自宅の電気代が高いと感じている場合は、明細書の内訳や計算方法を理解するのがおすすめです。電気料金の仕組みや節約のポイントを押さえれば、電気代を安く抑えられるでしょう。電気料金のケース別平均や電気料金が高騰する原因も併せて解説します。
電気料金のケース別平均
電気料金の平均と自宅の電気代を比較することで、電気を使いすぎているかどうかを把握しやすくなります。まずは電気料金のケース別平均を見ていきましょう。
世帯人数別の電気料金の平均
総務省統計局の「家計調査 家計収支編」を見ると、世帯人数別の電気料金の平均がわかります。2022年における世帯人数別の電気料金の年間平均は以下の通りです。
- 単身世帯:6,808円
- 2人:11,307円
- 3人:13,157円
- 4人:13,948円
- 5人:15,474円
- 6人以上:17,869円
世帯人数が多くなるほど、電化製品の稼働数・稼働時間が増えることから、電力使用量が増えて電気料金も高くなります。
※出典:家計調査 家計収支編 単身世帯 2022年 表番号1「単身世帯・勤労者世帯・勤労者世帯以外の世帯・無職世帯」エクセル99行 | 総務省統計局
※出典:家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年 表番号3-1「二人以上の世帯・勤労者世帯・勤労者世帯(うち世帯主が60歳未満)・無職世帯」エクセル73行 | 総務省統計局
地域別の電気料金の平均
総務省統計局の「家計調査 家計収支編」には、地域別の電気料金の平均も記載されています。2022年における2人以上世帯の電気料金の年間平均を、地域別にまとめました。
- 北海道:13,084円
- 東北:13,835円
- 関東:12,262円
- 北陸:15,517円
- 東海:12,439円
- 近畿:12,221円
- 中国:14,743円
- 四国:13,450円
- 九州:11,894円
- 沖縄:11,616円
地域により電気料金の平均に差がある理由の1つに、地域を管轄する大手電力会社ごとの従量料金単価が異なることが挙げられます。北陸の電気料金の平均が高くなっているのは、世帯ごとの家屋が広いことや世帯あたりの人数が多いことが大きな理由とされています。
※出典:家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 2022年 表番号1-1「二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯」→エクセル73行 | 総務省統計局
月別の電気料金の平均
総務省統計局のデータによると、2022年における2人以上世帯の電気料金の月別平均は次の通りです。
- 1月:12,938円
- 2月:15,331円
- 3月:16,273円
- 4月:13,931円
- 5月:11,811円
- 6月:9,990円
- 7月:9,869円
- 8月:11,914円
- 9月:13,202円
- 10月:12,805円
- 11月:11,560円
- 12月:12,514円
上記の金額は電気代の請求月に支払われた金額であり、実際に電気を使ったタイミングは1カ月半~半月程前となります。
夏より冬のほうが電気代が高くなる主な理由をまとめました。
- 冬は室温と外気温の差が大きい(エアコンの設定温度になるまでより多くの電気を使う)
- 自宅にいる時間が冬のほうが長い(電気をより多く使う)
- 冬は日照時間が短い(照明を使う時間が長い)
電気料金の明細書の内訳
電気料金の基本的な構成要素は、「基本料金」「電力量料金(燃料費調整額を含む)」「再エネ賦課金」の3つです。電気料金はどのように決められているのか、明細書の内訳について解説します。
基本料金
電気料金の基本料金とは、電力会社・プラン・アンペア数によって異なる最低料金のことです。電力使用量にかかわらず、毎月一定の金額が基本料金として請求されます。
電気をまったく使わなかったとしても、基本料金は支払わなければなりません。大半の電力会社が基本料金を設定していますが、基本料金を0円としているケースもあります。
