除湿機は室内で洗濯物も乾かせるので、雨や雪が多い場合にあると重宝します。しかし、動かす家電が増えれば電気代も当然上がりますので、購入をためらっている方もおられることでしょう。
この記事では除湿機の種類や仕組み、それぞれのメリットやデメリットを解説するとともに、エアコンの除湿機能との比較や、電気代の節約方法などを紹介します。
除湿機の種類
一口に除湿機と言っても、仕組みによっていくつかの種類に分類できます。ここではコンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式の3種類の除湿機について、特徴・仕組み・メリットとデメリットについて説明します。
コンプレッサー式
コンプレッサー式除湿機は、エアコンの除湿運転と同じ方式で、空気中の湿気を冷却器で冷やして除去します。
空気は冷えると水分を溜める量が減る(飽和水蒸気量が下がる)ので、除湿機内で水分が結露することで水タンクに集まります。水分が少なくなった空気を再び室内に戻すので、室内の湿度は下がります。
気温や湿度が高いと除湿効果が高くなるメリットがあるので、湿度の高い梅雨の時期や温度の高い夏場の除湿に適した方式です。反対に、気温や湿度が低い冬場には除湿能力が低くなること、コンプレッサーのためサイズがやや大きく動作音もやや大きいことがデメリットでもあります。
デシカント式
デシカント式除湿機は、ゼオライトという乾燥材を使って除湿します。ゼオライトを使うことからゼオライト式とも呼ばれます。
この方式では、除湿機に取り込んだ室内の空気中の水分をゼオライトに吸着させます。乾いた空気はそのまま排出されますが、吸着した水分はヒーターで暖められて熱交換器へ水蒸気として排出されたのち、除湿機に取り込まれた空気で冷やされて排水タンクに水滴として溜められます。
特徴は室温が低くても除湿能力が高く衣類が乾きやすいこと、コンプレッサーがないので音が静かなことです。このため寒い冬でも除湿できるというメリットがあります。
デメリットは、ヒーターによって室内の温度が上がってしまうため、夏場の利用には向かないことと、コンプレッサー式の数倍の電力を消費するため電気代が高くなることです。
ハイブリッド式
ハイブリッド式除湿機は、コンプレッサー式とデシカント式の機能を兼ね備えています。
この方式では、除湿機が吸い込んだ室内の空気を放熱器で暖めた後、ゼオライトで水分を吸収します。高温・高湿になった空気を冷却器で冷やし、水滴をタンクに溜める一方、湿度の下がった空気を再度ゼオライトを通って室内に送ります。
ハイブリッド式は、夏場に高い除湿能力を発揮するコンプレッサー式と冬場も除湿能力が落ちないデシカント式の2つの方式を、温度と湿度に応じて自動で使い分けて運転します。そのため、年間を通じて除湿ができるのがメリットです。
その反面、コンプレッサーを利用しているので本体が大きめとなること、価格も高くなる傾向があることなどがデメリットとしてあげられます。
除湿機の電気代はどのくらい?
除湿機には除湿方式にそれぞれ特徴があり、消費電力も異なります。ここでは、除湿機の電気代について説明します。
除湿機の電気代の計算方法
除湿機の1日あたりの電気代を求める計算式は、以下のようになります。
電気代=消費電力(W)÷1,000×1日の使用時間(時間)×1kWhあたりの電力量料金(円/kWh)
ここで消費電力(W)を1,000で割っているのは、Wで表示されている消費電力の単位をWからkWに変換するためです。
1kWhあたりの電力量料金(円/kWh)は、全国家庭電気製品公正取引協議会の「電力料金目安単価」から1kWhあたり27円(税込)として計算します(※)。
コンプレッサー式の電気代
まずコンプレッサー式の消費電力、電気代がどれぐらいかかるかを見てみましょう。
除湿可能な部屋の広さを木造住宅8畳程度、鉄筋16畳程度の対応製品で見てみます。なお、すべて60Hzの場合で比較します。
アイリスオーヤマのDCE-6515は除湿能力は6.5L/日で、消費電力は175Wです。1時間あたりの電気代は 4.7円になります(※1)。
もう1機種見てみましょう。CORONAの PシリーズBD-632は除湿量は6.3L/日で消費電力は180Wです。1時間あたりの電気代は4.9円です(※2)。
デシカント式
次にデシカント式除湿機の消費電力を見てみましょう。
パナソニックの F-YZTX60は除湿能力(60Hz)5.6L/日、適応畳数は木造7畳・鉄筋14畳までで、除湿運転時の消費電力はおまかせで285W、1時間あたりの電気代は7.7円です。なお、衣類乾燥時では速乾で消費電力は465Wとなり、除湿運転より大きな電力を消費します(※1)。
シャープのCV-P60は除湿能力が定格5.6L/日、除湿可能面積が木造7畳・鉄筋14畳が目安で、除湿時の消費電力は540Wです。1時間あたりの電気代は15円になります。この機種では、衣類乾燥時でも570Wと除湿時とあまり変わりません(※2)。
ハイブリッド式
