電気料金について調べていると、「託送料金」という言葉に出くわすことがあるはずです。「託送料金って一体何?」と疑問に思った経験がある方もいるでしょう。託送料金の基礎知識を解説します。併せて電気料金の内訳や電気代の節約方法も解説します。
託送料金とは
託送料金は、その言葉だけでは内容をイメージしづらいため、「一体どんな料金なのだろう?」と疑問に思う方も多いでしょう。電力会社の乗り換えを検討している方に知ってほしい、託送料金の基礎知識を解説します。電気料金に対する理解を深めていきましょう。
電気を運ぶ設備の利用料金
託送料金とは、電気を発電所から一般契約者に届ける「一般送配電事業者」が定める、送配電網(電気を送るために使用する設備)を利用する際の対価のことです。安定的に一般契約者に電力を供給できるよう、鉄塔・送電線・電柱・配電線などの送配電設備を整備・維持するために欠かせないお金とされています。
託送料金を設定する際には、経済産業大臣の認可が必要です。これは、一般送配電事業者がその地位を利用し、法外な託送料金を設定する暴挙に及ばないようにするための対策といえるでしょう。
託送料金は、一般契約者から電気代の一部として回収されます。その後、電気の販売に新規参入した小売電気事業者が、販売した電力の量に合わせて一般送配電事業者に納める仕組みです。
託送料金は、一般契約者が支払う電気代の約30%を占めるとされています。ただし、「託送料金の変動をどの程度電気料金に反映させるか」は、小売電気事業者ごとに判断が異なります。託送料金の上昇がそのまま電気料金に反映されるわけではありません。
※出典: 託送料金とレベニューキャップ制度 | 電力・ガス取引監視等委員会
託送料金の内訳
託送料金は、送配電部門の人件費や修繕費などに加えて、以下のような費用で構成されています。
・電源開発促進税
・賠償負担金
・廃炉円滑化負担金
電源開発促進税とは、一般送配電事業者が納める税金のことです。電源開発促進税の目的は、各種発電施設の設置促進・運転の円滑化・発電施設の利用促進・電気供給の円滑化などです。一般送配電事業者は、販売した電力の量に合わせてこの税金を納める必要があります。
賠償負担金とは、福島第一原発事故の賠償金不足分を回収するために設けられた負担金です。総額にして約2.4兆円の負担金を約40年かけて回収するとしています。
廃炉円滑化負担金とは、原発依存度を下げる方針に基づき、スムーズな原子力発電所の廃炉(原子炉の運転を停止し、原発を廃止・解体すること)を促すため、廃炉に求められる費用を分割して計上するお金のことです。
※出典: 料金設定の仕組みとは?|資源エネルギー庁
一般送配電事業者別の託送料金
託送料金は、一般送配電事業者ごとに決められています。2024年4月時点における託送料金平均単価は以下の通りです。
・北海道電力:10円62銭
・東北電力:11円20銭
・東京電力:9円44銭
・中部電力:10円04銭
・北陸電力:9円27銭
・関西電力:8円61銭
・中国電力:10円21銭
・四国電力:10円14銭
・九州電力:10円27銭
・沖縄電力:12円68銭
従量料金制契約(電気の利用量に併せて支払う電気代が変動する契約)の場合、託送料金相当額は「託送料金平均単価(円)×電力使用量(kWh)」で計算されます。
※出典: 各一般送配電事業者の託送料金平均単価等|資源エネルギー庁
電気代の内訳
電力小売自由化の前後で、一般契約者が支払う電気代の内訳が大きく変わりました。電力会社の乗り換えを考えている方を含む、すべての契約者に知っておいてほしい、電気代の内訳を解説します。
電力自由化前の料金
電力小売自由化前までは、電気料金の中身は電気の供給量を維持するために必要な費用である「総原価」のみで構成されていました。これを「総括原価方式」といいます。
総括原価方式で算出される電気料金に含まれている費用は、以下の通りです。
・営業費(燃料費・減価償却費・人件費など)
・事業に対する報酬(設備の運用を目的に行われた資金調達で発生した支払利息や配当など)
・控除収益(小売電気事業者に電気を販売することなどで得られる収入)
なお、総括原価方式で算出された電気料金にも、託送料金に相当する費用(送配電網の管理費用など)が含まれていました。
東京電力や関西電力など、一般的に「大手電力会社」と呼ばれる会社では、規制料金プランにおいて、今もなお総括原価方式で電気料金を計算しています。
⇒総括原価方式についてもっと詳しく知りたい方はこちら
電力小売自由化後の料金
電力小売自由化後の料金は、「事業者が自由に決められる費目」と「法令などによって計算される費目」とで構成されているのが特徴です。
事業者が自由に決められる費目は、自社の電源から電気を用意するケースと、他社の電源から電気を入手するケースとで内容が変わってきます。自由に決められる費目は、自社の電源から電気を用意する場合には燃料費・減価償却費・修繕費などで、他社の電源から電気を入手する場合には購入電力料で構成されます。
法令などによって計算される費目の内訳は以下の通りです。
・託送料金
・法人税など
・消費税など
・固定資産税
・再生可能エネルギー発電促進賦課金
内訳を見ると、電気料金はさまざまな費用によって構成されていることがわかります。中でも一般契約者に大きなインパクトを与えるのが、託送料金といえるのです。
併せて知っておきたい託送料金に関する制度
託送料金についての理解を深めるには、関連が深い2つの制度(「レベニューキャップ制度」「発電側課金制度」)についてしっかりと理解している必要があります。託送料金の基礎と併せて知っておきたい、託送料金に関わる2つの制度を紹介します。制度の内容を知って、託送料金の今を理解しましょう。
レベニューキャップ制度
レベニューキャップ制度とは、2023年4月1日に始まった新しい託送料金制度です。従来の「総括原価方式」に代わって導入されました。
