「月々の電気代が高い」「頻繁にブレーカーが落ちる」という一人暮らしの方は、契約中のアンペア数がライフスタイルに合っていない可能性があります。最適なアンペア数を割り出す方法や契約変更に伴う注意点、節電のコツを解説します。
一人暮らしに適した電気のアンペア数は?
ご家庭に適した電気のアンペア数は、使用する電化製品や家族構成を基準に決めるのが一般的です。一人暮らしの場合、最適なアンペア数はどれくらいなのでしょうか?
アンペアの基本
アンペア(A)は「1秒間に電気がどれだけ流れるか」を示した単位です。数字が大きくなればなるほど、1秒間に流れる量も多くなります。パイプの中を流れる水をイメージするとわかりやすいかもしれません。
電力会社と電気契約をする際は、最初にアンペア数を決定します。契約上のアンペア数は、一度に同時使用できる電気の最大容量と考えましょう。
電気の単位には、アンペアのほかにも、ワット(W)やボルト(V)などがあります。それぞれの関係性は、以下の通りです。
- ワット(W)=アンペア(A)×ボルト(V)
ワットは、電化製品を動かすのに必要な電気エネルギーであり、「消費電力」と呼ばれます。ボルトは「電圧」のことで、電気を押し出す圧力を意味します。
⇒アンペア(A)についてもっと詳しく知りたい方はこちら
20~30Aが一般的
電力会社の一般家庭向けプランでは、10Aが最低契約アンペアになっているケースがほとんどです。
電力会社によっては、10A未満の契約ができることもありますが、アパートの共用部などで使われるケースを想定しており、生活するには不十分です。
アンペア数を決めるときは、家族の人数を1つの基準としましょう。一人暮らしであれば、20~30Aが一般的です。
一人暮らしの場合、オール電化や特殊な電気の使い方をしない限り、40A以上は必要ないと考えられます。参考までに、二人暮らしは30A以上、3人家族は40A以上が目安です。
契約中のアンペア数を確かめる方法
契約中のアンペア数を知るには、「検針票(電気ご使用量のお知らせ)」や「分電盤」を確認する必要があります。
検針票(電気ご使用量のお知らせ)は、電力会社が検針後に投函する明細書です。近年はペーパーレス化により、会員専用のWebサイト(マイページ)で確認するのが主流になりつつあります。
分電盤が設置されているご家庭では、アンペアブレーカーの色や数字で契約アンペア数を確認できます。
分電盤とは、屋内の配線に電気を分配する電気設備で、玄関や勝手口、脱衣所などに設置されているのが一般的です。各アンペアに振り分けられている色は、各電力会社のWebサイトでチェックましょう。
アンペア数が適切でない場合に起こること
電力会社と電気契約をする際は、ご家庭での電気の使い方に基づき、最適なアンペア数を選択しなければなりません。アンペア数が適切でない場合、どのようなデメリットが生じるのでしょうか?
基本料金が高くなる
大手電力会社の一般的な料金プランは、以下のような計算式で算出されます。
- 月々の電気料金=基本料金+電力量料金(燃料費調整額を含む)+再生可能エネルギー発電促進賦課金
アンペア制を採用している場合、基本料金はアンペア数ごとに決定されます。必要な電力使用量に対して契約アンペア数が大きいと、月々の基本料金が高くなる点に注意しましょう。
東京電力エナジーパートナーの「従量電灯B」では、基本料金が以下のように変化します。30Aと40Aでは、1カ月あたり約300円の差が生じます。
アンペア数 | 基本料金(税込) |
10A | 311円75銭 |
15A | 467円63銭 |
20A | 623円50銭 |
30A | 935円25銭 |
40A | 1,247円00銭 |
50A | 1,558円75銭 |
60A | 1,870円50銭 |
ブレーカーが落ちやすくなる
契約アンペア数が小さいと、一度に使用できる電化製品の種類や数が制限されます。アンペア数以上の電気を使えば、ブレーカーが落ちて停電状態になるため、電化製品の組み合わせに注意して生活しなければなりません。
停電状態になっても、ブレーカーを上げればすぐに復旧しますが、頻繁にブレーカーが落ちるようになると、生活に支障を来すでしょう。一度に多くの電化製品を使用するご家庭では、一人暮らしでもアンペア数を上げる必要があります。
必要なアンペア数を割り出す手順
一人暮らしに必要なアンペア数は20~30Aが適当といわれていますが、使用する電化製品やライフスタイルは一人一人異なります。以下の手順に従い、自分の生活に必要なアンペア数を割り出してみましょう。
電化製品のアンペアを調べる
最初のステップは、普段使っている電化製品のアンペアを調べることです。本体のシールや取扱説明書などに、消費電力(W)のみが記載されていた場合は、以下の計算式でアンペアを導き出します。
- アンペア(A)=消費電力(W)÷ボルト(V)
家庭用のボルトは100Vで、100V機器を使うのが一般的です。1,200Wのオーブントースターであれば、12A(1,200W÷100V)となります。100Wで1A、1000W(1kW)で10Aと覚えておきましょう。
あくまでも一例ですが、以下は主な電化製品のアンペアの目安です。
電化製品 | アンペアの目安 |
