照明にかかる電気代は、蛍光灯をLEDに交換することで節約できます。実際にどのくらいの差があるのか、電気代を白熱電球やLEDと比較してみましょう。蛍光灯や白熱電球をLEDに交換する際のポイントもあわせて解説します。
蛍光灯・白熱電球・LEDの電気代はいくら?
実際の商品を例に取り、まずは蛍光灯・白熱電球・LEDの電気代の計算結果を見てみましょう。できるだけ同じ条件での比較になるよう、それぞれの商品は同等の明るさのものを選びました。
電化製品の電気代は次の式で計算できます。
消費電力(kW)×時間(h)×料金単価(円/kWh)
2025年2月時点での電気料金の目安単価は、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円/kWhです。また、1日あたりの照明の使用時間は8時間と仮定します。
※出典: よくある質問 Q&A 公益社団法人 全国家庭電気製品 公正取引協議会
蛍光灯の電気代の目安
蛍光灯の電気代の計算で取り上げる次の商品は、60形の明るさです。
モデル名:パルックボール D15形 E26口金 クール色(パナソニック)
消費電力:11W
- 1日あたりの電気代:0.011kW×8h×31円/kWh=約2.73円/日
- 1カ月あたりの電気代:2.73円/日×30日=約81.90円/月
- 1年あたりの電気代:81.9円/月×12カ月=約982.80円/年
年間約1,000円の電気代がかかる結果となりました。白熱電球やLEDと電気代を比較する際は、この電気代を基準に見ていきます。
※出典: 概要 パルックボール D15形 E26口金 クール色 EFD15ED11EF2 | LED電球・蛍光灯 | Panasonic
白熱電球の電気代の目安
蛍光灯の電気代の計算で取り上げる次の商品も、明るさは前項の蛍光灯と同じ60形です。
モデル名:エルパ シリカ電球 長寿命タイプ 60形 E26 ホワイト LW100V57W-W
消費電力:57W
- 1日あたりの電気代:0.057kW×8h×31円/kWh=約14.14円/日
- 1カ月あたりの電気代:14.14円/日×30日=約424.20円/月
- 1年あたりの電気代:424.2円/月×12カ月=約5,090.40円/年
年間の電気代は約5,000円です。同等の明るさの蛍光灯に比べ、白熱電球は約5倍の電気代がかかることになります。
※出典: エルパ シリカ電球 長寿命タイプ 60形 E26 ホワイト LW100V57W-W | エルパ・ダイレクト
LEDの電気代の目安
以下のLED商品には、明るさが60形相当のタイプと40形相当のタイプがあります。今回の計算では、前述の蛍光灯や白熱電球と条件をそろえるために、明るさ60形相当のタイプを取り上げました。
モデル名:パルック LED電球 プレミアX LDA7L-D-G/S/Z6/F(パナソニック)
消費電力:7.4W
- 1日あたりの電気代:0.0074kW×8h×31円/kWh=約1.84円/日
- 1カ月あたりの電気代:1.84円/日×30日=約55.20円/月
- 1年あたりの電気代:55.2円/月×12カ月=約662.40円/年
蛍光灯と比較すると、LEDのほうが安くなる計算になりました。単純に電気代だけを比較する場合、蛍光灯よりLEDのほうが節約につながる可能性があります。
※出典: E26口金 パルック LED電球 プレミアX(一般電球タイプ 空間全体を照らすタイプ 60形相当・40形相当) | LED電球・蛍光灯 | Panasonic
蛍光灯や白熱電球をLEDに交換すべき理由
近年は照明をLEDに交換することが推奨されていますが、これには主に2つの理由があります。蛍光灯や白熱電球をLEDに交換すべき理由を見ていきましょう。
LEDのほうが経済的だから
電気代だけを比較するとLEDが最も経済的ですが、LEDは初期費用が高いため、トータルコストの比較ではそれほど節約にならないのではないかと思われがちです。
資源エネルギー庁の「省エネ性能カタログ2024年版」では、蛍光灯シーリングライトとLEDシーリングライトの電気代について検証されています。
使い始めは蛍光灯のほうがトータルコストが安くなっていますが、約3年で逆転し、10年後にはLEDのほうが約18,177円お得になるとしています。
このような結果になる理由は、LEDのほうが蛍光灯に比べ寿命が長いためです。上記の検証では、蛍光灯は10年間で3回交換していますが、LEDは一度も交換していません。
LEDは電気代も抑えられますが、最大のメリットは寿命が長いことです。長期間交換する必要がないため、長い目で見ると蛍光灯より経済的に使えます。
※出典: 省エネ性能カタログ2024年版 P92 | 経済産業省 資源エネルギー庁
政府が100%LED化を掲げているから
LEDへの交換が推奨されている理由としては、政府は2027年までに一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入を廃止する方針を決定しており、今後LEDが主流になると考えられています。
当初の予定では2030年が期限に設定されていましたが、水俣条約の国際会議で2027年に蛍光灯が製造禁止になることが決まり、100%LED化が3年前倒しになった形です。
この政策の背景にあるのは、水俣条約による水銀の使用禁止や地球温暖化防止のための脱炭素の推進、エネルギー資源の世界的な減少などです。
政府が掲げる100%LED化を受け、多くのメーカーで蛍光灯の生産を終了する動きが見られます。白熱電球はすでに国内主要メーカーでの生産が終了しており、いずれは蛍光灯や白熱電球を選べない時代が到来する予定になっているのです。
