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エアコンの画像 エアコンの画像

室温を調整できるエアコンは、夏や冬だけでなくジメジメした梅雨の時期でも欠かせない、日常生活で必須に近い電化製品です。
その分注意したいのが故障のトラブル。毎年、夏場になるとメーカーや街の電気屋さんにはエアコン修理や点検の依頼が殺到し、対応まで数週間かかるということも珍しくありません。

節電のためにできるだけ使うのを我慢していたけど、猛暑の日に我慢できずスイッチオン。だけどいつの間にか故障していて、点検修理まで何日も我慢しなければならない……という事態は避けたいものです。

そこで今回は、夏場前のエアコン試運転についてご紹介。もし修理や交換が必要になっても、猛暑の頃にはちゃんとエアコンが使えるように、ご自宅のエアコンがちゃんと動くかを早めにチェックしておきましょう。

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エアコン修理が多いのは7月~8月

エアコンメーカーのダイキンがおこなった調査では、ユーザーがエアコンに不具合を感じるタイミングは夏になってからという人が71.5%を占めているそうです(※1)。そういったこともあってか、エアコンに関する問い合わせ件数は4月から7月にかけて約4倍に増加するとのこと(※2)。

また、昨今では新型コロナウイルス対策としてテレワークが推進されています。そのこともあって、一般住宅でのエアコン稼働率が例年に比べて上がり、エアコンの修理・交換・修理の問い合わせが一層増加すると予想されます。
このような状況を受けて、経済産業省は夏シーズンが始まる前にエアコンの試運転実施を呼びかけています。
※1 出典:ダイキン「夏前にエアコン試運転をお勧めする「スイッチオン!キャンペーン」エアコン不具合の72%は冷房の使い始めに起きている、室内で夏を快適に過ごすためにエアコンの試運転を」
※2 出典:ダイキンPRO SHOP「夏に壊れたら大変!エアコンはシーズン前に試運転を」

エアコンの試運転のメリット

とはいえ、普段やっていないことをわざわざおこなうのも面倒くさいという気持ちがあるのも事実です。なのでここでは、試運転が面倒という方にも向けて、あらためて試運転をおこなうメリットを紹介していきます。

①修理や交換に時間をかけないため
エアコンの修理は7月や8月にかけて大幅に増加する傾向にあります。そのため、万が一エアコンの修理や交換が必要になった場合も、夏場に入ってからでは何日も待たなければならない可能性があります
そうならないためにも事前に早めの確認をしておき、夏場の依頼を避けられるように動くのが得策です。理想は4月や5月などですが、6月でもまだ遅くはありません。今の内にチェックしておきましょう。

②熱中症予防の一環
厚生労働省は、新型コロナウイルス対策として「新しい生活様式」を示しており、その実践例として外出を控えることに言及しています。可能な限り不特定多数との接触を避けて、自宅などの屋内にいることが重要です。
しかし、夏場に自宅でエアコン冷房が使えないとなると本末転倒。極端な話、新型コロナウイルスは予防できても熱中症になってしまう……ということもありえます。
ご自身の健康を守るためにも、エアコンの点検はとても重要です。

③エアコンのメンテナンスも兼ねて
エアコンの稼働自体に支障がなくても、リモコンの赤外線センサーの調子が悪い、そもそもエアコン自体の稼働年数が耐久年数を大幅に超えている、といったこともあるかもしれません。
備えあれば憂い無しという言葉もあります。急なトラブルを避けるためにも日々の意識を高めておき、普段からこまめな掃除をしておいたり、修理が必要なときの問い合わせ先を事前に確認しておいたりすることが、快適な生活のためには重要です。

エアコンの試運転方法

エアコンの前でリモコンを持っている写真 エアコンの前でリモコンを持っている写真

それでは、ここからはエアコンの試運転のやり方を確認していきましょう。
以下の内容は、日本国内の代表的なエアコンメーカーであるPanasonic、SHARP、ダイキン、日立、三菱電機のメーカーサポートページなどを確認し、総合的にまとめたものです。
それぞれのメーカーで細かな項目の違いはありましたが、基本的な方法に違いはありません。ひとつひとつ丁寧にチェックしていきましょう。

ブレーカーが入っているか

意外なポイントかもしれませんが、ブレーカーがオンになっているかをまずは確認してみましょう。電化製品のサポートでは、「『電源が入らない』という故障の原因は、コンセントがささっていないことだった」という問い合わせが多い……という話は珍しくありません。