エアコン(冷房時・10畳用平均) | 冷房5.8A・暖房6.6A |
3畳用の電気カーペット | 8A |
掃除機 | 弱2A・強10A |
ヘアードライヤー | 12A |
冷蔵庫(450Lクラス) | 2.5A |
同時使用の場面を想定する
契約アンペアは、一度に使用できる電気の最大容量なので、電化製品を同時使用するシーンを想定する必要があります。1日を朝・昼・夜に分け、同時使用時のアンペアの最大値を求めましょう。
常時使用する電化製品のアンペアに、一時的に使用する電化製品のアンペアを足し合わせると計算が楽にできます。夏や冬は、冷暖房器具を使用することを想定しましょう。
例えば、以下の電化製品を同時に使用する場合、アンペア数の合計は25.3Aです。契約アンペア数は30A以上が適切といえます。
- 照明(2A)+エアコン(5.8A)+冷蔵庫(2.5A)+電子レンジ(15A)=25.3A
アンペア数を変更するときの留意点
契約中のアンペア数を変えたいときは、電力会社に変更を申し込めます。ただし、自分の希望通りのアンペアに変更できるとは限らず、場合によっては工事費用が発生します。変更に伴う留意点を確認しましょう。
賃貸住宅は管理会社や大家への相談が必須
賃貸住宅の場合、管理会社や大家に事前に相談しましょう。特に、アパートやマンションなどの集合住宅では、物件ごとに使用できる電気の容量が決まっていることがあります。
住人が勝手にアンペア数を上げると、物件全体の容量に影響が出るため、賃貸契約でアンペア数の変更を禁じているところも少なくありません。アンペア数を下げるのはOKでも、上げるのはNGという物件もあります。
管理会社や大家の承諾を得たら、電力会社に電話をして、アンペア変更の可否や配線工事の要否を確認しましょう。工事が必要な場合、誰が費用を負担するのかを話し合わなければなりません。
変更は1年に1回が原則
冷暖房器具を使用する季節は、どのご家庭も電力使用量がグッと上がります。電力会社と電気契約をする際は、電力を一番使う時期に合わせてアンペア数を決めましょう。
電気契約は1年単位が基本で、アンペアの変更も年に1回が原則です。「夏だけアンペア数を上げたい」「暖房器具を片付けたからアンペア数を下げたい」といった季節的な変更は受け付けてもらえません。
なお、契約アンペア数を上げる場合に限り、1年未満でも変更が可能な電力会社もあります。
一人暮らしの電気代を下げる方法を紹介
電気代を抑えたい人は、電気の無駄遣いをやめ、契約するアンペア数をできるだけ低く保つことが重要です。同居人がいない一人暮らしは、節電の効果が比較的表れやすいでしょう。
今すぐ取り組みたい節電・省エネ
電気代が高いご家庭は、電気の使い方に無頓着になっていないかを振り返りましょう。
近年は、燃料価格の高騰や電力需要の増加により、電気料金自体が高くなっています。過度な我慢は不要ですが、使用する電力を最小限に抑える心構えは必要です。
- 電気をつけっぱなしにしない
- 冷蔵庫の設定を「強」から「中」にする
- 炊飯器の保温時間を短くする
- まとめ洗いで洗濯機・乾燥機の稼働回数を減らす
- 夏は温水洗浄便座のスイッチを切る
テレビや給湯器は、コンセントに接続している限り、使用していないときでも電力を消費します。電源タップを使ったり、主電源をオフにしたりして、待機電力をできる限り減らしましょう。
⇒節電のポイントについてもっと詳しく知りたい方はこちら
夏の電気代を抑えるポイント
エアコンの使用頻度が増える夏は、ほかの季節よりも電気代がかさみがちです。逆にいえば、エアコンの使い方や頻度を見直すだけで、電気代を大幅に減らせます。
エアコンは、温度を低く設定するほど多くの電力を必要とするため、適温を保つことが重要です。快適な温度は人によって異なりますが、室温が28℃前後になるように調整するとよいでしょう。
エアコンの消費電力が最も大きくなるのは、起動時です。30分程度の外出であれば、「自動運転」でつけっぱなしにした方が電気代はかさみません。以下のような方法も試してみましょう。
- エアコンフィルターの掃除をする
- サーキュレーターとエアコンを併用する
- カーテンやブラインドで日光を遮る
- 室外機に直射日光が当たらないようにする
冬の電気代を抑えるポイント
冬は、暖房器具の使用によって電気代が大幅に増えます。設定温度を上げるほど消費電力が大きくなるため、室内温度が20℃前後になるように調整しましょう。設定温度を1℃下げるだけで、約10%の消費電力を削減できます。
夏のエアコンと同様、小まめなオン・オフは避けるのが理想です。自動運転なら、設定温度に到達すると自動で「微弱」に切り替わるため、無駄な電気代を抑えられます。
消費電力が大きいエアコンやヒーターは必要最小限にとどめ、こたつや電気ひざ掛け、電気カーペットなどで寒さをしのぐ手もあります。以下のような方法も試してみましょう。
- 厚手のカーテンや断熱フィルムで窓からの外気を防ぐ
- やかん・鍋料理・加湿器などで湿度を上げる
- エアコンの風向きを「下」にして、下方を暖める
一人暮らしに向いている電力会社の特徴
電気代を下げるというと、節電を頑張る方が多いですが、電力会社の見直しも有効です。一人暮らしに向いているのはどのような電力会社・料金プランでしょうか?