電気料金の基本料金の主な内訳は、「発電の設備費」「人件費」「機材費」「その他諸経費」です。電力会社が発電を行う上で必要な費用を、基本料金でまかなっています。
電力量料金
使用した電力量に応じて金額が変わる従量課金型の料金が電力量料金です。電気を多く使うほど電力量料金が上がるため、電気代の請求額も高くなります。
電力量料金は次の計算式で求められます。
電力量料金 =(電力量料金単価 × 使用電力量)± 燃料費調整額(燃料費調整単価 × 使用電力量)
多くの電力会社で3段階料金制度が採用されており、電気の使用量が増えて段階が上がるほど、電力量料金単価も高くなります。電気の使用量が少ないケースと多いケースを比較した場合、使用量が多いほうが割高になりやすいのです。
燃料費調整額
燃料費調整額とは、発電にかかる燃料コストを電気料金に反映させたものです。電力量料金に組み込まれており、「燃料費調整単価×1カ月の電力使用量」の計算式で求められます。
燃料費調整単価は過去3カ月間の燃料価格の平均から計算され、2カ月後の電気料金に反映されます。燃料価格が上昇すれば燃料費調整額が電気料金に加算され、燃料価格が低下したときには電気料金から差し引かれる仕組みです。
燃料費調整制度が導入されている主な目的は、燃料価格の高騰から電力会社の経営を保護することです。燃料価格が高騰すると電力会社の経営に大きなダメージを与えかねないため、燃料価格の変動に柔軟な対応を取れる燃料費調整制度が導入されています。
⇒燃料費調整額についてもっと詳しく知りたい方はこちら
再エネ賦課金
再生可能エネルギーで発電された電気を買い取るために課されている料金が、再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)です。電力会社を通じて国の指定機関に支払われています。
太陽光や風力などの再エネで発電された電気は、再エネの電気を世の中に広く普及させる目的で、電力会社が買い取っています。買い取られた再エネの電気は一般にも供給されているため、消費者にも負担がかかっているのです。
再エネ賦課金の計算式は「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×1カ月の電力使用量」です。単価は経済産業大臣が年度ごとに決定しており、全国一律です。
⇒再エネ賦課金についてもっと詳しく知りたい方はこちら
その他含まれるもの
その他料金に含まれるものとして、容量拠出金相当額があります。容量拠出金とは、将来の発電所の新設や維持を促し、電力の安定を維持するために負担する費用です。
⇒容量市場、容量拠出金についてもっと詳しく知りたい方はこちら
電気料金の計算方法
電気料金の計算式は、「基本料金+電力量料金(燃料費調整額を含む)+再エネ賦課金」です。基本料金にはアンペア制と最低料金制の2種類があり、種類が違うと電気料金の計算方法も変わります。
基本料金には2種類ある
基本料金がアンペア制となっている場合、契約アンペア数が上がると基本料金も高くなります。
一方の最低料金制は、契約アンペア数に関係なく最低料金が固定されている仕組みです。電力使用量が最低料金で設定されている電力量を超えた場合は、超えた分の料金が上乗せされた金額を請求されます。
大手電力会社が採用している基本料金の種類は以下の通りです。
- アンペア制:北海道電力・東北電力・東京電力・北陸電力・中部電力・九州電力
- 最低料金制:関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力
アンペア制の電気料金の計算方法
東京電力の「従量電灯B」プランを例とし、アンペア制の電気料金を算出します。計算に使用する数値は、東京電力に関するもの以外は仮に設定しています。
- 契約アンペア数:40A
- 1カ月の電力使用量:400kWh
- 燃料調整費単価:-1.87円/kWh
- 再エネ賦課金単価:1.40円/kWh
<基本料金>
1,180.96円(40A)
<電力量料金>
第1段階(最初の120kWhまで):19.91円×120kWh=2,389.2円
第2段階(120kWhをこえ300kWhまで):26.51円×180kWh=4,771.8円
第3段階(上記超過):30.60円×100kWh=3,060円
