石油ファンヒーターの購入を検討している方の中には、電気代や灯油代が気になっている方もいるでしょう。暖房器具としての特徴を理解すれば、ほかの暖房器具との比較もしやすくなります。石油ファンヒーターの光熱費や節約方法、選び方を解説します。
石油ファンヒーターの基礎知識
そもそも石油ファンヒーターとはどのような暖房器具なのでしょうか。今まで石油ファンヒーターを使ったことがない方のために、暖房の仕組みやメリット・デメリットをご紹介します。
石油ファンヒーターとは
石油ファンヒーターは、灯油を燃焼させて発生した熱をファンで送り出すことで、部屋を暖める暖房器具です。灯油を加熱して気化させ、その気化ガスと空気を混ぜて燃焼させます。
石油ファンヒーターの主要メーカーといえば、コロナとダイニチです。いずれのメーカーも、石油ファンヒーターの歴史において重要な役割を果たしています。
芯式ストーブが主流だった時代、コロナが1974年に室内をきれいな空気で暖める石油FF式温風暖房機を、1979年にはFF式を改良した石油ファンヒーターを発売しました。
また、ダイニチは1980年に、着火スピードが業界最短の気化器を搭載した家庭用石油ファンヒーターを開発しています。なお、世界で初めて家庭用石油ファンヒーターを開発したのは三菱電機です。
※出典: コロナの歴史|企業情報|株式会社コロナ
※出典: 発売から40周年の節目に、家庭用石油ファンヒーター累計生産台数3,200万台を達成しました | ニュース | ダイニチ工業株式会社 - Dainichi
石油ファンヒーターのメリット・デメリット
石油ファンヒーターのメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
メリット | デメリット |
---|---|
・点火後すぐに温風が出て部屋全体を素早く暖められる ・灯油が燃焼する際に水蒸気が発生するため空気が乾燥しにくい ・比較的コンパクトなモデルが多く設置場所を選ばない |
・灯油の購入や給油作業が手間と感じる場合がある ・灯油特有の臭いが発生することがある ・一酸化炭素中毒のリスクがあるため定期的な換気が必要 |
灯油特有の臭いについては、近年では消臭機能を備えた機種も増えています。
石油ファンヒーターの光熱費はどのくらい?
石油ファンヒーターにかかる光熱費は、電気代と灯油代の合計です。実際の製品を例にとり、それぞれの目安を計算します。
石油ファンヒーターの電気代の目安
石油ファンヒーターにかかる電気代の計算式は、「消費電力(kW)×使用時間(h)×電気料金単価(円/kWh)」です。電気代の目安を求める場合、一般的に電気料金単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価の31円/kWhを用います。
- 製品名:FH-CP25Y(コロナ)
- 消費電力:8.5~14W(燃焼時弱~強)
消費電力8.5Wの場合 | 消費電力14Wの場合 | |
---|---|---|
1時間あたりの電気代 | 約0.26円 | 約0.43円 |
石油ファンヒーターの光熱費に占める電気代の割合はごくわずかです。
※出典: よくある質問 Q&A 公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
※出典: CPタイプ|石油ファンヒーター|株式会社コロナ
石油ファンヒーターの灯油代の目安
石油ファンヒーターにかかる灯油代は、「燃料消費量(L/h)×使用時間(h)×1Lあたりの灯油料金(円/L)」の計算式で求められます。
- FH-CP25Yの燃料消費量:0.064~0.243L/h
- 1Lあたりの灯油料金:122.6円(2025年7月24日時点)
燃料消費量0.064L/hの場合 | 燃料消費量0.243L/hの場合 | |
---|---|---|
1時間あたりの灯油代 | 約7.85円 | 約29.79円 |
FH-CP25Y(コロナ)を最大出力で使い続けた場合、1時間あたり約30円の光熱費がかかることになります。
※出典: 石油製品価格調査 調査の結果|資源エネルギー庁
※出典: CPタイプ|石油ファンヒーター|株式会社コロナ
石油ファンヒーターをほかの暖房器具と比較
