をつくる必要があります。

また、水槽ヒーターとともに準備したいのがサーモスタットです。サーモスタットは、サーモセンサーとも呼ばれます。水温を感知する機能があり、あらかじめ設定した水温に達したらヒーターの電源を自動的にオフにし、水温が下がったら再度ヒーターの電源をオンするなど、水温を一定に保つ役割を果たします。

水槽ヒーターはなぜ必要?

水槽ヒーターを使用すると良いのは、熱帯魚を飼うときだけに限りません。金魚などのほかの魚や、水草の生育にとっても水温は大きな影響を与えます。水温が1℃下がることは人間にとって気温が4℃下がるのと同じことと言われています。そのため、魚にとって水温低下は大きな負担となり、弱ってしまう要因にもなりかねません。

また、一般的に市販されている水草は熱帯地域のものであることが多いため、20℃以上の水温で良く育ちます。したがって、水槽ヒーターとサーモスタットを使って一定の温度に保つことは、アクアリウム全般に効果的といえるでしょう。

水槽ヒーターは4タイプ

では、水槽ヒーターはどのように選べばよいでしょうか。水槽ヒーターには主に4つのタイプがあります。それぞれのタイプの特徴を紹介しますので、メリット・デメリットを見極めて、選ぶ際の参考にしてください。

温度固定式ヒーター

「温度固定式ヒーター」は、ヒーター内に温度感知センサーが埋め込まれており、自動的にあらかじめ設定された温度で保温するタイプです。コンセントにつなぐだけで稼働するため手軽でおすすめです。気をつけたいのは、固定の温度以外の水温設定ができないこと。また、温度感知センサーが内蔵されているため、比較的サイズは大きめです。見映えが気になる方は注意しましょう。

温度調整式一体型ヒーター

「温度調整式一体型ヒーター」は、水槽用ヒーターとサーモスタットがすっきりと一体型になったタイプです。1℃単位の温度設定が可能で、飼育する生体に合わせてベストな水温を保つことができます。サーモスタットがついているので、水の温度の上がり過ぎや下がり過ぎを防いでくれます。しかし、一体型であるため、ヒーター部分が故障すると、サーモスタットに異常がなくても丸ごと買い替える必要があるのが難点といえるでしょう。

温度調整式セパレート型ヒーター

「温度調整式セパレート型ヒーター」は、別売りのサーモスタットと組み合わせて使用するタイプです。ヒーターとサーモスタットをそれぞれ単品で買うメリットは、組み合わせによって自分で理想の保温機材をつくることができること。ヒーターは消耗品であるため、故障した場合でも、ヒーターだけを買い替えれば良い点もメリットといえるでしょう。前述した二つのタイプに比べて、設置の仕方や使い方が少し難しいので、初心者には向かないかもしれません。

パネルヒーター

「パネルヒーター」は、水中に入れるのではなく、水槽の下に敷いて水槽越しに加温するタイプです。水中に入れて使うヒーターに比べると保温能力は落ちますが、安全性が高いのが特徴です。水槽内で邪魔にならないというのが最大のメリットですが、加熱のパワーが弱いため、大型水槽には向きません。水温調整できるものとできないタイプがあり、後者の場合は温度が上がり過ぎる危険性があるので、こまめに水温をチェックする必要があります。

ヒーターは水槽サイズに合わせて選ぶ

水槽ヒーターは、水槽のサイズに合わせて適切なものを選ぶことで無駄な電力を使わずに済み、電気代の節約になります。どのくらいのサイズの水槽に、どのくらいの消費電力(W)の水槽ヒーターを選べばいいのか、その目安をご紹介しましょう。

水槽ヒーターの消費電力の選び方

水槽のサイズに対して、適切な水槽ヒーターの消費電力の目安は次の通りです。

水槽サイズ規格 水槽ヒーターの消費電力(W)
~30cm(20L) 50W
~45cm(40L) 100W
~60cm(60L) 150W
~70cm(100L) 200W
~90cm(150L) 300W
~120cm(200L) 500W

※出典:株式会社東京アクアガーデン アクアリウム情報サイト「トロピカ」

水槽の大きさはもちろんですが、入れる水量を確認して選ぶことが大切です。水槽の大きさに対してあまりに水量が少ないと、水槽ヒーターの故障の原因になる場合がありますので注意しましょう。また、詳しくは後ほど解説しますが、水槽ヒーターが空焚きされ、火事の発生につながる恐れもありますので、十分に気をつけてください。