<燃料調整費額>
-1.87円/kWh×400kWh=-748円
<再エネ賦課金>
1.40円/kWh×400kWh=560円
<電気料金>
1,180.96円+(2,389.2円+4,771.8円+3,060円-748円)+560円=11,213.96円
※出典:従量電灯B・C|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社
最低料金制の電気料金の計算方法
関西電力の「従量電灯A」プランを例とし、最低料金制の電気料金を算出します。計算に使用する数値は、関西電力に関するもの以外は仮に設定しています。
- 1カ月の電力使用量:400kWh
- 燃料調整費単価:-71.34円(最初の15kWhまで)、-4.76円/kWh(15kWhを超える1kWhにつき)
- 再エネ賦課金単価:1.40円/kWh
<基本料金>
433.41円(最初の15kWhまで)
<電力量料金>
第1段階(15kWhをこえ120kWhまで):20.31円×105kWh=2,132.55円
第2段階(120kWhをこえ300kWhまで):25.71円×180kWh=4,627.8円
第3段階(300kWh超過分):28.70円×100kWh=2,870円
<燃料調整費額>
-71.34円/kWh×15kWh=-1,070.1円
-4.76円/kWh×385kWh=-1,832.6円
<再エネ賦課金>
1.40円/kWh×400kWh=560円
<電気料金>
433.41円+(2,132.55円+4,627.8円+2,870円-1,070.1円-1,832.6円)+560円=7,721.06円
※出典:従量電灯A|電気|関西電力 個人のお客さま
電気料金が高騰する原因
近年の電気料金の高騰は、さまざまな原因が影響して引き起こされているものです。特に影響度が高いと考えられる3つの原因について解説します。
国内の電力供給不足
電気料金が高騰している原因としては、国内の電力供給不足が挙げられます。東日本大震災後に原子力発電が相次いで停止し、供給量全体に大きな影響を及ぼしています。
火力発電が縮小傾向にあることも、国内の電力供給が不足している理由の1つです。老朽化した火力発電所の休廃止が進んでおり、国内の電力供給量の大部分を占める火力発電の供給量が減っています。
原子力発電の停止や火力発電の縮小により国内の電力が不足すると、需要に対して供給が追い付かなくなり、電気料金の上昇を招いてしまうのです。
燃料費調整額の上昇
国内の電源構成の大部分を占める火力発電は、天然ガス・石炭・石油などの化石燃料を使って発電しています。化石燃料のほとんどを輸入に頼っているのが実情です。
国際情勢や円安などさまざまな影響を受けて燃料費が上昇すると、火力発電のコストが大きくなり、燃料費調整額が高くなるため電気料金も高騰します。
燃料費調整額は近年上昇傾向にありますが、2023年3月から少し落ち着きを見せています。
円安による燃料輸入費の上昇
2022年3月ごろから続いている円安も、電気料金の高騰に影響を与えている要素の1つです。円安になると輸入費が高くなるため、火力発電に必要な燃料コストが高くなり、電気料金も上昇します。
2022年後半からは円安の進行も落ち着きを見せていますが、円安の水準は依然として高い状態です。
電気料金を節約するポイント
節電を頑張らなくても、電気料金を安く抑えることは可能です。契約内容や電力会社の見直しで電気料金を節約する考え方について解説します。
契約アンペアを見直す
基本料金がアンペア制となっている場合は、契約アンペア数が上がるほど基本料金も高くなります。契約アンペア数を下げれば基本料金が安くなるため、電気料金の節約が可能です。
今までブレーカーがほとんど落ちたことがない場合は、契約アンペア数を見直すチャンスです。例えば、契約アンペア数が40Aで不自由なく暮らせていたのであれば、30Aに下げてもブレーカーを落とさずに生活できる可能性があります。
なお、Looopでんきの「スマートタイムONE(電灯)」は基本料金が0円です。Looopでんきに乗り換えることで、基本料金の部分を丸ごと削減できます。
