電気の単位を表すアンペア・ボルト・ワット。それぞれの言葉は知っていても、意味を十分理解していない方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは電気の仕組みをはじめ、アンペア・ボルト・ワットの意味や特徴、違いについて解説します。電気料金の計算方法についてもご紹介するので、普段使っている電気のことがよくわかるようになるでしょう。
そもそも電気の正体とは
アンペア・ボルト・ワットなどの単位を説明する前に、電気とはそもそもどのようなものなのかについて解説しましょう。
すべての物質は原子から成り立っていますが、原子は原子核が中央に存在し、その回りには電子が原子核に引っ張られて回っています。
一番外側を回っている電子は中心に引っ張られる力が弱くなっているので、電子が外から何らかの刺激を受けると、物質の外に飛び出していってしまうのです。この飛び出しやすい性質を持っている電子を自由電子と呼び、自由電子が移動することを電流といいます。
つまり私たちが電気と呼んでいるものは、自由電気の動きということになるのです。
なお、電子は原子核の中にある陽子と引きつけあう性質を持っています。電子は「マイナスの電気」、原子核(陽子)は「プラスの電気」です。電子の動き=電気は、マイナスからプラスに流れる性質を持っています。
アンペア・ボルト・ワットとは
私たちが普段使う電化製品などの説明書などにアンペア・ボルト・ワットなどの言葉が書かれていることがあります。ここではアンペア・ボルト・ワット、それぞれの意味や特徴、違いについてご紹介します。
アンペア(A)とは
アンペアとは「電気の流れる量 = 電流」を表しており、1秒間に電気が流れる量を意味する数字です。単位は「A」で表します。ちなみにアンペアという名称はフランスの物理学者「アンドレ=マリ・アンペール」に由来しています。
アンペアをわかりやすくイメージするために、水道の蛇口をイメージしてみましょう。細い蛇口よりも太い蛇口の方が多くの水が流れます。電気もアンペア数が高いほど、多くの電気が流れる仕組みとなっています。
電力会社の契約アンペア数
ご家庭で電気を使うときには、電力会社と契約しなければなりません。電力会社ではアンペア制を採用しているところが多いので、契約を結ぶときは20A、30Aなどアンペア数を目安に計算します。20~50Aくらいのプランで契約しているご家庭が一般的です。
ご家庭での電気の使用状況に合ったアンペア数のプランを選ぶことになりますが、一般的には契約アンペア数によって電気の基本料金が決まるという仕組みになっています。契約アンペア数が高いほど、多くの電化製品を一度に動かすことが可能です。
電気を使いすぎて大元のブレーカーが落ちてしまった経験がある方もいるでしょう。ブレーカーが落ちてしまうのは、使用しているアンペア数が契約プランのアンペア数を超えてしまったことが原因です。ブレーカーが落ちると、家の中のすべての電気が一時的に停止します。
頻繁にブレーカーが落ちるようなときは、契約よりも多くの電気を使う機会が多いということなので、プラン変更が必要です。逆に電気をあまり使わないのに、契約しているアンペア数が高すぎて無駄な電気料金を支払っているケースもあります。適切なアンペア数に変更することで電気料金の節約につながることもあるのでチェックしてみましょう。
アンペア数の目安 | |
---|---|
30A | 1人または2人世帯 |
40A | 3人世帯 |
50A | 4人世帯やエアコンなど消費電力の高い電化製品を使う世帯 |
60A | 家族の多い世帯や一日中電化製品を使う世帯 |
60A以上 | オール電化の場合など |
ボルト(V)とは
ボルトとは「電気を押し出す力 = 電圧」を表しており、単位は「V」で表します。ちなみにボルトという名称は、ボルタ電池の開発者であるイタリアの物理学者「アレッサンドロ・ボルタ」に由来しています。
ボルトをわかりやすくイメージするのにも、水道の蛇口をイメージしてみましょう。蛇口から流れる水は蛇口をひねるほど水圧が高くなって多くの水が流れます。電気もボルト数が高いほど、多くの電気が流れる仕組みです。
電力会社の定めるボルトについて
電力会社から供給される電気は電圧が一定に保たれています。日本の一般家庭でコンセントを使う場合は100Vに、工場などの施設では200Vで設定されています。一般的な電化製品は日本国内のコンセントで使われることが想定されているので海外で使うときは注意が必要です。
外国では120Vや220V設定の国もあります。日本の100Vを基準に作られた電化製品などを海外で使うと、高い電圧に耐えきれずに壊れてしまう場合があるので、海外で日本の電化製品を使うときには、変圧器が必要です。
ワット(W)とは
ワットとは「一定時間内に消費される電気エネルギー = 消費電力」を表しており、単位は「W」で表します。ちなみにワットという名称はスコットランドの発明家「ジェームズ・ワット」に由来しています。