水槽ヒーターを選ぶ時の3つの注意点

水槽ヒーターは、水槽のサイズや水の量によって最適な消費電力があることを紹介しましたが、選び方のポイントはほかにもあります。購入時に気をつけたい注意点を3つ挙げますので、参考にしてください。

安全装置が搭載されているか

水槽ヒーターは加熱機器であるため、故障したり、間違った使い方をしたりすると火災の原因になります。ヒーターが何らかのはずみで水中から外に露出して空焚き状態になりヒーター自体が燃えたり、周囲の物が熱を帯びたりして火事になることもあります。そのため、安全装置が搭載されたヒーターを選ぶことが大切です。

異常発熱時の自動停止機能はもちろん、温度調節器側の電源自動オフ機能とサーモスタット側の自動電源オフ機能を備えた2段階の安全装置がついている商品もあります。また、ヒーターに通電しているかをひと目見て確認できる電源ランプなど、商品によってさまざまな安全装置が搭載されていますので、機能が充実したものを選ぶようにしましょう。

水槽ヒーターの使用期限

水槽ヒーターは、およそ1年で交換が必要になる消耗品です。使用して1年経過したからといってすぐに壊れることはありませんが、老朽化したものを使い続けると、急に故障して水温上昇や火災などの事故につながることも考えられますので、使用期限内に新しいものに交換するのがおすすめです。取り扱い説明書やパッケージなどに使用期限が記載されていますので、購入時は、念のため確認をしておくと良いです。
また、万が一壊れてしまったときに備えて、予備のヒーターを用意しておくようにしましょう。

カバーをつけるかどうか

水槽ヒーターは加熱装置であるため、魚が直接触れてしまった場合の影響を考慮し、樹脂製のカバーがついているものがあります。しかし、飼育する魚の種類によっては、カバーがついているものを選ばない方が良い場合もあります。たとえば、稚魚、海老などはヒーターとカバーの間に挟まって死んでしまうことがあります。サイズの小さな魚を飼育する場合はカバーなしのタイプを選びましょう。

一方、カバーありのタイプを選んだ方が良いのは、金魚やベタなどヒレの長い魚を飼う場合です。ヒレが触れてやけどをしてしまう可能性があるためです。また狭い場所が好きな魚はすき間に入りこんでしまうため、すき間があるヒーターやカバーは選ばないようにしましょう。

水槽ヒーターの1日の電気代は?

電気代の請求書と小銭とボールペンの写真電気代の請求書と小銭とボールペンの写真

水槽ヒーターを使用する際に気になるのが、電気代がどのくらいかかるかということです。
1日あたり(24時間)の電気代の目安は、次の通りです。

電気代は下記の計算式で計算しています。

電気代
=1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)
=1時間あたりの消費電力(W)÷1000×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)

※電化製品などに書かれている1時間あたりの消費電力はWで表示されているので、WをkWの単位に変換すると、消費電力(W)÷1000となります。
※1kWhあたりの料金単価は、契約している電気会社によって異なりますが、ここでは27円/kWhと仮定して計算しています。
※水槽を置く環境によって、ヒーターの稼働状況や電気代は変わりますのでご了承ください。

水槽ヒーターの消費電力(W) 1日あたりの電気代の目安
50W 32.4円
100W 64.8円
150W 97.2円
200W 129.6円
300W 194.4円
500W 324円

1カ月あたり(30日)の電気代は下記の通りです。

水槽ヒーターの消費電力(W) 1カ月あたりの電気代の目安
50W 972円
100W 1,944円
150W 2,916円
200W 3,888円
300W 5,832円
500W 9,720円

ヒーターの稼働状況は環境によって変わる

極端に寒いエリアの場合や、暖房のない部屋など寒い場所に水槽を置いている場合は、その分どうしても水温が下がります。そのため、ヒーターの稼働率が高くなり、電気代が上がりがちです。地域や立地条件などにもよりますが、マンションは建物自体の密閉度が高いため、水温が一定に保たれやすいといえます。

どこに水槽を置いているのか、どんなところに住んでいるのかによって、1年を通してヒーターを使用せずに飼育することも可能です。しかし、水槽サイズが45cm以下の場合は、水量が少なく保温効果が低いため、ヒーターが必要です。

