電化製品は使っていない状態であっても、電源に接続されていると待機電力が発生する場合があります。知らず知らずのうちに電力を消費している可能性があるので、待機電力の性質と、節電のポイントを知っておきましょう。待機電力の多い家電も紹介します。
待機電力とは?どうして発生するの?
待機電力は家電の不使用時でも発生する電力なので、気付かないうちに電気代がかかっているケースがあるため注意が必要です。まずは待機電力とはどういうものか、概要を理解しておきましょう。
家電の不使用時に消費される電力
家電は使っていない状態でも、電源(コンセント)に接続されていると、わずかに電力を消費します。これが待機電力と呼ばれるもので、通常使用時の消費電力に比べると微々たるものですが、月間・年間では相応の電気代がかかってきます。
特に待機電力の多い家電をたくさん使っていると、電気代の負担も大きくなるので注意しなければいけません。不使用時の家電はなるべくコンセントを抜いておき、待機電力が発生しないように工夫することが大事です。
待機電力は何のためにある?
待機電力は家電のスイッチを入れるとすぐに稼働できるように、スタンバイ状態にしておくためのものです。そのためスタンバイ電力とも呼ばれており、タイマー機能やメモリ機能などがある家電の場合も、待機電力を消費します。
家電の機能をスムーズに利用するために求められるほか、電源がオフの状態でも一部の機能を稼働させたい場合に必要です。ただし近年は、省エネの観点から待機電力をあまり消費しないものや、待機電力を発生させずに機能をフルに使える家電も登場しています。
待機電力にかかる電気代は?
待機電力にかかる電気代はいくらでしょうか?資源エネルギー庁による統計データを参考として、具体的に確認していきましょう。
ご家庭の消費電力に占める待機電力の割合
資源エネルギー庁の待機時消費電力に関する報告書によると、国内一世帯あたりの待機消費電力量は年間で228kWhです。これは一世帯あたりの年間全消費電力量4,432kWhの5.1%に相当します。
つまり、家電の多くは大なり小なり待機電力を消費するため、何も対策をしないでいると、すべての電気代の5%分の待機電力の負担が発生するわけです。後述するように、とりわけテレビやエアコンは待機電力量が多いので、日常的に利用する人は、意識して待機電力の節電を考える必要があります。
※出典:平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要|資源エネルギー庁
年間の待機電力の電気代は6,000~7,000円
上記のように一般家庭の年間消費電力は4,432kWhとされており、さらに待機電力が全消費電力のうちの5.1%とすると、年間の待機電力にかかる電気代は6,000〜7,000円程度です。
あくまでも試算であり、家庭によって待機電力もかなり異なるものの、家電をあまり使用しなくても、年間でこれほどの電気代の負担が発生する可能性があります。
一度、自宅の待機電力がどのぐらいかかっているか、自分なりに計算してみることが大事です。特に待機電力の多い家電を知っておき、余計な電力を消費しないように気を付けましょう。
待機電力の多い家電は?
それでは数ある家電の中でも、特に待機電力の多いものを紹介します。以下の家電を自宅で頻繁に使っている人は、使用方法を見直してみましょう。
ガス温水器
ガス温水器はガスの熱でお湯を沸かす給湯システムですが、家電のうち、最も待機電力が大きいものとして知られています。主にお湯の温度や量を測定したり、水量を制御するための弁を動作させたりするために、電力を消費するためです。
また、パネルに常時時刻や温度が表示されている製品もあり、お湯を沸かしていない状態でも、他の家電に比べて多くの電力を消費します。ガス温水器はコンセントから電源を取るタイプではないため、できるだけ待機電力を抑えるために、長期間使用しない場合は主電源だけでも切っておくとよいでしょう。
テレビ
テレビもリモコン操作をすぐに反映するために、スタンバイ状態にしておくと、待機電力を多く消費します。リモコン操作に関しては、主電源を切っておけば信号を受信できない代わりに、待機電力を消費しません。
しかしコンセントが入っている状態だと、番組表を更新する場合などに電力を消費するため、完全に電力の消費を防ぐには、電源プラグをコンセントから抜いた状態にしておかなければいけません。日常的にテレビをほとんど見ない人は、常に電源プラグを抜いておくとよいでしょう。
エアコン
エアコンも不使用時に、多くの待機電力がかかる代表的な家電です。リモコン操作を受信するため、電源プラグが入った状態であれば、常に待機電力を消費してしまいます。
さらに冷房機能のあるエアコンだと、冷媒を循環させるための電力も必要であり、長期間使用しないのであれば、電源プラグを抜いた状態にしておくことも検討しましょう。
ただし使用時に電源プラグを挿入し、すぐに運転を始めると冷媒の循環がうまくいかず、機器が故障してしまう恐れがあるので注意しなければいけません。エアコンのオンシーズンに入ったら、使用する1日前には電源プラグを入れておきましょう。