※出典: エネルギー基本計画 P33~34 | 経済産業省 資源エネルギー庁
※出典: 一般照明用の蛍光ランプの製造・輸出入は2027年までに廃止されます | 環境省
LEDのメリット
LEDには経済的な利点以外にも、さまざまなメリットがあります。蛍光灯や白熱電球をLEDに変えることで期待できる効果をご紹介します。
衝撃に強い
LEDは外周部がシリコン樹脂などでコーティングされています。壊れやすいガラスが外部素材に採用されている蛍光灯や白熱電球に比べ、衝撃を与えても壊れにくいことがメリットです。
さらに、LEDには振動に強いという特徴もあります。白熱電球は振動によって内部のフィラメントが切れることがありますが、光源が固体のLEDは振動では切れません。ただし、過度な衝撃や長時間の強い振動で故障する可能性もあります。
すぐに明るくなる
蛍光灯や白熱電球は、スイッチを入れても明るくなるまでワンテンポ遅れがちです。一方、LEDはスイッチを入れると瞬時に明るくなります。
玄関・廊下・トイレといった場所の照明は、スイッチを入れたらすぐに明るくなってほしいものです。このような場所では、優先的にLEDに交換するとよいでしょう。
虫が寄り付きにくい
照明に虫が引き寄せられる理由の1つに、照明の光に紫外線が含まれていることが挙げられます。照明に虫が集まると室内が汚れやすくなるほか、虫の死骸により照明の故障を招きかねません。
LEDの光には紫外線がほとんど含まれていないため、虫が寄り付きにくくなります。屋外照明にLEDを使えば、虫が室内に侵入するのを防げるでしょう。
環境に優しい
政府は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しています。カーボンニュートラルとは、CO₂の排出量を削減し、森林などによる吸収と組み合わせることで、実質的なCO₂排出量ゼロを目指す取り組みです。
長寿命や低消費電力を実現するLEDが普及することで、ひいてはCO₂の削減につながります。環境に優しいLEDへの交換は、カーボンニュートラル実現のために個人レベルで行える取り組みともいえるのです。
※出典: カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル|環境省
LEDへの交換でチェックすべきポイント
LEDにはさまざまな種類があるため、商品を選ぶ際は口金サイズ・明るさ・光の色を確認しましょう。それぞれの具体的な確認ポイントを解説します。
口金のサイズ
口金とは電球の差し込み部分のことです。電球により口金のサイズが違うため、「LEDを選ぶ際は、照明器具の口金サイズに合ったものを選びましょう。
一般家庭で広く使われている口金サイズは、E26(直径26mm)やE17(直径17mm)です。小型のタイプには、E12口金(直径12mm)やE11口金(直径11mm)といったサイズもあります。
明るさ
LEDの明るさの単位はルーメン(lm)です。しかし、白熱電球や蛍光灯の明るさは「W」や「形」で示されているため、LEDにも白熱電球や蛍光灯と明るさを比較できる表記があります。
例えば、今まで使っていた蛍光灯に「60W」や「60形」と表記されている場合、同じ明るさにしたいなら「60W相当」や「60形相当」の表記があるLEDを選びましょう。
光の色
LEDの光の色は、次の3種類に大きく分けられます。
色の種類 | 色の傾向 | 特徴 | 使用例 |
---|---|---|---|
電球色 | 暖かみのあるオレンジ色 | リラックス効果があり、柔らかい雰囲気を作り出す | リビング、寝室、ダイニングなど、くつろぎたい場所 |
昼白色 | 自然光に近い白色 | 自然な明るさで、物の色をはっきりと見せる | キッチン、洗面所、書斎など、作業や身支度に適した場所 |
昼光色 | 青白い光 | 明るくシャープな光で、集中力を高める効果がある | オフィス、勉強部屋、玄関や廊下など、明るさを重視する場所 |
用途や求める光の特徴に応じて商品を選びましょう。
蛍光灯の電気代のよくある疑問
蛍光灯の使い方やLEDの交換について生じがちな疑問と回答をご紹介します。一通り目を通しておきましょう。
蛍光灯をつけたり消したりするのはNG?
蛍光灯は点灯時に一時的に電力消費が増えます。そのため、消灯時間が短い場合はつけっぱなしにする方が効率的なケースもあります。
一方、LEDは点灯時に電力使用量が多くなることはありません。頻繁につけたり消したりしても電気代がかさむことはないため、使わないときはこまめに消すことで電気代の節約につながります。
※出典: Q7|電気安全に関するQ&A|公益社団法人 東京電気管理技術者協会
LEDに交換する際は電球のみ変えてもOK?
口金のサイズが合っていれば、基本的に電球のみ交換できます。ただし、蛍光灯用の安定器が残ったまま適合しないLEDを取り付けてしまうと、故障につながる場合があります。
密閉形器具・調光機能付き照明器具・断熱材施工器具にLEDを取り付ける場合は、表記を確認してそれぞれに対応する商品を選びましょう。
蛍光灯をLEDに交換し電気代を節約
蛍光灯は同等の明るさのLEDに比べ消費電力が大きく、寿命もLEDより短いため、長い目で見れば蛍光灯よりLEDのほうが経済的です。また、衝撃に強いことやすぐに明るくなることなど、LEDにはさまざまなメリットがあります。
照明をLEDに交換する際は、口金サイズ・明るさ・光の色をチェックすることが重要です。蛍光灯や白熱電球をLEDに交換し、電気代の節約を図りましょう。
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