ヒーター以外で必要な電気代

アクアリウムには、水槽ヒーター以外にも、維持費として若干の電気代がかかります。主なものは、水中に酸素を送るための「エアレーション」や、水草生育の光合成のための照明装置などが挙げられます。これらをひと通り使って、かかる電気代は1カ月でおよそ600円(※)です。また、夏には水温が高くなり過ぎないように、水槽ヒーター同様に水槽クーラーや冷却装置が必要になりますので、覚えておきましょう。

  • エアレーション:消費電力3W、24時間つけっぱなしで1カ月使用した場合 約58円
  • 照明:消費電力18Wの蛍光灯4本、1日8時間点灯して1カ月した場合 約466円
  • 外部フィルター:消費電力5W、24時間つけっぱなしで1カ月使用した場合 約97円

※1kWhあたりの料金単価を27円/Kwhと仮定して計算。以下の器具を1カ月使用した場合。

水槽ヒーターの電気代を節約する6つの方法

アクアリウムの水槽を維持するための電気代は、水槽ヒーターにかかる費用が大部分を占めます。工夫次第で水槽ヒーターの電気代を節約することが可能です。ここでは、その方法を6つご紹介しましょう。

水槽周りを断熱・保温する

ホームセンターなどで断熱シートや保温シート、発泡スチロールなどを購入し、それで水槽周りを囲って保温するとヒーターの稼働頻度を抑えることができます。発泡スチロールの箱の中に水槽を入れても良いでしょう。ただ、水槽内が見えなくなってしまっては本末転倒ですので、水槽の底や左右、裏面だけに設置するのがおすすめです。それでも見映えが気になる場合は、外出時や睡眠時だけ設置するという方法もあります。

水槽にふたをする

水は蒸発するときに熱が奪われる性質があります。これを「気化熱」といいます。特に冬場は空気が乾燥していて、水槽内の水は簡単に蒸発してしまいます。蒸発して水温が下がるのを防ぐため、水槽にふたをしましょう。発泡スチロールやビニールシートなど水に強い素材がおすすめです。それだけでも保温効果がグッと上がります。

エアコンのある部屋に水槽を置く

水温は外気温の影響を大きく受けるため、ある程度温かい温度で安定している場所に置くのがベストです。冬場には寒くなりがちな玄関や廊下などでは、水槽ヒーターはどうしてもフル稼働してしまいます。小型で移動が可能な水槽ならば、冬の間だけ暖房のある部屋に持っていくという手もあります。

ヒーターを適切に選ぶ

電気代がかかりそうだからといって、規格に合わない小さなヒーターを選ぶのはやめましょう。大きめの水槽を小さなヒーターで温めると、なかなか水温が上がりません。結果的に、ヒーターの消費電力が大きくなって電気代が上がってしまいます。水槽に合わせた適切なサイズを選ぶことが大切です。

アクリル製の水槽を使う

水槽には、ガラス製のものとアクリル製のものがあります。一般的にアクリル製のものの方が保温効果が高いと言われています。また、ガラス製に比べ、アクリル製の方が衝撃に強くて割れにくく、傷もつきにくいという特徴もあります。多くの水族館ではアクリル製の水槽が使われています。

照明を水槽に近づける

発熱量が多い照明の熱を利用しましょう。水面近くに下げて使用すると水を温め、水槽ヒーターの稼働を助けてくれます。注意したいのは、水槽内に届く光の量が増えることで、コケが発生しやすくなる可能性があることです。相対的にどちらにメリットがあるか、試して検討してみましょう。

水槽ヒーターが必要ない生き物もいる

泳ぐ魚の写真泳ぐ魚の写真

熱帯魚のなかには、15℃程度の低温でも問題なく生きられる、寒さに強いタイプがいます。そのような種類ならば、水槽ヒーターを使わずに飼育することが可能です。例えば、中国原産の「アカヒレ」は丈夫で育てやすいのが特徴。メダカの仲間の「プラティ」、人懐っこい性質と言われる「モーリー」、大きなヒレと鮮やかな色彩が美しい「ベタ」や、10~15℃でも生息が確認されている「パレアトゥス」などは、水槽ヒーターがなくても育てることができます。

このような寒さに強い種類を選んで、電気代を節約するのも一つの方法です。観賞魚としての見た目の美しさはもちろんのこと、どのような環境で育てるのがベストなのかをしっかり把握してから飼育することをおすすめします。

まとめ

「水槽ヒーター」は、アクアリウムを楽しむための三種の神器の一つ。水槽の大きさに合ったもの、そして安全装置がついているなど機能性がしっかりしたものを選び、熱帯魚にとっても、飼う人にとっても安心で快適な環境をつくりましょう。

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