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契約プランを見直す
電気料金プランをこれまで一度も確認していない場合は、従量電灯プランになっていることがほとんどです。従量電灯プランとは、電力使用量に応じて電気料金が高くなるプランを指します。
電気代を安く抑えたい場合は、契約プランの見直しも検討してみましょう。各電力会社からさまざまなプランが提供されています。
時間帯によって割引を受けられるプランやガスや通信とセットのプランに変更すれば、生活スタイルに合った最適なプランを選べる可能性があります。現在利用中の電力会社のプランをチェックし、どのようなプランがあるのか見てみましょう。
電力会社を変更する
2016年に電力小売自由化されて以降、消費者は電力会社を自由に選べるようになっています。今より安い電力会社に乗り換えれば、電気代が安くなる可能性があるのです。
電力会社の乗り換えを検討する場合は、電気料金プランだけでなくサービス内容も比較しましょう。電気料金とサービス内容を併せて満足度を高めるのがおすすめです。
電力会社を変更したからといって、電気の品質が低下することはありません。これまでと同じ品質が確保された電気を利用し続けられます。
時間帯で電気料金が変わる「市場連動型」
契約プランや電力会社の変更を検討するなら、市場連動型をチェックしておきましょう。市場連動型とはどのようなプランなのか、特徴やメリットについて解説します。
市場価格に合わせて単価が変動するプラン
市場連動型プランは、日本卸電力取引所(JEPX)の市場取引価格の動きに合わせて、電力量料金単価が変動するプランです。市場取引価格は30分ごとに変動するため、連動する電力量料金単価も細かく変動します。
市場取引価格が安いときに電気を使えば節約効果を高められることが、市場連動型のメリットです。電気を使うときに時間帯を意識できるようになります。
ただし、市場価格が上がると単価も高くなるため、必ずしも節約につながるとは限りません。電気料金の見通しを立てづらいというリスクもあります。
※出典:JEPX
電気の使い方を変えれば節約できることも
市場取引価格が安い時間帯に家事を行い、市場取引価格が高い時間帯は外出するなど、市場連動型では電気の使い方を変えることで節約につながる可能性があります。
市場連動型が気になる場合は、Looopでんきをチェックしてみましょう。Looopでんきの「でんき予報」では、30分ごとの電源料金単価を確認できることから、時間帯を意識した行動を取りやすくなります。
Looopでんきは契約者向けの公式モバイルアプリを提供しています。電化製品ごとのピークシフトの方法がわかるため、より効果的に電化製品を使えるようになるでしょう。
でんき予報|Looopでんき公式サイト
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電気料金の仕組みを理解し節電につなげよう
電気料金の明細書の内訳や計算方法を理解すれば、電気料金がどのように決まっているのかがわかるようになります。自宅の電気代を自分でも計算し、電気料金への理解を深めましょう。
光熱費の節約を考える方は、Looopでんきの「スマートタイムONE」を検討してみてはいかがでしょうか。電気の使い方を工夫すれば、電気料金を抑えられる可能性があります。
電気料金は毎月発生する生活コストであり、家計を圧迫していると感じる方は今すぐにでも見直したい支出の1つです。
Looopでんきで電気料金の見直しに成功しているお客様の声を紹介します。
(20代 / 女性 / 1人暮らし)
以前契約していたところよりも安く、どのくらい使用してどのくらいの料金だったのかも分かり、前月以降の料金もあって比較が出来て非常にありがたいです。
(40代 / 女性 / 2人暮らし)
学生の一人暮らしには最適。長期休みは実家で過ごすなど不在も多いので、基本料金がなく、使った分だけ払えばいいので、大手電力会社よりお得。
早速、Looopでんきの「スマートタイムONE」をチェックしてみましょう。料金単価が市場価格に連動するため、電気料金が安い時間帯に合わせて電化製品を利用すれば、毎月の光熱費を抑えることも可能なプランです。