石油ファンヒーター以外の主な暖房器具について、特徴と光熱費の目安をご紹介します。暖房器具選びで迷う場合は、ランニングコストの比較だけでなく、それぞれの特徴を考慮して目的や場所に応じた種類を選ぶことが大切です。
エアコンの特徴と光熱費
エアコンは石油ファンヒーターと同様、部屋全体を暖めるのに適した暖房器具です。ただし、エアコンは温風が出るため空気が乾燥しやすいほか、立ち上がりがやや遅いデメリットがあります。
最初は石油ファンヒーターで部屋を一気に暖め、室温が安定した後にエアコンの自動運転に切り替えれば、寒く感じる時間が短くなるうえ、電気代も抑えられるでしょう。
- 製品名:MSZ-ZW2225(三菱、6畳用)
- 消費電力(暖房):465W
- 1時間あたりの電気代:約14.42円
※出典: Zシリーズ | 三菱ルームエアコン 霧ヶ峰 | 三菱電機
⇒エアコンの暖房代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
ガスファンヒーターの特徴と光熱費
ガスファンヒーターは、ガスの燃焼による熱をファンで放出し、室内全体を暖める暖房器具です。速暖性に優れているほか、空気が乾燥しにくいメリットもあります。灯油を使うわけではないため臭いがせず、給油の必要もありません。
一方、ガスファンヒーターはガス栓につないで使用するため、ガス栓への接続が必要です。ガス栓がない部屋で使いたい場合は、ガス栓の設置工事を行わなければなりません。また、不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクを避けるため、こまめな換気も不可欠です。
ガスファンヒーターには電気代とガス代がかかります。ガス代の計算式は「ガス消費量(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量45MJ/m³×ガス料金(円/m³)」です。
- 製品名:RC-Y4002PE(リンナイ)
- 消費電力:18W
- ガス消費量:4.07kW
- 1m³あたりのガス料金(都市ガス):130.46円
1時間あたりの電気代 | 約0.56円 |
1時間あたりのガス代 | 約42.48円 |
1時間あたりの光熱費(電気代+ガス代) | 約43.04円 |
※出典: プラズマクラスターイオン発生機能と空気清浄機が付いたガスファンヒーター。 - リンナイ
※出典: 都市ガスの種類・熱量・圧力・成分 | 東京ガスネットワーク
※出典: ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)|東京ガス株式会社
⇒ガスファンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
セラミックファンヒーターの特徴と光熱費
電気ストーブの一種であるセラミックファンヒーターは、セラミックを電気で加熱し、温風をファンで放出する暖房器具です。コンパクトサイズの製品が多く、脱衣所やトイレなど狭い場所で素早く暖を取りたい場合に適しています。
一方、セラミックファンヒーターは部屋全体を暖めるのには不向きです。また、温風を出すため空気が乾燥しやすいほか、ファンの運転音が気になる場合があります。
- 製品名:HX-RK12(シャープ)
- 消費電力(弱、50Hz):620W
- 1時間あたりの電気代:約19.22円
※出典: 仕様 / 寸法 | HX-RK12 | プラズマクラスター電気暖房機:シャープ
⇒セラミックファンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
カーボンヒーターの特徴と光熱費
カーボンヒーターは遠赤外線による輻射熱で体を直接温める暖房器具です。セラミックファンヒーターと同じく電気ストーブの一種であり、スポット暖房として活用できます。温風を出さないため、空気が乾燥しにくい点もメリットです。
カーボンヒーターのデメリットとしては、部屋全体を暖めるのには向かないことが挙げられます。立ち上がりが早い特徴を生かし、エアコン使用時に部屋が暖まるまで補助的に使うのもおすすめです。
- 製品名:DC-W092(山善)
- 消費電力(弱):450W
- 1時間あたりの電気代:約13.95円
※出典: 商品情報_カーボンヒーター(900/450W) | 山善の商品情報サイト | YAMAZEN BOOK