私たちが使う電化製品にもワット数が表示されています。ワットは、どれだけの電圧(V)で、どれだけの電流(A)を流せたかという仕事量を表す単位です。ワット数が高いほど大きな電気エネルギーを使っています。60Wの電球よりも100Wの電球の方が明るいのも、100Wの電球の方が大きな電気エネルギーを使っているためです。消費電力が大きい電化製品では、ワットではなく、キロワット(kW)で表示されている場合もあり、1kW=1000Wとなります。
電気料金は、このワット数と使用した時間をもとにして算出しているので、ワット数の大きい電化製品を長時間使うと電気料金が高くなるという仕組みになっています。
ちなみに省エネをアピールしている電化製品は、基本的にワット数が従来の電化製品よりも少なくなっています。節電を意識したい場合は、商品購入前にワット数をチェックするのもおすすめです。
ワットアワー(Wh)とは
ワットアワーとは「実際に使った電気エネルギー=電力量」を表しており、単位は「Wh」で表します。ワットアワーの数値が大きいほど、消費される電力量が大きくなるという仕組みです。1ワット(W)とは電気が1秒間にする仕事の量(「どのくらい電力を消費するのか」)を表すのに対して、1ワットアワー(Wh)は1ワットの電力を1時間使う(「実際に使う電力量」)ことを表します。
ワットアワーは電気料金を計算するときに使うことができ「定格電力(W)× 使用時間(h)=電力量(Wh)」という計算式で計算します。定格電力については後ほどご紹介するので、参考にしてください。
例)1000Wの電化製品を1時間使用した場合
1000(W)×1(h)=1000Wh
1000Wh=1kWh(キロワットアワー)
電力会社の電気料金は1kWh単位で決められており、1カ月に何kWhを使用したかによって毎月の電気料金が計算されています。
アンペア・ボルト・ワットの関係性
ここでいったんアンペア・ボルト・ワットの関係性について整理してみましょう。
アンペア・ボルト・ワットの関係性 | |||
---|---|---|---|
単位 | 電気用語 | 役割 | |
アンペア | A | 電流 | 電気が流れる量 |
ボルト | V | 電圧 | 電気の強さ |
ワット | W | 消費電力 | 消費する電気エネルギー |
ワットアワー | Wh | 電力量 | 実際に使った電気エネルギー |
アンペア・ボルト・ワットは電気を表す単位です。それぞれ、次のような計算式で求めることができます。
アンペア・ボルト・ワットの計算式 |
---|
アンペア(A)= ワット(W)÷ ボルト(V) |
ボルト(V)= ワット(W)÷ アンペア(A) |
ワット(W)= アンペア(A)× ボルト(V) |
私たちが普段使う電気の単位についてご紹介しました。それぞれの意味や計算式を活かして、普段使っている電気のことについて、もう少し考えてみましょう。
消費電力の基礎知識
ここからは私たちが普段使っている電化製品の消費電力について解説します。消費電力の計算方法もご紹介するので、気になる電化製品の消費電力計算などの参考にしてください。
消費電力
消費電力とは、電化製品を使うときに消費する電力量のことです。電化製品を動かすために、どれだけの電気が必要であるかということを数字で表しています。
例えば、使用する電化製品の消費電力記載欄に「強1200W/弱600W」と記載されていた場合を例にしてみましょう。「強1200W/弱600W」とは電化製品の強運転時にかかる消費電力は1200W、弱運転時にかかる消費電力は600Wという意味です。消費電力は電化製品によって数値は異なります。W数が大きいものほど電力を消費します。
定格消費電力
定格消費電力とは、JIS規格に基づいた条件で安定して出せる能力で消費される電力のことを表します。例えば、ホットカーペットやホットプレートなど、温度を調節するような電化製品を最高温度で使ったときなどを指します。
最大出力の消費電力を知りたい方のために定格消費電力は記載されています。しかし、実際には最大出力のまま機器を使い続けることはないので、複数の電化製品で省エネ効果を比較するときは、定格消費電力同士で比較してもあまり意味がないでしょう。省エネ効果を比較したいときは、消費電力同士で比較することをおすすめします。
年間消費電力
年間消費電力とは、実際の使用条件に近い条件のもとで、電化製品の1年間に使用することでかかる電力量の数値を表します。測定の条件は電化製品ごとに定められています。
テレビを例にすると、平均視聴時間や待機時間を想定して計算されるなど、一定のルールがあります。毎日使う冷蔵庫や夏や冬に使う機会が多いエアコンなどに記載されていることが多く、年間の消費電力量を判定基準をもとにして出しています。