基本料金が安い
基本料金は、毎月必ず発生する固定費であるため、安ければ安いほど家計への負担は軽減されます。ただし、基本料金が安い分、電力量料金を高く設定している電力会社もあるため、必ず詳細を確認しましょう。
電力小売自由化の後に登場した「新電力」の中には、基本料金がかからない電力会社も少なくありません。基本料金があるプランに比べて料金項目がわかりやすく、家計の見直しがしやすいのもメリットです。
解約手数料がかからない
一人暮らしで賃貸住宅に住んでいる人は、引越しの可能性を考慮しなければなりません。契約期間に縛りがある電力会社の場合、引越しのたびに「解約手数料」がかかります。
例えば、「ソフトバンクでんき」の一部のプランは、契約更新月以外の解約で5,000円の手数料が生じます。一人暮らしにとって、1回5,000円は大きな金額でしょう。
従来、大手電力会社(旧一般電気事業者)との電気契約に解約手数料は設けられていませんでしたが、2016年4月以降は、解約手数料や違約金のルールが追加されているプランがあるようです。
解約の際は、利用規約をよく確認した上で、手続きに進みましょう。
※出典: [ソフトバンクでんき]解約する際、料金や手数料はかかりますか。 | よくあるご質問(FAQ) | サポート | ソフトバンク
ライフスタイルに合うプランがある
一人暮らしの電気代を抑えるポイントは、ライフスタイルに合った料金プランを選ぶことです。とりわけ新電力は、大手電力会社よりもプランが多彩で、かつ料金が安い傾向があります。
一人暮らしにおすすめのプランは、「市場連動型」です。料金の単価が市場価格に連動するため、電気の安い時間帯にまとめて家事をすれば、電気代が大きく抑えられます。
2人以上の世帯に比べ、一人暮らしは電化製品を使うタイミングや回数をコントロールしやすいのがメリットです。市場連動型の良さを実感しやすい上に、節約意識も高まるでしょう。
生活や環境に合ったアンペア数を選ぼう
一人暮らしのアンペア数は、20~30Aが一般的です。アンペア数が大きければ、十分に電気を使えますが、基本料金が上がって電気代が高くなるでしょう。逆にアンペア数が小さすぎると、生活に不便をきたします。
普段使用している電化製品やライフスタイルは一人一人違います。まずは、電化製品の消費電力から、わが家に適切なアンペア数を割り出してみましょう。
アンペア数を下げ、月々の電気代を抑えるには、日々の節電が欠かせません。ただし、節電によって生活の快適さが損なわれることがあるため、無理は控えましょう。
電化製品の電気料金が気になる方は、家電の買い替えや使い方を工夫するだけでなく、電力会社の変更や電気料金プランの見直しも検討してみませんか。
Looopでんきでは、基本料金・燃料費調整額・解約手数料0円の「スマートタイムONE」を提供しています。
このプランは基本料金が0円のため、ご自宅で使用する電気の量が多い方や、現在のプランで基本料金が高い方に最適です。
また、解約手数料が0円で契約期間の縛りもないため、お試しで数か月間、Looopでんきをご利用いただき、現在の電力会社と比較することも可能です。
Looopでんきをご利用いただいているお客さまの声を紹介します。
(30代 / 女性 / 3人暮らし)
基本料金がかからないので、大きいアンペアで契約していてもお得感がある。
でんき予報などアプリが充実していて、自分の使い方で料金を安くすることも出来る。
(40代 / 男性 / 1人暮らし)
明らかに他社より安くなるし、色々なイベントもあり楽しい。基本料金が無いのも魅力です。
まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。