コンセントをチェック

エアコンの室内機のコンセントがしっかりささっているかを確認してみましょう。
また、ささっているかどうか以上に気をつけて確認したいのが、ホコリや変色の有無。ホコリは漏電や火災の原因になるので、たまっているようならしっかりと掃除しましょう。その他、万が一コードを束ねて使っている場合は、コードをほどいてください。束ねて使うのは基本的にNGです。

また、電源プラグの変色、電源コードの傷つき、切断してしまったコードをつなぎなおす「途中接続」などがある場合もすぐに使用を取りやめ、電源プラグを抜いた上でメーカーや販売店に問い合わせをしてください。

室外機の周辺や排水ホースを確認

その次は室外機。例えば、荒天で排水ホースが思わぬ方向を向いていたり、室外機の周りにゴミがたまっていたりしませんか?屋外に置いている分、思わぬトラブルが起こっていても気づきにくいです。

特に、排水ホースが水につかっていたり、先にゴミが詰まっていたりすると、室内機からの排水に影響が出て、水漏れにつながる可能性があります。しっかりと確認しましょう。

フィルターの汚れなどを確認

室内機のフィルター汚れも注意すべきポイントです。フィルターはホコリなどをキャッチしてくれる反面、フィルターにカビや雑菌が繁殖して異臭の原因になっていることもありえます。エアコンを動かす前にしっかり掃除しておきましょう。

ちなみに、清掃業者のダスキンによると、エアコンを毎日使っている場合のフィルター掃除は2週間に一度おこなうと良いそうです(※)。
※ 出典:ダスキンの公式サイト

実際にスイッチを入れる

リモコンを使ってエアコンの電源をオンにしましょう。この作業がうまくいかない場合、リモコンの不調あるいはエアコン本体の不調が考えられますので、修理や点検を検討した方が良いでしょう。

この際にタイマーランプが点灯していないかも確認してみてください。メーカーにもよりますがタイマーランプの点滅が何かしらの不調を示していることが多いです。

温度設定と風量設定の確認

温度設定を最低温度まで下げてください。メーカーの試運転の案内では「最低設定温度」「16-18度」「16度」「18度」「室温よりも3度低い温度」と、温度設定の指針はさまざまですが、共通しているのは冷房機能がしっかりと機能するような、とても低い温度ということです。設定可能な最低温度にするようにしてください

また、それにあわせて、風量設定も最大にしてください。風量が低いと、風を出す機能がしっかり動いているかどうかがわかりにくくなります。特に、風量を自動設定にしていると、稼働中に風量が勝手に低くなるかもしれません。

この段階で冷風が出ない、風量を最大にしても風が強くならないようなら、本体の不調が考えられます。故障や点検を検討してみてください。

30分運転

設定温度を最低にして風量を最大にした上で、最低30分はエアコンを動かしましょう。できれば部屋の窓を開けるようにしておくのがおすすめです。部屋を開けておくと、いつまでたっても部屋の温度が下がらないので、エアコンがフル稼働し続けます。
この際、特に注意してほしいのは2点あります。まず、エアコン本体から異音が出ていないかどうか。異音がする場合は、エアコン本体に何らかの不調が起きている可能性が高いです。

次に、エアコンの風から異臭がしないかどうかです。異臭はエアコンで頻繁に発生する問題です。エアコンは空調設備であることからホコリが本体に付着しやすく、かつ除湿や冷房機能によって湿度が高くなりがちです。そのため、機械の中でカビや雑菌が繁殖しやすいです。

わずかなカビや雑菌であれば、冷房が稼働する中で空気中の湿気が結露して、カビや雑菌が結露水で洗い流されることがあるため、30分のフル稼働で取り除くことができるかもしれません。しかし、繁殖しすぎているとそれでも全く落ちず、数日後に臭いが元に戻ってしまいます。臭いが激しい場合は、エアコン掃除の依頼や買い換えなどを検討した方がいいでしょう。

また、その過程で室内機から水漏れが発生しないかも確認しましょう。通常、結露した水分は室外機の排水ホースから外に出て行きますが、それが室内機から漏れる場合はホース詰まりといった何らかの不調が考えられます。

エアコンの試運転と確認項目
確認項目 チェックポイント
ブレーカー ブレーカーが「入」になってるか
コンセント コンセント周りのホコリ
プラグの変色
ケーブルの切断や途中接続
室外機 排水ホースの点検
室外機の確認
フィルター汚れ フィルターが汚れていないか
スイッチを入れる 電源がつくかどうか
リモコンの不調
異音が出るか
温度設定と風量設定 冷風[温風]が出るか
風がしっかりと出るか
30分の稼働 異臭がするかどうか
(異臭が出続けるかどうか)

エアコンに不調が見つかったらどうすればいい?