なお、実際の使用条件に近づくように改善されており、昔と今で測定方法が変わっているものもあるので注意が必要です。例えば、冷蔵庫は2016年に測定方法が変わりました。2010年代前半の冷蔵庫と最新の冷蔵庫では厳密に比較できないことがあるので注意しましょう。
消費電力の計算方法
消費電力の計算は、先ほどご紹介したアンペア(電流)とボルト(電圧)の数値がわかれば簡単に計算できます。
消費電力の計算方法 |
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消費電力(W)= 電圧(V)× 電流(A) |
例)電圧が12(V)で電流が1.25(A)の場合
12(V)×1.25(A)=15(W)
消費電力は15(W)ということになります。
消費電力から電気代を計算する方法については、こちらの記事で詳しく紹介していますので合わせてご覧ください。
⇒消費電力から電気代を計算するには?毎月の電気代を安くする3つの方法
W/Wh/kWから電気料金を計算する方法
ここからは電化製品の電気料金を計算する方法について解説します。電化製品によって、ワット(W)・ワットアワー(Wh)・キロワット(kW)など表示方法が異なることがあるので、それぞれの単位から電気料金を計算する方法をご紹介します。気になる電化製品の電気料金の目安がわかるようになりますよ。
電化製品の電気料金の計算方法
電化製品の電気料金を計算するときは「電気の量」×「量あたりの単価」で計算しなくてはなりません。
①まずは電力量(Wh)を算出する
消費電力(W)×時間(h)=電力量(Wh)
②次に電力会社の電気料金は1kWh単位になっているので、kWh(キロワットアワー)に換算する
Wh÷1000=kWh
③最後に契約プランの1kWhあたりの電力量料金を入れて電気料金を算出する
kWh×1kWhあたりの電力量料金=電気料金
表示されている消費電力別の計算は以下のようになります。
・消費電力がW(ワット)で表示されている場合
W÷1000×1日の使用時間(h)×1kWhあたりの電力量料金=電気代
・消費電力がkW(キロワット)で表示されている場合
kW×1日の使用時間(h)×1kWhあたりの電力量料金=電気代
・消費電力がWh(ワットアワー)で表示されている場合
Wh÷1000×1kWhあたりの電力量料金=電気代
消費電力の表示がW(ワット)の場合
電化製品に記載されている消費電力の表示がW(ワット)の場合の計算式と計算例をみてみましょう。
計算式)
消費電力(W)÷1000×使用時間(h)×1kWhあたりの電力量料金=電気料金
計算例)
消費電力が1100Wの電化製品を30分使用した場合の電気料金
(1kWhあたりの電力量料金が27円の場合)
1100÷1000×0.5×27=14.85
消費電力は、電気製品公正取引協議会が定めた電力料金の目安単価、27円/kWh(※1)で計算しています。消費電力が1100Wの電化製品を30分使用した場合の電気料金は14.85円となります。
消費電力の表示がkW(キロワット)の場合
電化製品に記載されている消費電力の表示がkW(キロワット)の場合の計算式と計算例をみてみましょう。
計算式)
消費電力(kW)×使用時間(h)×1kWhあたりの電力量料金=電気料金
計算例)
消費電力が1.2kWの電化製品を2時間30分使用した場合の電気料金
(1kWhあたりの電力量料金が27円の場合)
1.2×2.5×27=81
消費電力が1.2kWの電化製品を2時間30分使用した場合の電気料金は81円となります。
消費電力の表示がWh(ワットアワー)の場合
電化製品に記載されている消費電力の表示がWh(ワットアワー)の場合の計算式と計算例をみてみましょう。
計算式)
Wh÷1000×1kWhあたりの電力量料金=電気料金
計算例)
消費電力が180Whと表示されていて1回使った場合の電気料金
(1kWhあたりの電力量料金が27円の場合)
180÷1000×27=4.9
消費電力が180Whの電化製品を1回使った場合の電気料金は4.9円となります。
節約したいなら料金プランを見直してみよう
普段私たちが使用している電気の仕組みをはじめ、電気の単位「アンペア・ボルト・ワット」の意味や特徴、違いについてご紹介しました。普段使っている電化製品の電気料金の目安を知るとともに、電気の使い方や料金プランについても振り返ってみましょう。
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(30代 / 女性 / 3人暮らし)
基本料金がかからないので、大きいアンペアで契約していてもお得感がある。
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(40代 / 男性 / 1人暮らし)
明らかに他社より安くなるし、色々なイベントもあり楽しい。基本料金が無いのも魅力です。
まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。