エアコンの電気代の節約術についてもっと詳しく知りたい方はこちら
電話機
電話機は常に、留守電機能やディスプレイの表示などに待機電力を消費しており、さらにFAX機能付きの電話機は、受信のための電力も消費しています。省エネモードにすることで、ある程度電力の消費を抑えられますが、それでも他の家電よりも待機時の電力を消費しがちです。
他の家電とは違い、電話機の場合は常に待機状態にしておく家庭が一般的でしょう。電源プラグの抜き差しで電力の消費をコントロールするのは難しいため、できるだけ待機電力の少ない電話機を選択・購入する必要があります。
DVD・ブルーレイなどのレコーダー
DVDやブルーレイ、あるいはHDDレコーダーなども、番組録画のためにスタンバイ状態を続けるため、待機電力が大きくなりがちです。頻繁に番組を録画する人は、日常的に待機電力を消費し続けていることになるので、電気代が気になる人は、使い方を工夫する必要があるでしょう。
当然、番組の録画中は待機時よりも多くの電力を消費します。節電のため、使わない日は基本的に電源プラグを抜いておくとよいでしょう。
待機電力をカットする方法と節電効果
少しでも待機電力をカットして電気代の負担を抑えるためには、以下のポイントを意識することが大事です。いずれも手軽にできる対策なので、ぜひ試してみましょう。
小まめに電源プラグを抜いておく
待機電力はコンセントに電源プラグが接続されている状態で、発生する家電がほとんどです。従って電源プラグを小まめに抜いておくと節電になります。
しかし当然ながら、頻繁に利用する家電の電源プラグを抜いておくと、使用時に手間が増えてしまいます。利便性と節約できる電気代を比較した上で、どちらを選択するか検討しましょう。
また、家電によっては電源プラグの抜き差しにより、設定情報が初期化されてしまう製品もあります。日付やタイマーの設定が、購入時に戻ってしまう可能性があるので注意しましょう。
節電タップも利用しよう
日頃、コンセントに接続されている家電が多い場合は、節電タップにまとめておくのも有効です。電源を入れない家電のスイッチだけ簡単にオフにできるので、こまめに切り替えることで、待機電力の発生を抑えられます。
また、電源プラグの抜き差しがコードや家電本体に負荷をかけてしまい、故障の原因になるケースもあるので、家電を長く使い続ける意味でも、節電タップはおすすめです。
ただし、多くの家電の電源プラグを1カ所に集めておくと、誤って別の家電の電源を落としてしまうなど、トラブルを招く恐れがあるので注意しましょう。なお、節電タップの中にはタイマー機能を備えたものもあります。一定時間経過後に、電源を完全に落としたい家電がある場合は導入するとよいでしょう。
約20~50%の節電が可能
必要に応じて電源プラグを抜き差ししたり、使用しない間は主電源を落としたりすることで、家庭で発生する全ての待機電力を約20〜50%削減できる可能性があります。
すでに説明したように、家電の利用状況にもよるものの、年間の待機電力にかかる電気代は6,000〜7,000円程度とされています。
仮に上記の方法で50%削減できるとすれば、年間で3,000〜3,500円程度は電気代を安くできる計算です。少しでも家計の負担を減らしたい人にとっては、試してみる価値があるでしょう。
待機電力に関して注意すべき点
待機電力は意識して削減することで、電気代の節約になりますが、以下の点には注意が必要です。電源プラグの抜き差しや、小まめに主電源を落とすといった手間をかけるべきかどうか、事前によく確認することが大事です。
待機電力がほとんど発生しない家電もある
待機電力は多くの家電で発生するものですが、ほとんど発生しない製品もあります。
例えば、ドライヤーや電気ポットなどは、未使用時にはほぼ電力を消費しません。また近年は、家電の省エネ化が進んでいるため、待機電力がかなり少ない製品も増えてきました。
手間をかけて待機電力を抑えようとしても、想定したような節電効果がない場合もあります。家庭で使用している家電がどのぐらい待機電力を消費するのか確認しておきましょう。
電源を入れない家電は選別しよう
電話機は電源が入っていないと通話ができず、ルーターやモデムも電源がないと、インターネットに接続できません。節電を意識するあまり、普段の生活に支障が出ないように、主電源を入れない家電はしっかりと選別しましょう。
待機電力の性質を知って節電しよう
待機電力とは何か、概要と節電のポイントを解説しました。待機電力は家電を使っていない状態でも消費される電力であり、スタンバイ電力とも呼ばれています。
待機状態でも電力を使う家電が多いので、節電のためにコンセントを抜いたり、節電タップを使ったりする方法が有効です。ただし、日常生活に支障が出ないように注意しましょう。小まめに電源を切る家電は、慎重に選別することが重要です。
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