パナソニックのF-YHVX90は定格除湿能力が6.5L/日、除湿可能面積は木造8畳・鉄筋16畳で、除湿時の消費電力は185W、1時間あたりの電気代は5円です。なお、最大除湿能力は8.5L/日、消費電力555Wです(※1)。
三菱電機のJ-M100TXは、除湿能力が10L/日、除湿面積の目安は木造13畳・鉄筋25畳で、除湿時の消費電力は275W、1時間あたりの電気代は7.4円となります。除湿能力が大きい機種です(※2)。
除湿方式による電気代の違い | |||
---|---|---|---|
除湿方式 | 除湿能力(日) | 消費電力 | 電気代(1時間) |
コンプレッサー式 | 6.5L | 175W | 4.7円 |
6.3L | 180W | 4.9円 | |
デシカント式 | 5.6L | 285W | 7.7円 |
5.6L | 540W | 15円 | |
ハイブリッド式 | 6.5L | 185W | 5円 |
10L | 275W | 7.4円 |
エアコンの除湿機能と比較
3方式を比較すると、コンプレッサー式の消費電力はやや小さく、次いでハイブリッド式となり、デシカント式が最も大きいということができます。では、エアコンの除湿機能と比較するとどうでしょうか。以下でエアコンの除湿機能について見てみましょう。
エアコンの除湿機能とは
エアコンは室内の温度を調節する場合に欠かせませんが、それだけではなく除湿機能も付いています。エアコンの除湿機能には、部屋を冷やしながら除湿を行う「弱冷房除湿」と室内の湿度だけを下げる「再熱除湿」の2種類があります。
エアコンの除湿機能の仕組みを見てみましょう。まずエアコンに吸い込んだ空気の熱を熱交換器で冷やして空気中の水分を結露させます。付着した結露は下に落ちてドレンホースを通じて屋外に排水されます。除湿の過程で室内の温度が下がるため、これを「弱冷房除湿」と言います。
一方「再熱除湿」は「弱冷房除湿」で温度が下がった空気を温め直して、吹き出す空気と部屋の空気の温度変化を減らす機能です。空気を温め直すので電気代がかかるのが弱点です。
このためエアコンの多くは「弱冷房除湿」を採用していますが、グレードが高い機種では「再熱除湿機能」も搭載されていて、「弱冷房除湿」と「再熱除湿」が切り替えできる機種もあります。お持ちのエアコンがどちらの除湿方式を採用しているかを知りたい場合は、取扱説明書で確認してください。
エアコンの除湿機能と除湿機を比較
エアコンの除湿量について、東京電力が2002年に試験を行っています(※1)。
試験は三菱電機の冷房能力2.8kWエアコンを用いて行われ、除湿量が最も多いのは「冷房」で1時間あたり2.3kg、次いで「再熱除湿」が1.5kg、「弱冷房除湿」が1.1kgの順となっています。もう20年以上前のデータなので、単純に現在に当てはめられませんが、除湿量が6L/日程度の除湿機に比べ、エアコンは10倍近い除湿量があることになります。
一方、エアコンの除湿機能を電気代で比較すると、設定温度を24℃にしたときに、最も小さかったのが「弱冷房除湿」の4.1円/h、次いで「冷房」の11.0円/h、「再熱除湿」の14.9円/hの順でした。ただし、このときの電気料金は、22.86円/kWh で計算されています。
つまり、除湿量が最も多い「冷房」は、電気料金では「弱冷房除湿」より高く、「再熱除湿」より少なくなっています。
除湿能力に優れるエアコンですが、電気代が高いので扇風機と併用するなどして電気代を下げる工夫が必要です。
環境省によると、エアコンの冷房の設定温度を1℃上げると消費電力を13%減らすことができます。エアコンの設定温度を26℃から28℃にすれば、電気代を26%もカットでき、先述のエアコンの電気代38円は28円にすることができるため、1日10時間エアコンを使用した場合、1カ月で3,000円の節電になります(※2)。
除湿機の選び方
除湿機は何を基準に選べばよいでしょうか。ここでは、除湿機の選び方について解説します。
除湿方法で選ぶ
除湿機にはコンプレッサー式 、デシカント式、ハイブリッド式の3種がありますが、それぞれ長所、短所があります。
季節で選ぶなら、コンプレッサー式は気温や湿度が高いほど除湿効果が高くなるので、梅雨の時期や夏場の除湿におすすめです。反対に、温度が低い冬場は除湿力が低下します。
冬場におすすめなのはデシカント式です。ヒーターを利用しているので冬場も除湿機能は落ちませんが、夏場は室温が上がるので不向きです。また、ヒーターを使うので、電気代は高めになります。
ハイブリッド式は、コンプレッサー式とデシカント式の両方の方式を取り入れているので、夏場も冬場も除湿機能は変わらず、1年を通して使用できます。
除湿能力で選ぶ
除湿機は、使用する部屋の大きさに対応した除湿能力で選ぶことがおすすめです。除湿能力は、1日に除去できる水の量で表されるので、部屋の広さに対応した除湿量の除湿機を選びましょう。
除湿量に対応したの部屋の広さの目安 | |
---|---|
除湿量 | 部屋の広さ |
4.5~6.3L | ・木造住宅6~8畳未満 ・鉄筋住宅13~16畳未満 |
