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地震大国の日本では、今後複数の大地震の発生が危惧されています。東日本大震災の発生時には、少なくない地域が長期間にわたる停電に苛まれました。予測されている大型地震や停電への備え方、二次災害への対応の仕方を解説します。

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家庭内ですぐにできる地震対策

日本のどこに住んでいても、大地震はいつやってくるかわかりません。備えをしておかないと、地震に見舞われたときに被害が大きくなってしまいます。今すぐにでもできる対策を知って、万全の準備をしておきましょう。

家具の安全な配置と固定

地震により家具が倒れても被害が最小限になるように、家具の配置を点検しましょう。例えば出入り口の付近には、できるだけ家具を置かない方が無難です。近くに家具を置いていると、倒れてドアがふさがれてしまう事態も考えられます。

就寝中に家具が倒れて、その下敷きになる可能性もあります。寝室には背の高い家具を置かないようにしましょう。大型のテレビや鏡はできるだけ低い位置に置き、タンスや食器棚は、突っ張り棒やL字型金具を活用して固定します。

また、ペンダント型の照明は、揺れが大きいと天井にぶつかって電球が割れかねません。天井にチェーンで固定するか、シーリングライトに替えておくとより安全です。

食器棚のガラスや窓ガラスは、割れると足をケガする原因になります。飛散防止フィルムを貼った上で、家の中でスリッパを履く習慣も付けましょう。

水や食料・熱源の確保

震災後にライフラインが復活したとしても、物流が通常通りに戻らないうちは品物が手に入らないことも考えられます。水は1人あたり3Lで7日分、食料は最低でも3日分は蓄えておきたいところです。

食料の備蓄には、日ごろから取り組める「ローリングストック」をおすすめします。ローリングストックとは、通常の生活で消費する食品を少し多めに買っておき、消費期限の近いものから食べて減った分だけ買い足していく方法です。

また、大きな地震が起きると、ガスや電気といった調理に使うエネルギーが止まることもあります。加熱が必要な食品も食べられるよう、カセットボンベを用意しておきましょう。

※出典:災害時に備えてどれくらい水を蓄えておけばいいですか?/堺市上下水道局ホームページ

※出典:災害時に備えた食品ストックガイド|農林水産省

集合場所や避難場所の確認

家族が別々の場所にいるときに地震が来る可能性もあります。家族で話し合い、集合場所をあらかじめ決めておきましょう。安全な集合場所は、ハザードマップに載っている避難所です。

ハザードマップは、津波や浸水などによる被害想定範囲や避難場所が表示されている地図で、政府や各自治体が公開しています。避難場所の種類は、大きく分けて次の2つです。

  • 指定緊急避難場所
  • 指定避難場所

指定緊急避難場所は、命や身の安全を守る目的で緊急避難をするため、地震をはじめとした災害の種類ごとに決められたスポットです。

一方の指定避難場所は、災害の被害に遭う危険がなくなるまで避難できるスポットを指します。学校や公民館などを指定しているのが通常です。

介護や支援が必要な方を受け入れる福祉避難所に一時的に滞在できる地域もあるため、自分や家族の状況に応じて確認しておきましょう。

ハザードマップポータルサイト

地震は二次災害で被害が拡大する

これまで日本で起こった大地震では、地震の直接的な被害である「一次災害」だけでなく、それに続いて起こる「二次災害」によっても人命や日常的な生活が失われました。一次災害や二次災害の意味、できるだけ被害を抑える方法を知っておきましょう。

一次災害、二次災害の意味

一次災害は、地震の揺れが直接の原因となって起こった災害です。一次災害から連鎖的に引き起こされた災害は、二次災害と呼びます。地震による一次災害の例は以下の通りです。

  • 地滑り・土砂崩れ
  • 液状化
  • 建造物の倒壊や家具の転倒

いずれも揺れが直接の原因となっているとわかるでしょう。一方、二次災害には次のような現象が挙げられます。

  • 津波・浸水
  • 火災・火災旋風
  • 将棋倒し・エレベーターや室内への閉じ込め
  • 通信・交通機関の麻痺
  • ライフライン(電気・水道・ガス)の寸断

中でも津波や火災・火災旋風は、人々の命を奪う重大な二次災害です。将棋倒しや閉じ込めも、程度によっては命に関わります。通信や交通・ライフラインが機能しなくなれば、日常生活が難しくなるだけでなく、経済活動も止まってしまうでしょう。

二次災害を防ぐには?