レベニューキャップとは「収入上限」のことです。レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者に対して収入の上限を定めています。。一般送配電事業者は、決められた上限を超えない範囲で託送料金を設定することができます。
レベニューキャップ制度のメリットは、一般送配電事業者による効率化を促せる点です。レベニューキャップ制度では、一般送配電事業者がコストカットを実現すると、一般送配電事業者の利益が増える仕組みになっているため、このようなメリットが生まれています。
効率化によるコスト削減が契約者に還元されるのも、レベニューキャップ制度のメリットです。レベニューキャップ制度では、翌期の託送料金が今期行ったコスト削減の結果によって左右されるので、託送料金の値下げが起こる可能性があります。
※出典: レベニューキャップ制度とは何ですか?|四国電力送配電
※出典: レベニューキャップ制度について|四国電力送配電
発電側課金制度
発電側課金制度とは、2024年4月1日に始まった託送料金に関わる新制度です。託送料金の一部を「発電事業者」にも負担してもらうようにする制度を指します。発電事業者とは、発電設備を持っている事業者のことです。
送配電網を維持し、安定的に電力を供給していくためには、それ相応の託送料金が必要です。一般契約者から回収するだけでは、今後、託送料金が足りなくなると危惧されています。
また、再生可能エネルギーを今以上に普及させるには、さらに託送料金を徴収して、送配電網を強化する必要があります。
このような現状を背景に、発電事業者にも託送料金の負担を求めることで、一般契約者の託送料金の負担を増やさないようにと考案されたのが「発電側課金制度」です。託送料金の負担割合は、発電事業者が10%、小売事業者が90%です。
※出典: 2024年4月スタートの発電側課金をわかりやすく解説!|太陽光発電投資|株式会社アースコム
電気代を節約する方法
電気を一般契約者に届けるための費用が年々上昇している昨今、託送料金も値上がり傾向が続いています。託送料金が値上がりすると、それに伴って電気料金も値上がりする可能性があります。このような状況下で電気代を節約するには、家庭レベルでできる工夫が必要です。電気代を節約する方法を紹介します。
電力会社を乗り換える
電気代を節約する方法としてまず挙げられるのが、電力会社を電力小売自由化によって電力業界に新規参入した業者、いわゆる「新電力」に乗り換えることです。
新電力を選ぶメリットは、なんといっても電気料金が安くなる点です。大手電力会社が展開する従来型の料金プランから乗り換えることで、電気代が下がる可能性があります。
新電力への乗り換えを検討するときに大切なのが、自身の生活スタイルに合っているかどうかです。「新電力に乗り換えると電気代が安くなる」と安直に考えて新電力と契約し、自身の生活スタイルに合っていないプランを選んでしまうと、かえって電気代が高くなる可能性があるので、注意が必要です。
契約アンペア数を下げる
契約しているアンペア数が高いほど、月々に支払う電気料金も高くなるため、契約アンペア数を下げるのも、電気代を節約する方法といえます。
アンペアとは「電気量」を表す単位のことです。アンペア数が大きくなると、同時に使える電気の量が大きくなります。
多くのご家庭では、契約アンペア数に応じて電気料金が変動する「アンペア制」の料金プランを契約しているはずです。このような契約において電気代を節約するには、ご家庭での電化製品の使い方に合ったアンペア数を契約することが大切といえます。
ただし、電気代を節約したいからといって、むやみに契約アンペア数を下げるのは危険です。一度に使える電化製品の数が制限されて、快適な生活ができなくなる可能性があります。
古くなった電化製品を買い替える
10年以上使用している電化製品がある場合は、思い切って買い替えることを検討してみましょう。古い電化製品は電気を大量に使うものが多いため、電気代を無駄遣いしている可能性が高いのです。
近年の電化製品の進化は目覚ましいものがあり、特に省エネ性能の進化は急速に進んでいます。費用をかけて電化製品の買い替えを行っても、電気代の節約によってメリットが得られる可能性が多分にあります。
買い替えのメリットが大きい電化製品の筆頭が「冷蔵庫」です。インバーター機能の搭載や真空断熱材の使用などにより、近年発売される冷蔵庫は省エネ性能が高い製品が多い傾向があります。
託送料金を理解して電気代の中身を知ろう
電気代を節約したいのであれば、電気料金を構成する費用に関する知識を持っておくのがおすすめです。どのようなお金で電気料金が成り立っているかを知れば、今払っている電気代に対する見方が変わってくるはずです。電気料金を構成する要素の代表例である託送料金の基本を理解して、電気料金の中身を理解できるようになりましょう。
光熱費の節約を考える方は、Looopでんきの「スマートタイムONE」を検討してみてはいかがでしょうか。電気の使い方を工夫すれば、電気料金を抑えられる可能性があります。
電気料金は毎月発生する生活コストであり、家計を圧迫していると感じる方は今すぐにでも見直したい支出の1つです。
Looopでんきで電気料金の見直しに成功しているお客様の声を紹介します。
(20代 / 女性 / 1人暮らし)
以前契約していたところよりも安く、どのくらい使用してどのくらいの料金だったのかも分かり、前月以降の料金もあって比較が出来て非常にありがたいです。
(40代 / 女性 / 2人暮らし)
学生の一人暮らしには最適。長期休みは実家で過ごすなど不在も多いので、基本料金がなく、使った分だけ払えばいいので、大手電力会社よりお得。
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