⇒カーボンヒーターの電気代についてもっと詳しく知りたい方はこちら
石油ファンヒーターの光熱費を抑えるコツ
石油ファンヒーターの光熱費は、使い方を工夫することで節約が可能です。電気代や灯油代をできるだけ抑えるためのポイントを見ていきましょう。
フィルターを定期的に掃除する
石油ファンヒーターにはエアフィルターとオイルフィルターがあり、特にエアフィルターが目詰まりすると暖房効率が下がり、電気代が上がる原因になります。
エアフィルターは石油ファンヒーターの背面や側面に設置されているのが一般的です。掃除機でホコリを吸い取るかブラシでホコリを払い落とし、汚れがひどい場合は水洗いできれいにしましょう。
少し早めにスイッチを切る
石油ファンヒーターの使用時には、灯油の燃焼によって部屋が加湿されます。湿度が上がると室温が下がりにくくなるため、通常より少し早めにスイッチを切っても暖かさを保てます。
外出時や就寝時に石油ファンヒーターの電源を切る際は、15分ほど早めにスイッチを切ることで、灯油代や電気代の節約につながります。
窓や壁を背にして置く
石油ファンヒーターは、冷気が入ってくる窓や壁際に置くのが効果的です。冷気を背にして置くことで、冷気を取り込みやすくなり、暖めた空気が部屋全体に効率よく循環します。
石油ファンヒーターは火を使うため、窓際や壁際に置く際はカーテンや可燃物から離し、安全な場所に設置することが重要です。
電力会社を切り替えて家全体の光熱費を見直す
石油ファンヒーターの光熱費は、灯油代が大部分を占めるため、電力会社を切り替えてもファンヒーター単体のコスト削減効果は大きくありません。
しかし、少しでも光熱費を抑えたい人は、家全体の電気代に目を向けて電力会社を見直すのがおすすめです。
電力小売自由化によって、家庭でもさまざまな電力会社や料金プランを選べるようになっています。生活スタイルや使用量に合ったプランに切り替えることで、結果的に暖房費の負担も軽減できるでしょう。
⇒電力会社の乗り換えについてもっと詳しく知りたい方はこちら
石油ファンヒーターを選ぶ際に見るべきポイント
石油ファンヒーターにはさまざまな種類があり、比較する際に迷いがちです。製品選びでチェックすべきポイントをご紹介します。
燃焼方式
石油ファンヒーターの燃焼方式には、主に次の3種類があります。
ブンゼン気化式 | 気化器で灯油を加熱し、バーナーに噴射して燃焼させる方式。着火スピードが速く、消火時の臭いが少ない。消費電力は大きい。 |
油圧送霧化式 | 熱せられた気化筒に灯油と空気を送り込み、灯油を微粒子状に霧化して燃焼させる方式。燃焼音が静かで消費電力を抑えられる反面、着火に時間がかかり臭いも気になりやすい。 |
ポット式 | 灯油をポット(蒸発皿)に溜めて気化させ、燃焼させる方式。消費電力を抑えられる一方、点火までに時間がかかりやすく臭いもやや強い。 |
消費電力・着火スピード・臭いに違いがあるため、製品選びの参考にしましょう。
最大出力
石油ファンヒーターには適用畳数が設定されています。無駄な光熱費を発生させないためにも、部屋の広さに合ったパワーを出せる製品を選びましょう。
使いたい部屋の広さにぴったりの最大出力ではなく、適用畳数が一段階上の製品を選ぶのがおすすめです。より早く室温を安定させられるため、光熱費の無駄を抑えられます。火力を絞り込む機能があれば、設定温度に達した後の光熱費も節約しやすいでしょう。
省エネ機能
石油ファンヒーターの中には、省エネ機能が搭載されているモデルもあります。以下のような機能を活用すれば、光熱費の節約を図ることが可能です。
- 人感センサー:人がいなくなった部屋で自動的に電源が切れる
- エコモード:室温に合わせて運転を自動的にセーブする
石油ファンヒーターは電気代と灯油代を節約しながら使おう
石油ファンヒーターは部屋全体を暖めるのに適した暖房器具です。立ち上がりが早いほか、空気が乾燥しにくいメリットもあります。ほかの暖房器具との違いを理解し、使い分けたり併用したりするのがおすすめです。
また、石油ファンヒーターには電気代と灯油代がかかります。使い方を工夫することで光熱費を節約できるため、快適さとコストのバランスをとりながら賢く石油ファンヒーターを使いましょう。
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