地震の二次災害には、人の行動によって被害を減らせるものもあります。

例えば、津波自体は避けられなくても、緊急地震速報が出たときの避難行動をあらかじめ確認してすぐ動けるようにしておくことは可能です。多くの人が適切な避難行動をとれれば、避難時の将棋倒しも防げるでしょう。

「地震防災マニュアル」をはじめとした資料を読んでおく、地域の防災訓練には積極的に参加するといった対策が有効です。

また、地震後の火災の半数を占めるという「通電火災」は、避難するときにブレーカーのメインスイッチを下げる・感震ブレーカーを導入するといった工夫で防げます。

二次災害をゼロにはできませんが、1人1人が行動を変えることで、被害が減る可能性は高くなっていくはずです。

※出典:大きな地震が起きたときは通電火災にご注意!|政府インターネットテレビ

※出典:消防庁 地震防災マニュアル

日本で発生が懸念されている大地震

北海道から九州まで、最低でも約2,000の活断層がある日本では、どの地域でも地震は起こり得ます。

ただ、国が切迫の可能性を示している大地震には、特に注意が必要です。2022年12月の時点で発表されている情報から、近々起こるかもしれない大地震の概要を見てみましょう。

南海トラフ地震

静岡県の駿河湾から宮崎県沖の日向灘まで続く、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界にあたる区域が「南海トラフ」です。

南海トラフではマグニチュード8クラスの地震が過去に何度も発生しており、20世紀に入ってからは、1944年に昭和東南海地震が、1946年に昭和南海地震が起こりました。

最後の昭和南海地震から70年以上がたち、近い将来にまた震度6弱から6強の大地震が発生してもおかしくないとされています。南海トラフ地震が起こると、同時多発的な揺れが全国で観測され、死者数は最大で231,000人に上る想定です。

被災地には多くの都道府県の主要都市が含まれるため、帰宅困難者も多くなると予想されています。

※出典:南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ : 防災情報のページ - 内閣府

※出典:南海トラフ巨大地震 被害想定 死者32万人超 - NHK

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震

千島海溝はユーラシア大陸の北東部に位置し、ロシアのカムチャッカから北海道南東部まで続く、日本海溝の北方にある海溝です。日本海溝は千島海溝の延長上にあり、北海道の襟裳岬沖から東日本沖を列島に沿って、房総沖まで続いています。

日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震はマグニチュード9級の超巨大地震になると予測されており、過去にも同クラスの地震が300〜400年の周期で起こっているとわかりました。前回から400年ほどたち、大津波を伴う巨大地震が切迫している可能性が示唆されています。

北海道南東部を中心に、津波による浸水被害が甚大になるのがこの地震の特徴です。死者数は100,000〜199,000人を想定しており、寒冷地で冬に被災すると低体温症が深刻化する懸念があります。

北海道の農作物が受ける被害も無視できません。小麦やジャガイモ・乳製品などの全国への供給が止まるのは必至です。

※出典:千島海溝・日本海溝の巨大地震 被害想定 死者約19万9000人 - NHK

首都直下地震

首都圏では、1703年に元禄関東地震・1923年に大正関東地震(関東大震災)と、マグニチュード8級の大地震が一定のサイクルで起こっています。

このクラスの地震は200〜400年の周期でやってきており、その前にマグニチュード7級の地震が起こるのが特徴です。大正関東地震の前200年間には、マグニチュード7前後の地震が7回も起きました。

マグニチュード8級の大地震は、当面の間、発生の可能性は低いとされています。ただ、首都直下地震と呼ばれるマグニチュード7クラスの地震は、30年以内に起こる可能性が高まっています。

予測される死者数は最大で約23,000人(都心南部直下地震の場合)と南海トラフや日本海溝・千島海溝周辺海溝型に比べれば少ないものの、インフラの麻痺が大きな混乱を招き、膨大な被災者が出ると予想されています。

※出典:首都直下地震の被害想定 対策のポイント|内閣府

中部圏・近畿圏直下地震

中部圏・近畿圏直下地震は、中部・近畿エリアで発生が危惧される直下型地震の総称です。

中部地方では愛知県豊田市・大阪府・愛知県西尾市に至る「猿投―高浜断層帯」、近畿地方では大阪府豊中市から岸和田市までにある「上町断層帯」が震源となる地震について、特に大きな被害が懸念されています。

上町断層帯が震源となる地震では、2022年12月時点で約42,000人の死者数が想定されており、経済やライフラインへの被害も甚大との予測です。

2023年には中部地方を震源とした地震も含め、被害想定が見直されることになっています。

※出典:屏風山・恵那山断層帯及び猿投山断層帯 | 地震本部

※出典:上町断層帯 | 地震本部

※出典:中部・近畿地震想定見直し 23年度着手、内閣府:山陽新聞デジタル|さんデジ

地震では大規模な停電も

大型地震でインフラ供給のための設備が被害を受け、生活を立て直せなくなってしまう場合もあります。東日本大震災で起こった大規模停電を振り返り、エネルギー確保の大切さを再確認しましょう。