6.3~8.0L | ・木造8~10畳未満 ・鉄筋16~20畳未満 |
8.0~11.0L | ・木造10~14畳未満 ・鉄筋20~28畳未満 |
11.0~18.0L | ・木造14~23畳未満 ・鉄筋28~45畳未満 |
また、排水タンクの大きさもチェックが必要です。排水タンクが小さいと満水になって運転が止まりやすくなるので、水の交換の手間を少なくしたい場合はタンク容量が3L以上のものを選びましょう。
その他の機能で選ぶ
除湿機に内部乾燥機能が付いていると、カビの発生を抑えてくれるので衛生的です。除湿機は、内部に湿気があるとカビが発生しやすいので、内部乾燥機能付きを選ぶことをおすすめします。
除湿機に加湿空気清浄機能が付いた除加湿空気清浄機は、除湿、花粉やダストの除去、加湿と1台で複数の役割を果たしてくれるので便利ですが、反面、手入れがしにくい面があるので注意が必要です。
お手入れの手間が少ないことも、除湿機を選ぶ際のチェックポイントになります。フィルターの交換など手入れのしやすさ、排水タンクの洗いやすさなどを確認しておきましょう。
除湿機の電気代を節約する方法
除湿機を利用する際は、除湿機の電気代を節約する方法を知っておくことも大事です。ここでは、電気代の節約方法を紹介しましょう。
サーキュレーターや扇風機と併用する
衣類乾燥時の場合、サーキュレーターや扇風機を併用すると節電できます。除湿機を使っていても、衣類から出た水分はすぐに除湿機に吸収されず、衣類の近くに止まっているので、サーキュレーターや扇風機で風を送ると、水分が室内に拡散され、効率よく乾かすことができます。
サーキュレーターや扇風機は電気代も1時間あたり1円以下なので、除湿機を使用する時間を短縮することで電気代を節約できます。
衣類の干し方を工夫する
衣類の干し方を工夫することで、除湿機の電気代を節約できます。例えば洗濯物と洗濯物の間隔を空けることで空気の通り道ができるので、乾燥しやすくなり除湿機の稼働時間を短くできます。生乾きを防ぐことにもなるため、嫌な臭いも残らなくなります。
また、洗濯物を干す際に、外側に長い衣類を、内側に短い衣類を吊るすようにしてアーチ型のように配置すると、さらに乾燥の効率が上がります。
さらに、乾きにくい洗濯物は除湿機の最も近くに吊るすようにすると、乾きが良くなります。
運転モードを使い分ける
除湿機には多くの場合、衣類乾燥モードや速乾モードなど各種の運転モードが備わってます。これらの運転モードは、それぞれ消費電力が異なっていて、衣類乾燥モードや速乾モードは消費電力が高く、除湿力の高いものを使えば短時間で除湿・乾燥ができますが、その分電気代が高くなります。
機種によっては衣類乾燥モードの標準では200W程度でも、速乾モードにすると3倍以上も電力を消費します。洗濯物をすぐに乾かさなければならないなど急ぐ場合以外は、消費電力が高いモードをなるべく使わないようにしましょう。
除湿機の買い替えや手入れをする
除湿機はフィルターの手入れをしないと、除湿効率が下がってしまいます。フィルターは室内の空気を取り入れる場所なので、ホコリが溜まりやすく定期的な手入れが必要です。2週間に1回程度、掃除機でフィルターのホコリを吸い取るように心がけましょう。
また除湿機が古いタイプのものであれば、買い替えることで消費電力を少なくできる可能性があります。電化製品は年々省エネ性能が向上しているので、最新モデルに買い替えた方が電気代を減らせるでしょう。
例えばハイブリッド方式の除湿機の場合、温度や湿度に応じて除湿方法をより省エネになるように自動的に選択して電気代を抑えてくれます。
電力会社や電気料金プランを見直す
除湿機などの電化製品をよく使っていて、電気代が高いと思われたら、契約している電力会社や電気料金プランの見直しを検討してはいかがでしょうか。
2016年4月の電力小売自由化によって、一般家庭でも自由に電気料金の安い電力会社を選べるようになりました。
また、電力会社によってさまざまな電気料金プランがあるので、今よりも安い電気料金プランに切り替えることで、簡単に電気代を節約できます。例えば夜間や休日などの電気料金が安いプランに切り替えて、その時間帯に除湿機を使えば、除湿機の電気代が安くなります。
電気代を節約したい人は料金プランの見直しを検討してみよう!
除湿機にはコンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式があり、それぞれのメリット、デメリットがあるので、それぞれの長所、短所を比較して選ぶことが大事です。
また、エアコンは除湿機能が格段に大きい反面、電気代も高いので、扇風機などを利用して電気代を下げる工夫がおすすめです。
除湿機は、除湿方法、除湿能力で選びますが、内部乾燥機能付きかどうか、メンテナンスがしやすいかなどをチェックするようにしましょう。
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まずは、電気料金プランを見直して、今の生活のままで電気代が安くなるのか試してみてはいかがでしょうか。