エアコンのカバーをドライバーを使って開けている写真 エアコンのカバーをドライバーを使って開けている写真

ここまで試運転の方法を見てきました。チェック項目の中には掃除などで改善可能なものがある一方、本体の不調などはメーカーや販売店への修理・交換依頼が必要になります。
そこで、ここからは不調の種類とその対応方法について整理してみていきましょう。

リモコンの不調:電池の交換や代替リモコンの購入

リモコンが動作しない場合は、電池の交換やリモコンの買い換えをしてみましょう。
室内機本体にスイッチがあれば、エアコンの電源をつけることは可能です。しかし、その場合は冷暖房や除湿機能の切り替えなどができず、間違いなく不便です。おっくうかもしれませんが、リモコンはちゃんと使えるようにしましょう。

リモコンが使えない場合は、電池切れかもしれません。電池を替えてみましょう。それでも使えないなら、リモコン自体を買い換えてみましょう。本来は同じリモコンをメーカーから取り寄せるのが一番理想的ですが、家電量販店なら汎用リモコンが売っていることもあります。

異臭:フル稼働での改善を試すか、エアコン掃除を依頼する

エアコンの風が臭う主な原因は、エアコン内のホコリでカビや雑菌が繁殖していることにあります。臭いの元になっているカビや雑菌を取り除くことで改善できますので、ホコリがたまらないように定期的なフィルター掃除をしてみましょう。

それでも改善しない場合は、既に紹介したように、エアコンを30分~1時間フル稼働させてみてください。カビや雑菌が結露水と一緒に室外に出て行き、臭いが除去できる可能性があります。

もしそれでも駄目であれば、一度エアコン掃除を掃除業者さんに依頼してみましょう。高圧洗浄でカビや雑菌の汚れを一気に洗い流してくれます。機種にもよりますが、シンプルな機種なら1~2万円で掃除を受け付けてくれます。

ただし、いくつか留保すべき点はいくつかあります。まず、エアコンによっては電子部品など分解できないパーツがあるため、完全には洗い流せない場合があります。また、複雑な構造の製品だと掃除自体に高額料金がかかる場合もあるため、後述のように買い換えた方が安上がりの場合もあります。コストパフォーマンスを総合的に判断しましょう。注意が必要です。

異音がする、電源がつかない:販売店やメーカー修理、買い換え

異音や電源がつかないといった問題の場合は、販売店やメーカーに点検・修理を依頼しましょう。

なお、エアコン自体が古い場合は注意が必要です。補修用性能部品の保有期間は法律で規定されており、販売終了から10年間です。10年以上前の製品だと修理が不可能だったり、そもそも修理費用が高額になる可能性もあります。

また、古い製品は一般的に電力消費の燃費が最新機種よりも悪いことが多く、今後の燃費も考えると、新製品を購入した方が節約になる場合もあります。場合によっては買い換えを検討してみるのも一つの手です。

まとめ

エアコンの不調は7-8月といった夏のシーズンに発覚することが多く、メーカーや販売店への修理依頼もその時期に増加する傾向があります。そのため、早めの時期にエアコンの試運転をおこなうことが、経済産業省からも推奨されています。

点検方法は基本的にシンプルで、ブレーカーやコンセント、室内機のフィルターや室外機の排水ホースなどを点検した後、最低温度で30分近くフル稼働させましょう。この際、エアコンに明らかな不調や動作不良が発生していたら、早めに修理・点検の依頼をするのが良いでしょう。臭いなどは軽微なものならフル稼働で除去される場合がありますが、すぐに臭いが元に戻る場合は業者への清掃依頼や本体の買い換えも検討するのがおすすめです。

また、古い機種だと修理費用が高額になることもあります。古い機種は光熱費が高い傾向にあるため、場合によってはエアコン自体を省エネ機種に買い換えることも選択肢に入ってきます。省エネ機種はCO2排出削減につながることもあるので、ぜひ検討してみてください。