東日本大震災の停電

東日本大震災では、東北から関東エリアまで広範囲にわたる大規模停電が起こっています。地震発生から約3カ月後にようやく復旧作業が終わり、すべての停電が解消しました。

広範囲・長期間にわたる停電の原因として、福島第一原子力発電所の稼働停止が第一に挙げられます。暖房に使う電力が必要だったために電力の需給バランスが崩れ、大規模な火力発電所まで停止したのも理由です。

さらに変電設備や送電設備が破損したり、ショートや地面との接触によって異常を来したりといった問題もありました。被災地の深刻な停電を食い止めるため、東京電力エリアでも計画停電が行われたほどです。

大地震が起こればインフラ設備が大きな被害を受け、不便な生活を強いられる可能性を覚えておきましょう。

※出典:3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要|経済産業省

ほかの災害でも停電は起こる

停電は、電線や電柱など送電設備の異常により起こります。大雪・落雷・台風・地震・鳥の巣・車両の衝突など、異常が発生する原因はさまざまです。自然災害が多い日本では、大震災が起こらなくても停電に見舞われる可能性がついて回ります。

東日本大震災のときのように、直接被災しなくても計画停電によって不便を感じることもあるでしょう。複数の巨大地震の切迫が懸念される現在は、電気をはじめとしたエネルギー供給について、災害を考慮した対策をとるタイミングといえます。

災害に強いライフラインを確保する手段

災害時には、自然発生的もしくは計画的な停電が大いに考えられます。生活に欠かせない電気を災害時にも確保する方法について、確認しておきましょう。

オール電化住宅を検討する

オール電化住宅は、住宅内で使うエネルギーをすべて電気で賄う住宅です。オール電化住宅には、次のようにメリットが多くあります。

  • 光熱費を節約しやすい
  • 火を使わないので安全性が高い
  • 条件を満たせば補助金を受けたり税金の優遇が受けられたりする

停電時にはすべての設備が稼働しなくなるのでは?」と不安を感じる方もいるでしょう。しかし、オール電化住宅は災害時に意外な強みを発揮します。

まず、ライフラインといわれる電気・水道・ガスの中で、比較的復旧が早いのは電気だです。ガスや水道が止まっていても電気が復旧すれば、調理に使う電化製品や空調が使えます。

蓄熱式床暖房や給湯システムを備えたオール電化住宅であれば、お湯を直接取り出して使うことも可能です。給湯システムは大型タンクを備えているので、数日間の生活用水として必要な量を確保できます。

太陽光発電を取り入れる

自宅に太陽光発電を導入すれば、電力の調達を完全に電力会社に頼る状態から抜け出せます。

地震をはじめとした災害で停電が起こっても、パワーコンディショナーに「停電用コンセント」を差し込むことで電化製品を使えるのがメリットです。パワーコンディショナーが太陽電池で発電した電力を交流に変え、すぐ家庭で使えるようになります。

停電になったときにパワーコンディショナーを自動運転に切り替えれば、停電用コンセントをつないで電化製品を使える仕組みです。

ただ、非常電源は1,500Wまでしか使えない、十分な日照時間がないと発電量が減ってしまうという問題があります。地震をはじめとした災害の対策としては、太陽光発電の導入だけでは不十分といえるでしょう。

蓄電池に電気を貯めておく

家庭用蓄電池は大型バッテリーのようなものです。太陽光発電の電気や、電力会社から購入した電気を貯めておけます。

蓄電池のメリットは、余っているときに貯めておいた電力を足りないときに使えることです。地震をはじめとした災害で送電が止まっても、蓄えておいた電力を使って電化製品や給湯器を動かせます。

蓄電池の導入を考えているなら、「Looopでんち」がおすすめです。また、太陽光とセットで導入を検討されている方はLooopの「とくするソーラー蓄電池付きプラン」がおすすめです。

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地震大国日本では万全の対策を

地震大国といわれる日本では、安全に暮らすために万全の対策が欠かせません。日本の政府や自治体は、大きな地震が発生する可能性を考えて常に情報を発信しています。最新の情報を入手しつつ、過去の震災から学んだ教訓を基に対策をとりましょう。

地震が起きたときに家具が倒れないようにする、飲食料を蓄えておくといった対策は基本中の基本です。さらに二次災害としてインフラが麻痺したときのために、できる備えをしておく必要があります。

生活に欠かせないエネルギーの中でも、電気は私たちの暮らしに重要です。太陽光発電の設備や蓄電池を積極的に取り入れ、停電にも対応できる環境を作っておきましょう。